第十七話
動かない大図書館こと、あの魔女が登場します
目に飛び込んで来たのは──俺の背丈を遥かに超える本棚の森とその中にきちんと並べて収められたたくさんの本達だった
「おぉ……なんて言うか、壮観の一言だな。ちょっと中身が気になるところだけど、先ずは住人を捜さなきゃな。さて、何処だ……?」
埃っぽい空気の中を突っ切ってヒトを捜す。薄暗いことも合いまって視界が悪く、思ったように動けない。おかげで目当てとおぼしきヒトを捜し当てるのに随分苦労させられた
うっすら見える明かりを頼りに進むと、開けた場所に出る。その先に小さな机と椅子が置かれ、一人の少女が本を片手に羽ペンを奔らせていた
「あのヒトか……? まぁ、聞いてみるか。もしもし、すみません」
距離を詰めながら声をかけるも応答は無し。きっと作業に没頭するあまり聞こえていないのだろう。──無視じゃなきゃいいけど
さらに距離を詰めて、もう一声──それでようやく少女が顔を上げた
紫色の髪に赤と青のリボンを付け、まるでネグリジェのような服装。帽子には月を模したアクセサリーが付いている。眠そうな半目で本を持ったまま、ジッと俺を見ている
「作業中申し訳ない。訪問予定者の数藤悠哉だ、貴女がこの図書館の住人さんか?」
「…………」
まさかの返答無しと来た。ただ視線は相変わらず俺に向いているので、聞こえていないわけではなさそうだ
と、ようやく思い出した感じでポンと手を叩きなにやら頷き始める少女。合点でもいった様子なので、どうやら話は通じている様だ
「ごめんなさい、すっかり忘れていたわ。レミィから話は聞いてるわ、パチュリー・ノーレッジよ」
よろしく、と握手を交わして今度はマジマジとパチュリーを見つめる。病弱そうな身体と顔色。小声で早口なのも合いまって何を言っているのか聞き取るのも一苦労だ
「えっと……取り敢えずパチュリーが俺の能力を調べてくれるんだよな? 見たところ、それらしきモノはないみたいだけど……」
「有るわよ? ほら、貴方の足元」
指差す場所を目を凝らして見ると、白い線で描かれた模様が。どうやら俗に言う魔法陣らしいモノの上に俺は立っていた
「貴方が良ければすぐにでも始めるけど……どうする?」
「あっと……どれくらいかかるものなんだ?」
「長くても五分ってところかしら。早ければ十秒足らずで終わるわ」
「そっか。ならすぐ始めてくれ、よろしく頼む」
頷き、俺の前に改めて立つパチュリー。何か一言二言呟くと、ソレに共鳴するかのように魔法陣が光り輝き出す。あまりの光量の強さに、咄嗟に目を閉じて手で隠す
「──分かったわよ、貴方の能力」
パチュリーの言葉に目を開ける。光は止んでいて、魔法陣が所々欠けている。どうやら使い捨てに近いタイプみたいで、パチュリーが指を振って発生させた風に吹き消されていった
「で、俺の能力って一体──誰だ!?」
何者かの気配を感じて振り返る。ユラユラと不気味に身体を揺らしながら、人間ではないモノが歩いてきていた
「このまま教えるのもつまらないわ、だから──弾幕ごっこで勝ち取りなさい」
「グルァアアアアア!!!」
「……ッ! あぁもうわあったよ、やればいいんだろやれば! 勝ったらしっかり教えてもらうぜ!」
「頑張りなさい、危なくなったら助けてあげるから」
──こうして、俺の初めての実戦的な弾幕ごっこが始まった
化け物登場、悠哉君の初陣はどうやら化け物が相手の様ですね
魔法使いだし、召喚系統が使えても……って考えから出してもらいましたよ化け物を
さて、戦闘シーンとかどうしよ……




