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東方幻想記  作者: 弾奏結界
第九章──別たれる縁、離れゆく心──
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第百十五話

私こと霧雨魔理沙は、パチュリーから借りた本を手にホクホク顔で自宅へと戻って来ていた。いや〜まさかパチュリーが自分から貸してくれるだなんて、まるで夢のようだぜ


そうだ! この事を霊夢のヤツにも言って驚かせてやろう! 普段のパチュリーを霊夢も知ってるから、きっと驚くに違いないぜ!


──博麗神社へ向かう途中。いつもは大量に居る筈の低級妖怪や妖精が、今日は全く姿を見せない。こんなの初めてだぜ……なんとなくだけど、嫌な予感がするぜ。霊夢並みとは言えないけど、私だって勘は働く方だ。きっとこの勘は当たってる、しかも悪い意味で


「急ぐぜ……! 霊夢なら何か知ってるかも……!?」


博麗神社を視界に収めた私は絶句した。鳥居から先が真っ暗な球体に包まれていたのだ。丁度──母屋にも重なるように


「……霊夢っ! 無事で居ろよっ!」


ミニ八卦路の出力を最大まで高めて速度を上げ、球体に突っ込む。抵抗を感じたけどそのまま突っ切ると、開けた場所に出た。そこには──見るも無残な姿の悠哉と血濡れた藍のヤツが居た


「──おい! 何やってんだぜ!? 止めろぉ!」


悠哉が一瞬此方を見て──首がカクンと落ちる。マズいぜ! 急がないとアイツ、ホントに死んじまう!


得意の星型弾幕をぶっ放しながら突き進む。苦々しげに顔を歪めた藍が距離を置いたのでさらに速度を上げ、悠哉の元へ。最初に見た感想は──生きてるのが不思議、だった。辛うじて呼吸は、している。だけど身体は穴だらけの血だらけで、とっくに死んでてもおかしくない状態だ。藍のヤツ、何の恨みか知らないけど明らかにやり過ぎだぜ……!


込み上げてくる怒りと吐き気を必死に飲み込みながら、震える足で一歩ずつ藍へ向かって歩く


「……これは一体、どういう事なんだぜ? きちんとした説明くらい聞かせてくれるんだろうな?」


「……お前に話す事など何も無い、霧雨魔理沙。巫女なら母屋だ、さっさとそこを退け」


「退いたら、悠哉をどうするつもりなんだ? 返答次第では──退かないぜ!」


「もちろん決まっている。……その男を殺すんだよ、痛みを最大限まで与えた上でな」


「……なるほどね。なら、退く事は出来ないぜ。藍、お前は私が止めてやるぜ!」


「愚かな……来い、霧雨魔理沙ぁ!」






「……ねぇ妖夢? なんだか、胸騒ぎがするのよ……なんなのかしらね?」


「……さぁ、分かりかねます。今の幽々子様には、心配事など無いでは有りませんか」


「えぇ、そうなんだけれどね……()元気にしているかしら」


「……去った方の事など、覚えておりませんので」


「妖夢……」


「お話中悪いけど、邪魔するわよ」


「あら紫、いらっしゃい。今日は何用かしら?」


「藍を見ていない? あの娘ったら、急に連絡も無しに居なくなっちゃったのよ……一体何処に行ったのかしら」


「珍しいわねぇ、藍が居なくなるなんて」


「あやややや、皆さんお揃いでしたか。大変ですよ!」


「あらブン屋じゃないの。一体どうしたの?」


「博麗神社で現在、正体不明の黒い球体が発生しているんですよ! しかも同時刻、()と魔理沙さんが博麗神社に向かった事も確認済みです!」


「……何故、()が向かったと?」


「先程、十六夜咲夜さんから直接お聞きしました。なんでもその……中立である霊夢さんの所で、紫さん達と仲直りをする策を検討しに吹っ切れた表情で向かったと」


「…………そう、そうなの」


「さらに、その少し前には藍さんが博麗神社に向かっていたのを配下の鴉が見ているんですよ! どう考えても答えは──」


「衝突した、ですね。ですが、私達にはもう……」


「…………行くわよ、幽々子」


「………そうね、行きましょうか。妖夢、同伴を。それからブン屋? 貴女ももちろん来てくれるわよね?」


「えぇ、ネタのためなら何処へでも」


「……本当によろしいので? ()にまた何か言われるかもしれませんよ?」


「それでも、よ。やっぱり私達、()を忘れられないみたいなのよ。……さ、行きましょうか──博麗神社に」

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