第百五十一話
「ご苦労様ですわ。さ、下手人を此方へ引き渡して頂きましょうか? ねぇ数藤さん」
「おっと、そうは問屋が卸さないよ紫。先ず一番最初にさ、言うべき言葉が有るんじゃないのかい? ……そっちの天狗衆もさぁ」
「あら、労いの言葉なら開口一番にかけましたわ。それ以上、何を望むというのです?」
「……力づくで分からせなきゃダメなくらいに耄碌したのかい紫? ──ふざけるのも大概にしな、ぶっ飛ばすよ」
「あらあら、怖い怖い……そうやってすぐ手が出るのはいけませんわよ萃香。ほら、貴女のその隠そうともしない殺気のせいで天狗達が浮き足立ってしまってますわ」
ドンッ! と地面を踏みつける萃香。怒りを代弁するかの様に、地面が揺れる。そこまでしてようやっと紫が片眉を上げる。だが、紫は結局その場では何も言わず天狗に文を引き渡し魔理沙は霊夢に引き渡す。一言二言天狗からの謝罪を受け入れ引き上げを見送り、幾分静かになった洞窟前
「さて……藍、私達も戻りましょう」
「…………紫、ちょっといいか?」
緩慢な動きで振り返る紫と背を向けたままの藍。対照的な二人を見ながら、声をかける
「今度は──見逃がすなよ? 都度都度追われるのは、流石に敵わないからな」
「……善処致しますわ。では、失礼」
スキマに沈んでいく二人を見送り、ようやく一息。その後すぐ霊夢達を見送り小町と咲夜と萃香の旅の始めのメンバーで、一先ず彼岸を目指す。世話になった閻魔──四季さんに改めて礼を言うためだ
彼岸に着き小町に頼んで忙しい中呼んで来てもらい、今一度改めて礼を言う。四季さんは終始笑みを浮かべ、これからも善行を積むようにとだけ述べて小町と共に戻っていった
紅魔館まで咲夜を送り届け、元気になったレミリア達にも感謝の気持ちを伝えてまわり残った萃香と白玉楼へ。戻ると、心配してくれていた幽々子に泣きつかれた時は驚いたが……
こうして、俺の無実は天狗が新たに刷った新聞と共に証明され汚名は晴らされた。これでようやく、堂々と外を出歩けるというものだ




