第百十一話
気が向いたら行く先として博麗神社を頭の片隅に置いた俺は、暇を持て余したので気分転換に図書館へと足を向ける。フランもついてくるそうなので二人手を繋いでのんびりと歩く
フランの口から出てくる話題はレミリアとの姉妹話だったり咲夜やパチュリーとのお勉強の話だったりと多種多様に渡る。どうやら、家族と仲良くやれているようで一安心だ
「あ、着いたよ! ……あれ、何か貼ってある」
「ん、どれどれ? ……現在、清掃中につき立ち入りを禁ずる。許可無く立ち入った者にキツい罰を──ありゃりゃ、こりゃ入れんな……っておいフラン? 話を聞いてたか〜?」
「お手伝いするから大丈夫だもん! 行くよ悠哉ー!」
……少々強引に扉を開き、中へ。案の定、出迎えてくれたのは宙に浮かぶ多数の魔法陣。あ、発光し始めた
「……ぼんやりしてる暇ねぇ!? フラン、こっちだ!」
「あ、待ってよ悠哉! 引っ張らないで〜!」
──で、散々図書館内をフランを連れて走り回ることしばし。ようやくパチュリー達を見つけた時には、俺はボロボロでフラフラだった。片やフランは、楽しかった〜と呑気なもんだ
「……あら、二人共よく来れたわね。まぁ大体の事情は察するけれど、貴方もお疲れ様ね。それで? 一体この忙しい時に何用かしら?」
「えっとね、お手伝いに来ました! もちろん悠哉もね!」
「あ、やっぱり俺もやるのね……そういう事だからさ、手伝うよ」
「嬉しいわ。なら妹様は小悪魔と一緒にあちらで本棚の中の本を一冊ずつ丁寧に整頓してきて頂戴。先に小悪魔がやってるから、話せば問題無いわ」
「分かった! 行ってきま〜す!」
……向こう側から小悪魔の驚いた声とフランの笑い声が聞こえてくる。やや心配だが、二人なら大丈夫だろう……きっと
「それで……貴方はこの本を全て一度机の上に表紙が表になるよう置いていってほしいのよ。そうすれば後は自動で本が本棚に帰るから、次はソレの見届け。最後に入らなかった本を此処へ持って帰ってきて、もう一度同じようにする。これを、本が全て収まるまでやるの。どう? 簡単でしょう?」
「……うわぁお、想像以上にキツいの来たよ。おし、俺も男だやってやるぜ!」
──で、やり始めたのは良かった。最初は上手く行っていた、そう行っていたのだ。だが、あまりの膨大な数の前に体力も底を尽きそうです……
「……ぱ、パチュリー……? ま、まだ……なのか……?」
「ちょっと待って頂戴……おめでとう悠哉、後半分よ」
こけた。それはもう見事なまでに。かれこれ一時間はやっている筈だが、まだ半分。終わる気がしない……
「──パチュリー! 今日も何冊か借りに来たぜー!」
……この声は魔理沙か? 借りに来たって一体……? なんて思っていると、魔理沙が着地。その衝撃で、俺が苦心して積み上げた本が全て崩れ落ち足元に散らばった……
「よう、奇遇だな悠哉! お前も此処に用が──」
「……おい、魔理沙。てめぇ、何処見てやがる……! 人が苦心した努力の結晶を、よくもぉ……!」
「へ? もしかして、さっきの本の塔の事か? いやー悪い、積んであるのを見ると崩したくなるのが人の性。ま、運が悪かったと思って許してくれよ? 私と悠哉の仲じゃんかー!」
「ま、魔理沙……どうなっても知らないわよ。小悪魔、妹様! 作業を一旦中止、速やかに戻って来て!」
ひょこっと二人が戻って来て、パチュリーの周りに。その後、パチュリーが本と自分達に魔法壁を展開する
「おいおいパチュリー? いくらなんでも大袈裟過ぎるぜ……悠哉もなんとか言って……?」
「 ぶ っ と ば す 」
固まった魔理沙の顔目掛けて大玉弾を連射。小気味良い音を奏でながら、少しずつ魔理沙の身体が宙に浮いていく。最後に自由落下に入った魔理沙の背中側にオマケの一発をぶつけて──叩きつける
「……だから言ったのに」
ぼそりとパチュリーが呟いた一言がやけに響く、大変静かな図書館であった……




