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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第十四章──幻想郷を巡り巡った先で──
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第百七十六話

「お疲れ様、なかなかにスリリングな体験だったでしょう? アレを考えるのも楽しかったけれど、上から眺めているのも乙なものね。どう? もう一回やってみないかしら?」


魔法陣に乗って帰ってきたのは、レミリア達の居るあの部屋だった。長い間空けていた筈だが俺の身体には傷一つ無く、出発する直前の姿のまま


まるでそう──俺の身体だけがこの場に取り残されて精神があの空間へと飛ばされた、とも取れる


疲労感や倦怠感は残っている、なのに身体には汚れや傷は無い。あちこちを確認する俺を見て笑いながら、パチュリーが種明かしをしてくれた


曰く──どうやら思った通り、俺はあの場所では精神体として行動し肉体はこの部屋に置いていたとの事だ。つまりパチュリーの言っていた、死ぬかもしれないと言う言葉の意味は……精神面での死を表していたのだろうか


改めて死ななくて良かったと痛感しながら、レミリアの方向へ身体ごと向き直る。彼女は出発前と同じく椅子に座り、頬杖ついて笑みを浮かべて俺を見つめていた


「おめでとう、そしてお疲れ様。さて……まだ終わりじゃあないわよ? 次の準備は良いかしら、早速始めるわ」


「……了解、それで今度は何をするんだ? 残っているのは……レミリアとフラン、それに咲夜か。小悪魔はパチュリーと一緒って事で良いんだよな、だからこの三人か」


レミリアが指を鳴らすと咲夜が一歩前に出て──俺の眼前にナイフを突き付ける。時間を止めての行動に微動だに出来なかった俺を見て頷きながら、静かな口調で彼女が語り出した


「次は私と、ナイフで勝負をして頂きます。ですが近接格闘ですと時間を止められる私にかなりのアドバンテージが御座います。ですので今回は、此方の的にナイフを投げより中心に近い投擲が出来れば貴方の勝ちと致しましょう」


取り出したのはバスケットボール並みの大きさの円形状の的。中心部分は黒く塗り潰されており、大きさの割には中心が大きく見える


「ところで悠哉、貴方ナイフ投げ出来るの? 出来なきゃお話にならないんだけれど……どうかしら」


「あ、あぁ。咲夜の様に百発百中とはいかないだろうし、そう考えると厳しいがな」


手始めに手首のスナップを利かせて投擲。クルクルと回りながら隅の方にサクッと命中。だが、真ん中とはいかないのでやり直し


──咲夜の教え方が良かったおかげで、二回三回と回数を重ねる毎に中心に近づいていく。深呼吸を一度して狙いを定め……投擲、ど真ん中とはいかなかったもののそれなりに刺さってはくれた


その後も咲夜から出される指示──四隅にナイフを刺せだの、十秒の間にナイフを的に十本確実に当てろだの──を的確に守りながら、的を穴だらけにしていく事数分。手にした時計を見て彼女は頷いた


「ふむ、なるほど……ギリギリ及第点ですわね。お嬢様、私からは合格かと存じ上げますが如何で御座いましょうか?」


……レミリアは少々不満気ではあるが、合格と呟いて素早くフランに目配せをする。フランも頷いて──俺を持ち上げると、いきなり部屋から飛び出したではないか!? そのままかなりの速度を維持したまま飛び続け、地下に在る広い空間に俺を投げ飛ばして止まる


「さ、悠哉! お次は私と相手をしてもらうよ、内容は……私の攻撃の一切合切を全て避け切ってみせる事!」


まだ体勢を立て直せていない俺目掛けて、フランによる次の試練が幕を開けた──

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