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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第九章──別たれる縁、離れゆく心──
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第百二十話

「──シッ! フッ! ハァッ!!!」


藍の鋭い爪から繰り出される連撃を刀でいなしつつ、その後方から放たれる紫の弾幕をグレイズしながら避けていく。一歩読み間違えば藍に切り刻まれるか紫に叩きのめされる……そんな窮地であっても、何故か笑みが浮かぶ


お返し。左右から大玉弾をぶつけ尚且つ正面からホーミング弾を射出。ワンテンポ置いてレーザー弾と小粒弾をこれまたタイミングをズラしながら発射


やはり後方に居る紫は軽々と、藍もグレイズしながらではあるが避ける。──体勢が崩れた藍に、一撃見舞おうとするも、驚異的な反射力で切り結ぶ


「……やるな、衰えてはいないようだな? 流石だ……!」


「っ、どうも! こちとら死ぬ気でやってるんでねぇ! 後が無いとは……この事だなっ!」


一瞬の隙を突き、藍を蹴り飛ばし追撃──しようと走るも、ピンポイントで紫のスキマが邪魔に入る。やりづらい、その一言に尽きる


近距離は藍が、そして中遠距離は紫がそれぞれ担当しお互い知り尽くしているからこそ出来る連携。崩すには……アレしかない


「……そろそろね、来るわよ藍」


「……御意。来い、悠哉」


──道符「迷える者への道標」──


先ずは一枚目。これで発動中は紫や藍の弾幕は読める。……最初は藍、紫は後だ


「……っ、明らかに動きが変わった? 弾幕を読むだったな、面倒な。だが……そう甘くはないぞっ!」


読んで読んで読み続けて──ギリギリ回避に成功。藍のヤツ、人間の身体の限界まで弾幕を……!


「図星か。いくら読めても回避するお前がついていけなくては話にならないものなぁ。……さっさと落ちろ」


──詰んだ。いや、まだだ。まだ、終われない! 懐の白紙のスペルカードの素へ手を伸ばし、新しく頭の中で描き出す。今必要なのは、相手の弾幕に作用するスペルカード……


「…………いくぜ。俺の新しいスペルカードだ、とくと味わえ!」


──転符「行き先を失った帰り道」──


直後、藍と紫の弾幕が一斉に──消える。驚く藍と警戒する紫を尻目に、弾幕があちこちバラバラに配置される。遠回りを余儀無くされる様に、それでいてきちんと避けられるよう隙間もちゃんと有る


「さて……ちゃんと家まで帰れるかな?」


左右からレーザー弾がゆっくりと迫り来る中、藍と紫両方が前進を開始。道中弾幕を消し飛ばしながら、着実に俺の元へと迫ってくる


だが──これこそ俺の思うつぼだ。思い出してほしい、スペルカードの名前を。転符、そして帰り道。つまりこのスペルカードは──


「……かかったな?」


「──藍! すぐ後退するわよ!」


紫は気づいたらしいが、藍は真ん中を過ぎてしまっ(・・・・・・・・・・)()。そう、このスペルカードは真ん中までは真っ直ぐに進み真ん中まで来れば今度は転じて下がる必要が有る。これが転符と帰り道の意味なのだ


すぐさま下がったおかげで弾幕の範囲から逃れた紫とは対照的に、きっちりハマってしまった藍はひたすら迫り来る弾幕を避け続けていた。だが、徐々にグレイズが目立ち始め──


「……取った!」


完全に体勢を崩してしまった藍の首へ刀の峰を叩き込む。一度では気絶しなかったため、追撃で鳩尾へ渾身の右ストレート。ズルズルと崩れ落ちる藍を担ぎ上げ、見ていた博麗に──いや、霊夢に任せる


「……なかなかやるわね、悠哉。成長はしているようで良かったわ。でも、その程度で勝てるとは思わないことね」


「ここからが本番さ。絶対……勝つ!」


あちこちに開かれるスキマから発射される弾幕や落とされる物体を斬り捨て蹴り飛ばし掻い潜る。途中、墓石が降ってきた時は内心かなり驚いたが


なんとか、スペルカードを使われる前にケリをつけたい所だが……それはあくまでも希望だ。絶対使ってくるだろう


だが負けられない、負けるわけにはいかないんだ……!

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