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その8

 とりあえず全員そろったので状況を説明する、のだが……

「説明面倒だから色々端折らせてもらうけど、時間が止まったっぽい、以上」

 簡潔に説明させてもらったが、今聞いていたのは

「なるほど、大体分かった」(分かってない)

『なるほど、つまり我々はスタンド攻撃を受けているのか……』(中途半端にしか理解できていない)

 まさかの2人である。しかも、2人が2人ともあまり理解できていないし……

「よぉしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」

「…………何故こんな時に限って連絡がこないのじゃ……」

 恐ろしい速度でクティーラの頭を撫でるバイアクヘーさんと、頭を撫でられながら、クトゥルーに連絡しようとするクティーラ……眠ってるんじゃないのか?クトゥルーさん

「グルルル……」

「先生!ニャルラトホテプさんが威嚇してきまーす、はやく麻酔弾を撃っちゃってくださーい」

 クトゥグァに喧嘩を売るニャルラトホテプ(何故か獣の姿……威嚇したいからか?)に適当にあしらおうとするクトゥグァさん

 カオス、一言で言ってカオスだ。せめて1人でもいいから状況を完璧に理解していて、それを分析できる人材が欲しい……邪神にそれを要求するのは少々酷なことかもしれないが

「お前ら、頼むから話を聞け……とりあえず政、大体分かったと言ってるけど実際分かってないだろ。でもってイストラルさん、ザ・ワールドで周りの時を止められてるのはスタンド攻撃に入るのか?」

 まずは2人組、他はアレな奴らしかいないからまずはこいつら

「でもってバイアクヘーさんはクティーラを離せ、話はそれからだ。でもってクトゥグァさんとニャルラトホテプは喧嘩すんな。ニャルラトホテプは月に吼える者ムーンビーストの姿とるな、でもってクトゥグァさんは時計型麻酔銃でニャルラトホテプ撃とうとするな、バレバレな上に麻酔銃ぐらいじゃ眠らないからな、こいつ」

 渋々話し合いの姿勢に移る皆……そもそも時計型麻酔銃ってどこに売っていたのか、とか色々ツッコミ所があるが、後回しだ


「まず……今回の事件の黒幕に心当たりがある奴、正直に手を挙げろ」

 そういうと、分からないと言わんばかりに、沈黙した。……ニャルラトホテプ以外の全員が

 重要参考人、ニャルラトホテプ……

「ニャルラトホテプ、黒幕に心当たりがあるなら正直に言え」

 場合によっては怒らないから

「……………………ひゅー♪」

「…………クトゥグァさん」

「御意……」

「熱っ……くないですよ……あ、熱くないです……む、むしろまだまだぬるいくらいですよ……」

 滝のように冷や汗と汗を流しながら何を言っているのか、このアホは

「クトゥグァさん、もっと熱くして欲しいみたいですよ」

「分かった!」

「熱い!熱いから!……分かった!分かったから!いうからやめて!」

「ストップ、クトゥグァさん」

「熱かったでしょう?ニャルラトホテプ、18Kまで冷やしましてあげましょうか?」

やさしいなークトゥグァさんは(棒)

「あ……ありがとう、君にしては気が利くね……って言うと思ったかい!?ボクの事を冷凍するつもりじゃないのかい!」

 ちなみに18ケルビンは普段使っている℃表記にすると、18-273で-255℃になる。もう冷凍で済む温度なのかな?

「……全く話が分からねぇ」

 もう駄目だ政……割と基本中の基本の℃表記とK表記の違いが分からない時点で……


「ヨグソトース、それが多分今回の事件の黒幕にして、ボクの上司の名前だ……」

「ヨグソトスなのか……」

「ノー!リピートアフターミー、ヨグソトース!」

「何で英語?……ヨグソトス」

「ノー!ヨグソトース!」

「ヨグソトースな、分かった」

 細かいところだが、それなりに重要なようだ

「で、ヨグソトースがお前の上司?」

 確かクトゥルー神話だと、ニャルラトホテプの上司はアザトースの方だったハズだが……

「…………分かりやすく、ゼニス勢力で例えるけど……」

「分かりづれぇよ」

「なるほど、わかりやすいな!」

「アザトホース様が、ウェディング」

「相場高いよな!あいつ」

「…ヨグソトース様がアンノウン、アガサ・クリスティ」

「ああ!それっ(ドゴッ)」

 政が一々五月蠅いので、ついかっとなって軽く腹パンした。後悔はしていない。

「そして、ボクがアンノイズ、パクルパン」

「見事なまでにアザトホースの扱いが酷かったな」

 もはやアザトホースではなくアザトソースだった。見事に1人だけ光魔じゃなくて堕天使側だし

「……うーん、分かったような分からなかったような……カームちゃんは?」

「絶妙な感じによく分かりませんでしたけど……要はニャルラトホテプさんの上司は今回の事件の黒幕(仮)のヨグソトースさんで、更にその上にアザトホースさんがいるということですか?」

「大体合ってるね」

「最初からそう情報を伝えていたら、政さんは死なずに済んだんじゃないですかぁ?」

 クトゥグァさんが、情報を公開しなかった為に犠牲者が出た件で元ベータテスターを責めるかのように言った。いや、政はまだ死んでないから。軽く満足式腹パンをしただけだから、流石に死んでないけど。でもって、その場合犯人はNPCモブじゃ無くて僕の方だけど、弾劾されるべきは僕の方なんだけど

「ビーター……いい呼び名だね……」

「お前はいつから黒の剣士になったつもりだ、あと誰もベータテスターのチーターだからビーターとか言ってないからな?」

 こいつらひょっとして仲いいんじゃないのか?ノリツッコミとかしてるし、ボケに重ねてボケるし。

「待て……犯人はそいつじゃない…………犯人は…………」

 あ、政が起きた

(ドゴッ)

「病人は眠ってないと駄目じゃないか……」

「お前が……ファン……ト……」

「政?政!大丈夫か!」

「いや、犯人はお主じゃ」

 さっきまで眠っていたハズのクティーラにツッコまれてしまった。まあ、最初から政は戦力に数えてなかったから眠ったままでもいいとして……

「ニャルラトホテプ、ヨグソトースの居場所に心当たりとか無いのか?」

「うーん……崖っぷちとか……海岸とか?」

「今の時間、自供に丁度いい崖にいったら間違いなく帰る時に1人ぐらい減るし、海岸は……多分ないな」

「1人減るのなら、また1人増やせばいいじゃないか」

「ニャルラトホテプ、ひょっとしてお前はアホなのか?こんな時間に目的もなく外を動き回るような酔狂な奴はいないだろうに」

「いや、そういうことじゃなくて……」

「さて、バイアクヘーさん……なんか居そうな場所の案ある?」

「……一応……この辺というか近くになくはないのですけど…………」



「……で、本当にこんな所にいるのか?」

「あくまでも直感的に、いる『可能性がある』と思った程度ですけど……」

「確かに……ヨグソトース様がいるかもしれないけど……」

「ニャルラトホテプがそういうのならそうかもしれないけど……」


「じゃが……本当に遊園地にいるのかのう?」


「……いまさらだけどさ……なんで遊園地?」

「ヨグソトース様はアレだからね、見た目は子供頭脳は大人の俗に言う……合法ロリ?」

「バーロー!」

 もっといい説明があったろうに……なんで乱歩+ドイルなあの名探偵で説明したのか

「………………………………」

「クティーラ?」

「っ!?なっ……なんじゃ?」

「いや、とくに理由はないけど…………ひょっとして、遊びたかったのか?こんな時間だから、流石に動いてないけど」

「そっ、そそっそんなわけがアルマイヤー!」

「落ち着け、テンパるな、キャラブレするな」

 振る舞いとかはそうでもなかったが、中身は子供だったのか

「……今度また来る?」

「…………(コクコク)」

「松明~、火付けてくれないか?」

「それは暗に自分に火を付けてくださいってことかな?ニャルラトホテプ」

「あ、間違えた。暗いから大正時代か昭和初期の成金がやったように周りのアトラクションに火を点け」

「自分に火を付ければ明るくなるけど、なんでそうしないのかな?」

『今は争うな、争うならば後で人気のない場所で行え』

あの2人+幽霊もどき1人はそっとしておこう

「何か……聞こえませんか?はっきりとしない声ですけど……子供の声が……」

「…………争え…………も……争え…………」

 確かに不明瞭ながら聞こえてきた。何故か『争え』という言葉だけは明瞭に聞こえてきたが

「幽霊?」

「………………(ピクッ)」

「まあ、深夜に出歩くような子供はいませんし、ヨグソトースさんでなければ、そうだと思います」

「ニャルラトホテプ、なんか声が聞こえて」


「散れ、松明!」

 ファイナルベントという、機械音声と共に諸事情あって、描写できないような技を繰り出すニャルラトホテプ

「じゃあこっちこそ……」

『チョーイイネ、キックストライク、サイコー』

 ニャルラトホテプよりも(ネタが)酷いキックを繰り出すクトゥグァ……そっとしておこう

「さて、二人は置いといて、行くぞ……」

 止めに行った結果石になったとか、両方の攻撃を食らって死にかけたとかはシャレにならない。……あの二人なら死にかけたで済めばまだマシかもしれないが。


「…………ライト、持ってくるべきだったよな」

「そうですね、確かにそう思います」

「……バイアクヘーさん、つい数日前のあのキャラはもう無かったことになったのか?」

「そういう話はあとでにしましょうか。まずはヨグソトースさんを探すことが先決です」

「……はいはい」

 触れてはいけない事だったのか?俗にいう、黒歴史とかそういったものになったのか?

「……こっちに…………きて…………」

「っ!?(ビクッ)」

「お化けだったな……クティーラ、帰るか?」

「まっ……まだ帰るわけにはいかないのじゃ!何があろうとも、ヨグソトースを見つけるまでは絶対に帰らないのじゃ!」

「……強気なクティーラさん…………良いです!」

「ちょっと静かに……変態的な発言は慎んでくれないか?」

「それは遠回しに変態的な発言が多いって言ってませんか?」

「いや、また聞こえてきたから……」

 まあ、遠回しにそんな意味を込めたりもしたが

「…………早く……」

「………………こっちに……」

「…………………………来て……」

「っ!!??(ビクッ)」

 まさかの声が全方位ほぼ同時にきましたよ?これヨグソトースだよな?犯人?お化けとかじゃないよな?もしそうだったら邪神直視でも下がらなかったSAN値が一気に直葬されかねない

「どうしたクティーラ?び、びびってないか?」

「おおお主こそ、怖がっておらんか?」

「し、失礼な!今のしかビビってないし!」

「うふふっ、怖かったらお姉さんに言うんですよ~」

『むしろバイアクヘー(さん)だけには頼りたくない(のじゃ)!』

「えっ、酷くないですか……」

「いや、普通に頼りたくない……変なことされそうだし」

「うぅ……」

「そういえば、ここにいそうだって言ったの……バイアクヘーさんだったよな?」

「そういえば……そうじゃのう」

「…………(サッ)」

 顔を背けるバイアクヘーさん。だが、更に追撃させてもらう。

「でもって、そこまで落ち着くのは大まかに何が起こるのか分かっていないといけないよな?」

「………………くっ……」

「つまり、バイアクヘーさんは僕らを毒牙にかけるために、ここにさり気なく誘導して、怖がらせたんじゃないかな?…………何か反論したいことがなければこの推理通りということにしておくけど、何かある?」

「…………その通りです。……この遊園地で、『夜になると子供の声が聞こえてくる』という噂を小耳に挟んだので、ちょっと魔がさしましてね…………でも、あんなに怖いなんて思ってませんでしたよ!あーちゃんもクティーラちゃんもビビっちゃってましたので、せめて私だけはしっかりしなきゃと」

「ああ、うん」

 もうヨグソトースか幽霊かなんてどうかなんてどうでもよくなってきた。謎の脱力感が……

「…………こっちに…………」

「……………………早くして…………」

「……立ち止まってないで…………」

「………………早く…………」

「……催促されてるな」

「…………zzzz」

 気がつけばクティーラは気絶……じゃない、寝ていた……

「おいクティーラ起きろ」

「はっ…………べ、別に怖くなかったのじゃ!た……ただ眠くなっただけじゃ!」

「はー、さいですかー」

 明らかに気絶していたように見えたが、僕の気のせいだったようだ……(棒)

「………………まだ?」

「……いい加減にして…………」

「…………………………これ以上待たせるのなら…………」

「……覇王殴龍拳を使わざるをえない……」

「幽霊に覇王殴龍拳が…………使えるわきゃねぇだろ!」

「…………月光……」

「………………であーる」

 中々にノリのいい奴みたいだ、ネタが危ない件をのぞけばだが。

「御大将も知ってて使わざるをえないアレも知ってるって、一体何者何ですかね?あなたもですけど」

「政にネタを振られるうちにのめり込んでいったというかなんというか……ってクティーラ?クティーラ!」

「ぷえ~~ん……はっ……ちょっと眠っておっただけなのじゃ」

「……お前がそう思うのならそうなんだろうな。ただし、お前の中でだけな」

「眠っておったのじゃ!気絶などしておらん!」

「あーはいはいそーですか」

 そう遠くない場所で何かが落ちたような音がした……おそらく金属製の鉄板だろうか……?

「バイアクヘーさん、ちょっとそっちの方照らして……」

「わかりました~」

 一本しかないライトで照らしてもらった先にあったのは多分カードゲームのカード位の大きさ……そして赤色の……誰かが落としていったのだろうか?……いや、金属製の何かが落ちた音は多分これ……つまり、ヨグソトースが落としていった可能性が高い

 一応何か気になったので、多少の危険は承知のうえで、バイアクヘーさんが照らす光の先……カードのようなものが落ちている場所に歩き、カードを確認する……

「……これは鉄板…………紙?」

 裏に貼り付けてあった紙にはこう書いてあった。『この文章を読んで振り返った時、お前は……』

 『ゴゴゴゴゴ』とか『ドドドドド』といった擬音が似合いそうな文章が書いてあった。……助かるかな?これ?

「…………わたし…………ヨグソトース……」

「今…………あなたの…………」

「背後にいるの」

 最後の声が聞こえると同時に、誰か……おそらくヨグソトースが背中に乗っかってくるような感触がした……下手なホラーよりもこういう都市伝説的な状況の方が怖いということが良く分かった。正直、すぐにでも悲鳴を上げて意識とさよならバイバイしてしまいたい……そうすれば助かるのに

 いやいやいや……落ち着け僕、こういう時の選択肢は……

 ③助からない

 14.あなたは死んでしまいました

 ③、③……③…………

「うきゅー………………」

「クティーラちゃん!しっかりしてください!ちゃんと影がありますから、幽霊じゃありませんよ!」

 もう誰にも頼れない。クトゥグァとニャルラトホテプは2人とも敷地外だし、多分クティーラは気絶しちゃって、バイアクヘーさんはクティーラの保護。ナイスなアイデアが思いつきそうもない。

「あなたはもう…………終わりゲームセット………」

「助からない、現実は非情である…………か」

「でも…………一回だけ……チャンスをあげる……」

「…………なに?」

「………………ワンチャンは何が良い?」

「いや、僕に聞くなよ……」

 というか、思いつかないのなら言うな。ワンチャン与えるな。この上司ありてあのニャルラトホテプというか、詰めが甘すぎるのはどっちも同じようだ。

「…………じゃあやきう?」

「2人でやる野球は野球じゃない。ただのキャッチボールだ」

 そろそろ後ろ向いてもいいと思ったので、隙を見てヨグソトースを背中からおろして、後ろを向く……ヨグソトースはクティーラよりも更に幼い姿だった。大体クティーラが12歳位だとすると、ヨグソトースは9歳位……最早ロリの領域から外れてそうなのは気にしないでおこう。

「……じゃあ……麻雀?」

「イカサマやらないのならな」

 やっぱり面向かってツッコミした方が色々とやりやすい。

「………………料理」

「審査員いないし料理出来るような設備ないしそもそも食材はどうするんだよ」

「対決…………じゃあ、ゲーム?」

 そういい、ポケットの中から携帯ゲーム機とソフトを取り出すヨグソトース……

「先に言わせてもらうが…………貴様!そのゲームをやり込んでいるなッ!」

「答える必要は…………ない」

「……野球バラエティの二作目か、懐かしいな……」

 もしくは割と真面目に野球をやっていたころの野球バラエティ

「…………ところで、どうやって対決するんだ?」

「それは……やきうで……」

「いや、通信ケーブルないと対戦出来ない……」

「………………じゃあ裏サクセス…………?」

「………………戦争編?」

「うん…………そう……勝負は……どっちが先に……無事生きのびて終われるか……」

「……そもそも対戦するようなのじゃない気がするけど……ま、いっか」

 このときはまさか、この対決が一時間以上もかかってしまうほどに泥沼化するとは思っていなかった……



「即行で……襲撃されて…………死んだ……」

「……ドンマイ」


「力尽きて…………死んだ」

「で、何日?」

「残り……156日」

「44日目か……不吉じゃねぇか、数字が……ああああ!……………………44日目であと1日だったのに……選択ミスって死んだ…………」


「……ツキって、何だったんだろうね……普通にツキ高くても即死するし」

「それは…………言っちゃいけない……意味のない魔法防御力と同じくらいは………………触れちゃいけない……」


「…………通った!最高に……ハイって奴だァ!」

「一体……何?………………おめでとう…………これであなたも折り返し地点…………でも……まだあと100日残ってる……」

 まだ100日残っていようとも、半分も生き残ってるから喜んでもいいだろうが! ……あれ……『あなたも』?


「勝った!戦争編ッ完!」

「やっと…………終わったの……?」

「……引き分け?」

「でも……私の方が……先に終わった……」

 ……ひょっとして……負けた? ヨグソトースの方が早く終わったし

「ありがとう……久しぶりに……楽しかった…………他の人と一緒にゲームできて……」

「……じゃあ……一つ、聞いても良いか?」

「うん……あなたは私の友達…………とても大切な友達」

 なんだかんだでヨグソトースに友達認定されてしまった。ニャルラトホテプの(元)婿候補で、ヨグソトースの友人でクティーラの眷属でバイアクヘーの獲物で……これ以上肩書きが増えないようにしたいな、無理だけど。邪神は災害のようなものだから無理だけど

「時が止まってるの、お前の仕業か?」

「うん……そう…………ニャルラトホテプの為を思って……」

「なんでニャルラトホテプの……為に…………大体分かった」

 多分ニャルラトホテプがヨグソトースにテストが近いことを愚痴ったとかそんな感じだと思う。

「でも……ニャルラトホテプには……この事は話してない……」

「いや、話せよ」

「だから……ニャルラトホテプ……に対するサプライズ……」

「そのサプライズのせいでニャルラトホテプの時間が周りは止まっているとはいえ、無駄になってるんだが?」

「……無駄になっているのなら……無駄を取り戻す為に……更に止めていれればいい……」

「能力の無駄遣いはなだたしいなオイ……」

「とりあえず……ニャルラトホテプとクトゥグァ……を止めないと……大変なことに」

「そういえばそうだったな……ちょっと先に行っててくれないか?2人とも起こさないといけないし」


「2人とも……喧嘩はよくない……」

「で、ですけど……」

「言い訳は聞かない…………あと立ってもいいって……まだ言ってない」

「はい…………」

 これはひどい

「……とりあえず先に帰っていいか?」

「え?ちょっと待って!ボクを待つぐらいはしてもバチは当たらな」

「しずかに……あと正座」

「あ……足が……ヨグソトースさん……」

「クトゥグァさんは……反省した?」

「もう公共の場では喧嘩しないように心がけるので……」

「もう……五分ぐらい正座する?」

「えぇっ!?なんでですか!」

「自分の発言を……反復したら……分かる」

 とりあえずこの事件は終わった…………のか?


 当日の早朝というか深夜、色々あったテストが終わった当日……

「疲れたんで寝るから静かにしろ、でもって寝てることを良いことに変なことするなよ。というかそもそもなんで家に来た」

 状況確認、クティーラとニャルラトホテプは別にいい。バイアクヘーさんとクトゥグァさんがテスト明けだという理由で来たのもまあ、今はいいとする。

 ちなみに政は……逝ってしまった、追試の理に導かれて……というか何をどうしたら、あの助っ人付きで赤点をとれたのだろうか?

 政のことはさておき、問題は……

「あなたとわたしは友達……友達の家に遊びに行くのは普通のはず…………」

「……まあいいや、ニャルラトホテプが変な事しないか見張っててくれないか?」

「ぼっ……ボクよりももっと見張ってもらうべき人がいるんじゃないのかい!」

「ニャルラトホテプが……さっきあなたのお茶に……名状しがたい幸せになれそうな物を入れてた……」

「サンキューヨグソトッス」

 さて、折檻の時間だな

ぺちぺち

「…………」

「無言でビンタしないでくれないか!分かった、謝るからやめて!」

「とりあえず、騒ぎすぎるなよ?徹夜続きで睡眠時間少なかったから寝るけど」

 さっきよりも更に眠い……もし、この今にも倒れそうな程の眠気がニャルラトホテプが入れた謎の粉の作用だったら、何をしようか

 そんなどうでも良いことを考えていたら、半分無意識で部屋についたので、眠ることにする。


「にゃー!その物件とらないでくださいよ!ヨグソトース様!」

「物件は早い者勝ち…………ましてや夢の国とその付属品は……とった方が正義……」

「どうでもいいけど、その扱いはエレクトリックパレード喰らいそうだからやめといた方がいいと思いますよ?」

「ふっふっふ…………このゲームをやりこんでおるわらわが、なぜ最下位で4兆超えの赤字を抱えたままでおったか分かるか?」

「それは最初にキング様が連続で一兆円の赤字を……って、まさかやるつもりですか!?リアルファイト確定の禁技を!」

「そうじゃ……たいらのまさ」

「おっと、てが(棒)」

「にゃぁぁぁぁぁぁ!ななな、何をするのじゃ!ニャルラトホテプ!」

「しつれい、てがすべりました(棒)」

「ならば一点集中じゃ!陰陽師カードを使わせてもらうのじゃ、ニャルラトホテプ……懺悔の用意は済ませたか?」

「戦争…………だね……」

「ふっ……このゲームでは、友情とは投げ捨てるものなのじゃ!」

カチっ

(ヨグソトースがリセットする音)

「リアルファイトになるのなら……別のゲームをやるべき……もっといいのがあるハズ」

「……こんなの絶対……おかしいよ…………」

「わらわの……必勝パターンが……」

「…………えっ、酷くないですか?もう少しで50年で終わりだったんですけど」

「リアルファイトするくらいなら……スマブラをやればいい……」

「無限ループする未来が見えるんですが……スマブラとリアルファイトで」

「じゃあ……私が考えた……最狂のステージ……落下床のみ……」

「ロボット一強じゃないですかァー!やだー!」


「絶対やり込んでおったのう……ヨグソトースよ」

「…………じゃあ今度は……みんなで爆・三國鬼無双を……やる?」

「交代でやります?最大二人プレイなので」

「こんなこともあろうかと……ちゃんと……4つ……P○Pがある……」

「じゃあちょっと私も無理しすぎたのであーちゃんの隣で眠ってきますね……」

「あーはいはい、いってらっしゃい……………………………………………ってちょっと待って!」

「では~」


「あーちゃん一緒に寝ましょうねー………………すー……」

ふにっ

「ふにっ?あーちゃんが……ふにって?………………にゃぁぁぁぁぁぁ!あーちゃん!あーちゃん起きて!」


「…………なに?眠いんだけど?」

 こころなしかちょっと声が高い気がする。声変わりする前もこんな声だったような……なんかいつもと体の感覚が違うような……

「あーちゃんあーちゃん!鏡!鏡見て!」

「なんで鏡?ていうか、僕の声がいつもよりも高い気がするんだけど僕の気のせいだったりするのかな?」

「気のせいじゃありませんよ!鏡です!」

「ありがと……………………ファッ!?」

 おちおち落ち着け、ありのままの状況を整理しよう。自分を映しているはずの鏡に映っているのは女装した時位に女の子っぽい状態の僕……しかも、胸が少し大きめだし、髪が何故か長くなっている。どういう……ことだ……

「まるで意味がわからんぞ!」

「まあ……こーなったあーちゃんはあーちゃんで……じゅるり」

「オゥケィ、落ち着こうか、話せば分かる。……話せば分かる!…………話せば分かるから!襲いかかるな!」

「ウェヒヒヒヒ……私を倒すには八回刺してもまだまだ足りませんよ……」

「って気が付いたら壁際に追い込まれてる!?」

「覚悟は決めましたか?」

「いや、全くもっ」

「動かないでくださいよ~ウフフ……」

~~♪

 突如、場違い過ぎる世紀末巫女なBGMが流れた……

「ちょっと待って、電話……もしもし?」

『おっす、元気か?……声、いつもより高いけど大丈夫か?』

「父さん?……大丈夫だけど、どうしたの?」

『いや、連絡するの忘れてたが……』

 もう嫌な予感しかしない。百人一首の熟練者が、最初の一文字目からとりにいけるのと同じで、父さんの『連絡を忘れていた』も一文字目「れ」の時点から嫌な予感がする……


『今日家に帰る……というか、そっちの家に行く』


「……うん」

『ちなみに母さんも一緒だぞ?』

「うん!……」

『多分、あと一時間位で着くからな~』

「そうだぁ……ね……」

『じゃあな~』

ツーツーツー

 まずは深呼吸、そして状況を確認……約1時間後に母さんと父さんが帰ってくる。そして今の僕は女の子になっていて、1時間ではどうしようもない……どころか、元に戻る方法があるのかどうかさえ不明

 ……さて、どうしようか

「ねえ、バイアクヘーさん…………1時間後に母さんと父さんが帰ってくるらしいんだけど…………どうすればいいんだろうね?」

「…………若さ故の衝動に身を任せればいいんじゃないですか?」

 ホモホモしい筋力コーチのような進言をするバイアクヘーさん。そこまで言うのなら、言われた通りに衝動に身を任せて

「分かった!じゃあニャルラトホテプを締め上げてくる!」

「それだけは流石に駄目じゃないですか?」

 駄目出しされてしまった……犯人が分かっているのなら、別に締め上げてしまっても構わんのでしょう?

「とりあえず、皆さんに報告した方が良いんじゃないですか?解決策があるかもしれませんし……」


「……大丈夫か?」

「…………みなさんゲームに夢中です」

「分かった……じゃあ……」

 皆がゲームに夢中になっている隙に、さり気なく部屋に入っていくことにする。……あ、気づかれた

「……始めまして、ボクは青木 世界といいます。一応あなたの義姉になる予定です…………あれ?兄弟も姉妹もいないって随分と前に言ってたような……」

「いや、中途半端にじゃなくて、ちゃんと気づけよ」

「あれ?……本当に女の子だったのですか?」

「元々男だし、こうなった理由は話せば長くなるけど全部ニャルラトホテプの仕業で済ませれば大体あってる」

「なるほど、全部ニャルラトホテプが悪いのじゃな!」

「どうして……そんな姿に?…………似合ってるけど」

「似合ってるかどうかはさておきどうしてこうなったのか一から十まで説明しやがれニャルラトホテプ!」

「いや……覚えていないのかい?前に説明したと思うんだけど…………」

「何て?」

「『男らしさゲージがあまりにも低くなりすぎたら女の子になってしまう』……と」

「そんな説明された覚えな…………」


『とにかく、このまま事態が進行したら……』『最悪の場合君は身も心も女の子になってしまう!』


 ちゃんとされていた…………しかも、どうでもよさげな台詞だったのに……

「あれが本当のことだと思えないからな!普通は!」

「どうでもよさげな台詞を伏線にするのはニャルラトホテプの必須スキルさ!」

「そんな必須スキル必要ないだろ!」

 というかそのネタは危ないからやめろ!

「今すぐ元に戻る方法を教えろ、さもなくば……無慈悲で殲滅的な攻撃で初期ライフが八千だとしたら八千万位削るからな?」

「…………ありません!誠に申し訳……御座いませんでした!」

 まさかのえびす式土下座、ガチの土下座である。つまり……

「無いのか?戻る方法」

「一応…………あるにはある……」

「知ってるのか?ヨグソトース」

「女の子になってしまったなら…………開き直って……女の子らしい生活をすれば…………色々と逆回転ゼロリバースして元に戻れる……らしい」

「一応は元に戻れるけど時間がかかるって事か?」

「のう、悪い知らせともっと悪い知らせがあるのじゃが…………どちらがいい?」

「…………悪い方で」

 てか、普通は良い知らせと悪い知らせじゃないのか?そこは

「短時間で戻る方法は無いのじゃ。これは念の為母上に聞いたが、大体ヨグソトースどののいった方法じゃと一週間かかるそうじゃ」

 これが悪い知らせなら、もっと悪い知らせはどれだけ悪いものなのか?

「…………で、もっと悪い知らせは?」

「母上が来るのじゃ。しかも今日、おおよそ1時間といったところかのう」

 クティーラの母親……つまり、クトゥルーさんがくるのか……もうこれ詰みだとかそんなチャチな領域じゃあ断じてないな……プロ野球で例えるならまだシーズン三分の一以上残ってるのに首位どころか、四位以下確定しちゃったような状況だね。流石にそんなのはどこぞの星の球団でも有り得ない……よね?というか1時間、ひょっとして……

「ねぇ、今日母さん達が来るらしいんだけどさ……ひょっとしてクトゥルーさんと一緒に来たりするのかな?」

「……………………………………盾の中のカードにしておいた方がいいのじゃ」

「それを言うなら箱の中の猫じゃないのか?」

 もはやピンチだとかそんなチャチな領域じゃないね!

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