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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第三章──能力開花──
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第十八話

ユラユラと歩いて距離を詰めながら、ポツリポツリと丸い弾を撃ってくるヒトモドキから目を離さず身を捻ってグレイズしつつ反撃体勢を整える


イメージするのは直進するレーザータイプの弾を十本。自身の眼前にやや隙間を空けて視界を確保し、一気に発射する


見た目通りのノロマならば当たる筈──だが、ソイツは器用に動いて回避。お返しとばかりに同じレーザータイプの弾をおおよそ倍の数を形成


「……マジかよ」


どう見ても俺が撃った弾より数倍の大きさはあるだろうか。あまりの迫力に、無意識の内に足が止まっていたのか数本が脇腹や太ももを掠めていく


ジワリと広がる痛みに歯噛みしながらも視線は外さない。紫に教わった事だが、目を離してしまえば対処が遅れてしまう。だからこそ絶対に目を離してはいけないとのこと


「ホラ、どうしたの? 貴方ってその程度なの?」


パチュリーが後ろから面白くなさそうに声をかけてくる。もっとド派手に弾幕ごっこを繰り広げるとでも思っていたのだろうか


「初陣なんだよこっちは! 程度もくそもあるかッ!」


痛みを我慢しながら今度はホーミングタイプを数発発射するも、簡単に避けられてしまう。痛みのせいで思うようにイメージ出来ず、代わりにあちこちに向こうからの弾幕で負った生傷が増えていく


紫や藍とやった弾幕ごっことはまた違う、真剣勝負の弾幕ごっこがこんなにも難しく精神に負担をかけるとは……


「グルゥアアア!!!」


「……ッ!? しまっ……!」


ガツン、と鈍い音が辺りに響く。ほんの一瞬目を離してしまった隙に、弾幕の一部が俺の頭を直撃していた……


膝から崩れ落ちる俺を見て、パチュリーが一言零した


「……つまらないわね。あのスキマ妖怪が連れてきて懇意にしていると聞いたから、どんな実力の持ち主かと思ったのに……ホントがっかりだわ」


──スキマ妖怪の眼も曇ったのかしらね──


パチュリーのその一言で、俺の中で何かが切れた音がした。同時に湧き上がる黒い衝動と感情が、視界を赤く染めて理性を蝕んでいく


重い身体に鞭打って、フラつきながらもなんとか立ち上がる。ズキズキと被弾した頭が痛むが、ソレが気にならない程に俺は興奮していた


「……オイ、パチュリー・ノーレッジ。一つ、言わせてもらうぞ」


迫り来るヒトモドキの周囲に藍や紫が使うクナイ型の弾幕を形成。そしてさらに、その外周に大きな丸弾とレーザーを配置


「確かに俺は弱い。だからバカにするのは構わん、だがもう一度紫をバカにすると言うならな……」


直後、弾幕が発射され──ヒトモドキは全身に大穴を穿たれて埃っぽい床に倒れ伏して消えた


「俺はお前を──絶対に許さない」


睨みつけながら話す俺と、静かに見つめ返すパチュリー。お互いに口を開くことはなく、ただただ沈黙し時間だけが過ぎて行く


「何故、そこまでしてあのスキマ妖怪を庇うの? 相手は妖怪、それも胡散臭さで言えばダントツのアイツをよ?」


「関係ないな。こんな素敵な世界に連れてきてくれた紫に俺は感謝しているし、外の世界でいずれ消えるかもしれなかったのを助けてくれた。それで理由としては十分だろ?」


「例えソレが──己の手足として自由に扱える道具として連れて来られたとしても?」


「あぁ。道具としてならその時はその時だ、嫌なら精一杯抗うし少なくとも無抵抗で操られるつもりは無いね」


静寂。しばらくして、パチュリーが静かにハァ……とため息を吐いた


「……分かったわ、先ずは──ごめんなさいね。スキマ妖怪への無礼な発言、謝罪と撤回させてもらうわ。それから数藤悠哉、貴方にもね」


「俺にも? アンタの言う通り、俺は弱いから謝られてもな……」


「いえ、まぁケジメのようなモノよ。貴方のスキマ妖怪への想いがどれ程のモノなのか、見させてもらったから」


よく分からないがパチュリーが頭を下げる。──と、後ろの空間に見慣れた亀裂が奔る。迎えにしては随分と早いが……


「お疲れ様、初めての実践的な弾幕ごっこはどうだったかしら?」


「あれ、果たして弾幕ごっこって呼べるのか? 最後思いっきり俺がキレて穴だらけにしただけなんだが……」


「いいのよ別に、掴みだけでも分かればね。……さて魔女さん、そろそろ本題である彼の能力を教えてもらってもよろしいかしら? まぁその前に、悠哉の治療が先だけれどね」


「任せて頂戴。悠哉、ソコの椅子に座って楽にして……」


パチュリーの言う通りにすると、正面にパチュリーが立ち両手を頭へ乗せる。少しして徐々に痛みが引きはじめる


完全に痛みが引いたところでパチュリーが机の上から一枚の紙を持ってきて紫へ手渡す。一通り目を通した後、紫から俺に紙が回ってきた


「さて、悠哉? ソコに書かれている内容が、貴方の能力に関する事よ。キチンと理解しなさい、でないといざ使う時に困るわよ?」


パチュリーの言葉に苦笑しながらも、目を通す。俺の能力とは、一体どんなモノなのか……

次回、詳しく能力について書こうと思ってます


一言。やっぱり弾幕ごっこシーンは難しいね……

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