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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第十四章──幻想郷を巡り巡った先で──
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第百七十五話

土埃がもうもうと舞う空間の中、ふらふらと立ち上がって二人を見つめる。纏う雰囲気、喋り方、仕草の一つ一つに至るまで八雲の二人だ。だが落ち着け、あの二人がパチュリーに手を貸すだろうか? ありえない、ありえない筈なのに……身体が萎縮し心が萎えていく


「ほら、どうした? 私達は此処だ、さっさとかかってくるがいい。それともお前の旅は此処でお仕舞いかな?」


くつくつと笑いながら両手を広げ式神を展開する藍。今なら狙える、これはまやかしだ。二人が居る筈が無い、これは嘘なのだ


──動かなかった。修行をして、強くなった筈なのに……二人を前にして、その迫力を改めて味わって身体が完全に止まってしまった


「っははははは! なんだその無様な姿は? 私と紫様をここまで引っ掻き回しておいて、指一つ動かせないのか? その程度の覚悟だったとはなぁ、本当に傑作だ!」


…………? ふと、違和感。先程から喋っているのは藍だけで紫は一切、と言うか動いてすらいない。ただジッと俺を見つめているだけだ。こういう時、紫ならスキマを開いて戦闘態勢をとっている筈だ


確かめよう。挫けるのは、折れるのはそれからでも遅くはない──


深呼吸を一つして立ち上がる。笑みを深めた藍が式神を操るが、それらが全く気にならない。弾幕を張って式神、藍、紫の順に撃っていく


式神が倒され藍が躱しきり──紫は動く事なく被弾した(・・・・)。そうか、そういう事だったのか……思えばこの迷宮を作ったのはあのパチュリーだ、彼女程の魔女なら対象者の心を読み取りソレを幻影という形で登場させる事も容易く出来るだろう


動揺するあまり見破るのに幾分時間を要したが、よくよく考えればすぐに分かることだったのだから。なら、心配も遠慮も必要無い。真っ直ぐ歩いて紫の前に立つと、初めて彼女は満足そうに笑った


「おめでとう悠哉、少し時間がかかったけれど及第点ね。もう少し要るかと読んでいたのだけれど……貴方も進歩している、という事なのね」


「あぁ、まぁまだまだな所だらけだがな」


「此処に居る私も藍も貴方の心象風景の一つ。故に、本物と変わり無いわ。けれど、此処で止まってはいけない。貴方は前に進み続け、そしていつの日か私達と戦わなければならない。頑張りなさい」


「待っているからな、悠哉。淑女(レディ)を長く待たせるのは感心しないぞ?」


笑みを浮かべて消えていく彼女達を見送り、その先に扉が有った事に初めて気づく。今まで開けてきたどの扉とも違う、一線を画すソレをゆっくり開ける。有ったのは……小さな魔法陣


「ゴール、ってか? なぁパチュリー」


その魔法陣の上に立ち、俺は無事パチュリーの課題をクリアした……

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