第百六十話
「──では皆様方。今回ご参加頂き、誠にありがとうございました。もしよろしければ、またご参加頂けますよう心より願っております」
文が簡単に挨拶を述べてこの場を締め、霊夢と魔理沙は連れ立って博麗神社へ向かい小町はのんびりとした足取りで彼岸へと帰っていった。残されたのは、俺と妖夢と文の三人だ
「あやややや、皆さん帰られましたし私もそろそろ戻りますね。新聞のネタも幾らか頂けましたし早く書いて配らねば……」
「ははっ相変わらずのブン屋魂だなお前さんは。出来たら一つ、後で紅魔館宛に送ってくれないか?」
「あ、でしたら私も頂きたいです! 幽々子様と二人読ませて頂きますから」
「えぇ分かりました。ではまた後ほどお二人の所へ一番最初に送りますね。お気をつけて!」
黒い翼をはためかせ山へと戻っていく文の背中を見送り、妖夢と二人連れ立って歩く。しかしこうして歩くのも、なんだか久しぶりな気がするなぁ……
「あの、悠哉さん。少しよろしいでしょうか?」
「おう、どうした? ……まさか告白か? や〜お兄さんモテモテで困るなぁーなんて」
「こっ告白などではありませんよ! 第一、貴方には幽々子様が──じゃなくて! からかわないでください!」
ヒトより少し青白い顔を赤く染めあたふたする妖夢を見て、幽々子がからかうのも分かるなーなんて今更ながら思う。なんだか微笑ましい気持ちになって笑みを浮かべると、キョトンとした表情が返って来た
「? まぁいいです、悠哉さん今更なのですが……私と仲直り、して頂けませんか? 幽々子様と仲直りをされた後、なし崩し的に私も貴方と会話したり稽古に励んだりしてますがやはり此処は一つ区切りとしてお願いします」
律儀なヤツだ……だが、言う事も分かる。きちんと仲直りをしていなかったし、このままズルズルと行くのもなんだか気持ち悪い。妖夢の話に乗ってスッキリさせた方が良いだろう
「ん、そうだな……魂魄妖夢。俺は紫や幽々子、そしてお前さんや藍を裏切り一度は逃げ出した男だ。卑怯者と言われても構わない、もう一度俺と仲良くしてくれないか?」
頭を下げる。目を閉じただ妖夢の返事を待つ。……やがて、妖夢から声が掛けられた
「…………お断り致します」
「はぁっ!? まさかの拒絶!?」
「ふふ、冗談ですよ悠哉さん。私で良ければまた、稽古に付き合ってください」
「……稽古、だけか?」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。では、これからまたよろしくお願いしますね」
逆にからかわれ焦ったが、なんとか妖夢との仲直りも出来た。途中まで歩きながら次はいつ頃遊びに行くかとか話し合い、またなと声を掛け合って妖夢は白玉楼へ俺は紅魔館へと足を向けた
「──おかえりなさい。どうだったかしら?」
「あぁ、行って良かったよ。ほいコレお土産」
「わぁー! 美味しそう……悠哉ありがと!」
「パチュリー様、早速頂きましょうよ! まだかなまだかな〜」
「小悪魔、はしゃぎ過ぎよ? ……咲夜、出来る限りの速さでお願い」
「ふふふ、畏まりました。──では皆様、どうぞ」
住民達への土産は好評で、特に咲夜に喜ばれた。今度ケーキを作ってくれるとのことなので、楽しみだ




