第十話
で、その後は何事もなく──藍の帰宅を待って夕食を済ませ、お風呂を頂いて現在縁側にて涼んでいる
乾かした髪を夜風がなびかせていく。火照った身体にはさながら自然の扇風機の様で最高に心地よい……
「あら、此処に居たのね。てっきりもう寝たかと思ってたわ」
「ん、紫か。寝てもよかったんだが、なんとなく涼みたくてな。丁度縁側の近くに居たからそのまま流れでふら〜っとな」
「そうなの? なら私も涼もうかしらねぇ、隣失礼するわよ」
どうぞ、と言って少し場所を空けて紫と二人夜空を見上げる。外だとなかなか見ることが出来ない満天の星空が、目の前いっぱいに広がっている
「……綺麗だな。久しぶりだな、こんなにも綺麗な星空見たのは」
「仕方ないわ。外は便利さを追求し、代わりに色んなモノを失って成長してきたのだから。その中にこの星空も入っていてだから見られなくなった、それだけよ」
そう言った紫の横顔は──何処と無く哀しそうだった。幻想を愛する者として、こんなにも美しい光景が人々から忘れられ消えていくのが我慢ならないのだろう
「……俺、こっち側に来れてよかった。こんな景色滅多に見られるモノじゃないからな……紫、本当にありがとうな」
「べ、別に……でもよかったわ。貴方にそう言ってもらえて、私としても嬉しい限りだわ」
しばらく二人で夜空を眺め、どちらからともなく立ち上がる。一言二言交わし、自分の寝床へと向かう
──明日、向かう所があるらしい。俺の能力を調べる意味でも、幻想郷を知る意味でも……
「さて、どんなヤツに会えるのかねぇ……ちぃっとばかし楽しみになってきたな。流石に初対面で弾幕ごっことか挑まれないと思うが……どうなんだろ」
──行き先は、博麗神社──
はい、取り敢えず此処までが第一章になります
次回第二章は、原作主人公格の一人が出てきます。貧乏巫女だの脇巫女だの言われてるけど、確かお賽銭もそこそこ有るし紫が食料の提供をしていたりでそこまで貧乏ってわけでもないとかなんとか……
曖昧なんですよねぇその辺り。当人からすれば、死活問題に発展しかねませんが




