第百三十一話
──紅魔館に来て、早いものでもう一つの季節を終えてしまった。現在は夏、何処へ行っても暑さが付きまといおかげで一日中汗だくだ。俺や美鈴が汗を流しながら働く中……咲夜やパチュリーは涼し気に目を細めてのんびりくつろいでいる
……一体、何をしてるかだって? 簡単さ、パチュリーが作った水魔法で水浴び──まぁ手や足を濡らしたり浸けたりする程度だが──をしている最中なのだ。ちなみにレミリアとフランは吸血鬼なので水浴びが出来ず、代わりにこれまたパチュリーの風魔法で冷風を送ってもらい涼しそうだ
「……そろそろ、暑さで頭がどうにかなりそうだよ。パチュリー、俺と美鈴にも頼むよ……」
「そ、そうですよパチュリーさまぁ……いくら私でも限度が有りますよ〜……」
俺達二人はその間、咲夜の分までやれクッキー取ってだのやれ紅茶を淹れてだのと飛び交う指令をひたすらこなしていた。あ、頭がボーっとしてきた……
「ん、それもそうね。ちょっと待って……行くわよー」
パチュリーの魔法が心地良く、思わず目を細める。……何故かやたらと寒い気もするが、一先ず落ち着けそう……
「あ! こらもやし、冷たいのはアタイのせんばいとっきょだぞー! 人のを取るなー!」
──なんか来た。物凄い冷気を放つヤツが。いや今の時期嬉しいんだが水浴びに使ってた桶には薄っすら氷が張ってるし、門にも霜が付いてるだと……!?
「ちょ、寒い! チルノちゃん寒いからちょっと落ち着こうよ! そこの人、手を貸してください!」
「は、俺? ……厄介な事に巻き込まれたよ早速。分かったから、さっさと──来い」
「よゆーぶってるのも今のうち! アタイはさいきょーなのよ!」




