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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第十章──出直し、模索する道──
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第百三十三話

「おい、悠哉っ! しっかりしろっ! パチェ、早く氷を融かせ! このままだと凍傷で……!」


「分かってるわよレミィ! 少し静かにして頂戴、気が散るのよっ! 小悪魔、魔法陣を書いて今すぐ!」


──身体が、動かん。ろくに受け身も取れなかったために、地面に背中を強か打ち付けたせいで呼吸もままならない。ボヤける視界の遠くの方で、チルノらしき物体が浮かんでいるのがなんとなく分かる……


意識が、遠退く……また……負けるのか……? 萃香や……美鈴に師事した……のに、まだ紫と……仲直り出来てない……


──身体がじんわりと暖かく感じる。意識がはっきりしてきた、まだ負けられん……氷精がどれほど強かろうと、挫けるわけにはいかないっ


「……めいりん、起こしてくれ……まだ戦える……」


「……分かりました。ですが、次は有りませんよ。次は止めますから」


肩を貸してもらい、ゆっくり起き上がる。幸い、身体に張り付いた氷は全て融かされて自由に動かせる状態に戻っていた。深呼吸を一つ二つ、三つ。意識がクリアになる、隅々まで感覚が戻った


「──待たせたな」


「復活したって、アタイには勝てないのよ! 早く降参しなさい!」


ふわりと浮かび上がり、チルノと再び相対する。余裕たっぷりに笑みを浮かべるチルノを見据え、腰を落として構える。──行くか


「絶対……勝つ!」


「叩き落としてあげるわ!」


冷静に、落ち着いて飛んでくる氷の粒を斬り道を確保。能力発動、チルノへ弾幕を当てる道を発見。……射出、続けざまにもう一度射出


最初に放った弾幕が失速していくその後ろから、無事な二発目がチルノへと突き進む。ソレらは応戦するために撃たれた弾幕を躱して殺到、見事チルノに命中


完全に体勢を崩したチルノにさらに追い打ちをかけるべく、ホーミング弾と大弾で回避するスペースを狭めて追い詰める。思った通り、迫ってくる弾幕の対応に追われチルノの意識が俺から徐々に離れていく


絶えず撃ち続けながら、遠回りに円を描くようにして距離を詰めていく。……いつしか、チルノの意識は完全に弾幕に向ききっていた。チャンスは一度、次は無い。まるで……いつぞやの俺と紫のあの一戦の様だ


一気にスピードを上げ、尚且つ霊力を高めて身体能力を強化。高速で迫る俺に……まだ気づいていない。加速と強化に集中するため、弾幕の密度が少しずつ薄くなっていく。気づかれるのも時間の問題、だからその前に……一撃くれてやるっ!


「もううっとおしい! どうせ当たらないんだから、諦めなさいよ! ……ってあれ? アイツ、何処行ったの? さては、アタイのあまりのさいきょーっぷりに舌を巻いて逃げ出したわね!」


「──それを言うなら尻尾を巻いて逃げ出すだ馬鹿者」


一閃。その一撃で落ちるチルノに、散々凍らされたお返しに弾幕を撃ち込む。……ふぅ、スッキリしたぁ


完全に目を回したチルノと、チルノを看病する……妖精? なんでも、彼女は大妖精(だいようせい)と言うらしくチルノとよく行動を共にしているんだとか


文字通り引き摺る様にして連れ帰る大妖精を見送り、ホッと一息。ホント、散々な目に会った……


「お疲れ様悠哉。取り敢えず……その凍ったままの門や庭の手入れ、よろしくねー」


「頑張って悠哉、日暮れまでには終わると思うから。じゃ、そういうことで」


「頑張ってね悠哉〜! 終わったら、一緒にご飯食べようね〜!」


スタスタと帰っていくのを、ただ呆然と見送る俺と美鈴。二人で顔を見合わせ──どちらともなくため息を吐く


「…………頑張りましょうか悠哉さん」


「…………あぁそうだな美鈴」


結局──日暮れまでには終わらず、その後夜遅くまで働くハメになった……

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