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その7

 休む時間が無かった(昨日大会から帰った後は勉強したから)休日を終え、月曜日……邪神の一人や二人増えたところであまり変わらないと思っていたいつも通り(とはいっても、他人のそれと比べたら天と地ほどもありそうだが)平穏な一週間が始ま……

「アバンスさん…………やっぱり猫っていいものですね……」

 始まる……のか?

「バ……カームさん、何があったのかは知りたくないけど……幸せそうだな……」

「はぴはぴすぅでした……にぃ☆」

 駄目だこいつ……どうしてこんなになるまでほっといたんだ(絶望)

「おっすおっすばっちしぃ……☆」

 Pa状態になってしまったアホは一応放置するとして……

「おはようSANっと!」

「さり気なくSAN値を下げに来るなよ、政……あと、スタンドは今日は憑いてないのか?」

『ここにいる』

「後ろにいるぞ!気を付けろ!」

「……後ろにいたのかよ…………で、昨日聞き忘れてたけど、こいつの正体って一体何なんだ?」

 確か、未来からきたとか……言ってたような言ってなかったような……

『わたしの名は……適当だがイストラルとしよう』

「ホントに適当だな…………ん?イス……イース………………ああ、イースの偉大なる種族なのか?」

「イースの偉大なる種族って?」

「ああ!」

 説明が面倒くさいな……

『政……君に説明しなかったか?』

「忘れた!」

『………………………………』

 コンマ1秒でああいうふうに返されたら誰だって沈黙する、僕だって沈黙する

『……Dieジェスト……ダイジェストで説明するが、はるか未来からやってきた宇宙人……と考えれば、大体そんな感じだ』

「なるほど!そーなのか!」

「政、声が大きい。周りから変な目で見られ…………そういえば変な目で見るような普通な奴はもうこのクラスでは絶滅危惧種だったな……このクラス、問題児のフィールをもったやつぐらいしか(自身の空気化と戦って)生き残れてなかったから……」

 目立たずとも少しは存在感がないと某主人公(笑)だったり三さ……誰だっけ?とかになってしまうから、存在感はあるべきだが、このクラスでそれなりに存在感ある奴になるときは某OCGの掲示板で四天王になるレベルだから……常識人が空気で変人ばかりのクラスになってしまった

 ちなみにとある女子は、自分の存在感が無い事やボッチをネタにしていたのだが、ある日イメチェンと称して世紀末にいそうな格好にフォルムチェンジした…………別に銀髪ロングのアホ毛付きではないし、福島出身ではない……多分

「(空気化という現実と)戦わなければ生き残れなかったからな……仕方ないよな、常識人ツッコミが最初から少なかったし、問題児ボケの勢力が無駄に強かったしな……」

『なるほど、このクラスは全員パッションだったのか……ならば納得だ』

「いや、このクラスには着ぐるみ少女も身長が北斗○拳のキャラと並べても大差ない奴とか特撮オタとかサンタクロースはいな……多分いないからな?あと、ガラスの靴よりドレスを脱ぎ捨てて走り出しそうなシンデレラもいない」

 現在進行形ではぴ粉吸ってるような奴ならいたりするが

「まあ、このクラスにならいてもおかしくないキャラではあるけどな!」

「いや、これ以上変人が増えたら僕らツッコミが過労死同盟に早変わりする」

 まあ、今でも過労死同盟のようなものだが

 NXリペアで例えるなら、現状がゴエモンキーだとするとこれ以上増えた場合はエクスだ……酷い場合はマナから引っ張り出されて破壊されてまた出されてそれを数回繰り返してから破壊される感じになる

『……………………大変だな』

「ああ…………」


「お↓は↓よ↓う↓~」


「…………誰だ?ひょっとしてニャルラトホテプか?」

 ニャルラトホテプ(委員長)が現れた…………のだが、何故かニャルラトホテプは委員長モードではなく、本当の姿で現れた。……イメチェンって領域じゃねぇぞ!身長低くなってるし!

 だが、この程度のイメチェンではほとんど気にしないのがこのクラスである……多分

「政…………原形留めてないけど、これでも委員長だ……」

「おお!委員長だったのか!…………髪切った?」

「髪切っただけでこんな劇的ビフォーアフターなるわけねぇだろ、政」

「うん、ちょっとだけね……」

「そしてニャルラトホテプ、お前は適当に答えるな」

 ストレスがマッハで胃が……

 訂正する、一足先に僕の方は過労死同盟の仲間入りするかもしれない。ヲーとかライフちゅっちゅじゃない方のラー並みに働かされている現状……もうゴールしてもいいよな…………


「おし、ホームルームを開始するから自分の席に座れ~座らなかったら腹パンな~」

 今日もまた普段通り教師として、聖職者としてどうかと思う発言をする先生……うん、委員長がニャルラトホテプに変わったところで何にも変わんないな……多分

「お前らに言い忘れてたが、今週の水曜日から金曜日テストな。だから今日から徹夜で勉強しろよ~」

 ちょっと待て、このアラサーなんて言いやがった?『水曜日からテスト』?…………はい!?

「ファッ!?」

「なん……だと……!?」

「おちおちおち落ち着け、これは孔明の罠だ、そんなことはあああ有り得ない」

「ゴルゴムの仕業だな!」

「これも全部、乾巧って奴の仕業なんだ」

「おのれディケイドォ!」

「絶望がお前たちのゴールだ」

「アラサー!てめぇ!」

「いい度胸だ(腹パン)、感動的だな(腹パン)、だが無意味だ(腹パン)」

「ゴフッ……」

「かっ……柿崎ぃぃぃ!」

「これは…………つまり、人類は滅亡する!」

「な……なんだってぇ!?」

「落ち着け、落ち着いてタイムベントをつかうんだ……」

「タイムベントなんて一般人には使えねぇよ!バカ」

「う、嘘だ……ウゾダドンドコドン!」

「嘘だと言ってよアラサー!」

「腹パン」

「良いことを思いついた、ちょっと歴史改竄してテストの日程かえてくる」

「アクセルシンクロォォ!」

「やっぱり、ボクが一番可愛いんですね!」

「腹パン」

「痛っ……女の子の扱いも知らないなんて、アラサー先生は可哀想で」

ドゴッ

「腹パン、それを三回」

ドゴッドゴッ

「っ……………………」

『返事がないな、ただの屍のようだ』

「自業自得だな、完璧に」

「うろたえるな!小僧ども!」

『黙れ!蟹座!』

「蟹座差別反対だ!蟹座が何をした!」

『だって蟹座だし』

「てめぇ!」

「おお、言うの忘れてたが……赤点とったらもれなく補習になるから気を付けろよな~」

「…………俺、このテストが終わったら、エナンザムしようと思うんだ…………」

「刹那!エナンザムは使うなよ?」

「俺はテストを捨てるぞJOJOォ!リボンザム!」


「…………課金兵多いな……」

 お前らなんでまだ高校生なのに課金兵になってんだよ……

『どうしたのだ、政。考え事でもしているのか?』

「…………頼みがある……」

「なんだ?政」

「俺に……勉強を教えてくれ……」

「分かった」

「ぼ……ボクも……頼んで……いいかい……」

 腹パンのダメージで、今にも力尽きてライフが無くなりそうなニャルラトホテプも懇願してくる…………そういえばこいつ、化学と数学と英語を除いた全教科苦手だったな……

「まあ、一人が二人になったところでそんなに変わらないか…………」

「じゃ……じゃあ!」

「だが断る」

 ニャルラトホテプなら断らざるを得ない(キリッ)

「期待させてそれは酷くないかな?流石に」

「分かったよ、教えればいいんだな?とりあえず化学数学英語の全教科でいいか?」

「それは大体分かってるよ!」

「それ以外となると……すまんな、僕フェルマーの最終定理解けないんだ」

「それは解けないのが普通だからね!?」

「あとネクロノミコンを読んで作者の心情を答えろと言われても分からない」

「それが普通だよ」

「あと……テスト勉強今から始めても間に合わないよ。せめて、一週間前から始めておかないと」

「……邪神(ボク)の知恵はこんな状況だって乗り越えていけるさ!」

「じゃあ今すぐその叡智をクラスの皆に授けてみせろ!」

 ……なんだ?このやりとりは……片方は自分だが、よく考えてみると、少しおかしくないか?

「い……いけるのか? 委員長さん……?」

「ああ! 全部ボクに任せて、皆は今日一日、勉学に勤しんでいてくれたまえ!」

『うぉぉぉぉぉぉ! 根拠はねぇが、いける気がしてきたぞぉ! これが希望か! ……根拠はねぇが』

 駄目じゃねぇか?根拠無いなら

「ここは委員長の指揮に任せよう!俺達は委員長に従うぞ!」

「はいはい爆死爆死」

 もうあれだ。ドリフ(ドリフターズの略ではない)と宝富が組んだときの様な約束された敗北エクスカリバールだ。だって指揮が無能の極みだから。兵士がどれだけ優秀でも策を練る軍師の指揮が悪ければ戦に勝てないのと一緒だ

 まあ、人心把握術だけはあったハズなので、わずかな確率にかけてみようか……

 レベル1の殿下が最大強化プリバに一人で勝つレベルの奇跡に……言い過ぎ?いや、あいつらならそれぐらいのハズだ……

 決してクラスメイトを見下しているワケでは無いけど、クラスメイトの勉強を指揮するニャルラトホテプはアホだからな……いざとなったらやっぱり僕のターンが回ってくるかもしれない。覚悟はしておくか

「ということで頼みましたよ、アバンスさん」

「頼むな。僕に頼むなよ、お前が引き受けたんじゃないのか?」

 こいつ最初からクライマックス級の他力本願だ……

「ボク達は2人で1人の指揮役じゃないか!」

「いつから僕とお前はそういう関係になった!答えろ!」

「はぴぃ……すぅ……☆」

 さっきから微妙に空気だったバイアクヘーさんを忘れてた。気づかなかった理由としては、まあぶっちゃけると、話しかけると面倒なことになりそうだったからスルーしてたら忘れたのである

「バイアクヘーさんからもなんか言ってくれないか?」

「……そうですね、確かにそう思います」

「どうしたカームさん!言葉遣いが変だぞ!」

 ただ元に戻っただけだが

「あっ……あーちゃんもにゃーちゃんもはぴはぴしてるにぃ?」

「『あっ』じゃねぇよ、キャラ作りするなら最後までちゃんとしろよ」

「あーちゃんが何を言っているのか分からないにぃ☆」

「UZEEEEEEEEEEEEEEE!」

 何故か分からないが、凄くウザく感じる。今までにないウザい感覚……謎の流れが来ている。確実に、着実に

「まあまあ、眼鏡どうぞ」

「いらねぇよ」

「落ち着いて素数を」

「数えねぇよ」

「満足民の気持ちに」

「ならねぇよ、満足するつもりねぇよ」

「笑えば……いいと」

「現状笑えねぇよ、テスト近いし」

「ぐぬぬ……」

「おい、デュエルし」

「そんな事より勉強しろよ」

「…………そうだな!」

 このやりとりは一体なんだったのか……今の僕には理解出来ない



 放課後、テストに関する話し合いのようなものが行われた。何故、話し合いではなく、『話し合いのようなもの』にしたかだが……一方的に数人に対して勉強を教えてもらうことをねだるのは話し合いには入らないからである。最近、物事の考え方がズレてる気がするが、これが話し合いではないことはさすがに分かる……話し合いには入らないよな?

 ちなみに、邪神関係者(とはいっても、このクラスに限ると四人しかいない上、全体でも五人しか居ないが)の中で教える側と教わる側は丁度二対二に分かれている

 消去法で分かると思うが、ニャルラトホテプと政が教わる側で、僕とバイアクヘーさんが教える側だ。バイアクヘーさんに授業の理解度を聞いたところ(テスト直前に転校……という名の潜入をしたから、点数が分からないのである)、『大体分かっています』という頼もしい(……本当に頼もしいのか?)答えが返ってきたので、大丈夫のハズだ。……大丈夫だよな?他の2人を教えることになってるけど?


「そうだ、本屋に行こう」

「さらっとテスト直前という現実から逃げるな、僕だって辛いんだぞ?かなり自習出来てなかったから」

「そうと決まれば一直線、突っ切るまで!」

「だから逃げるなよ」

「むっ!?ビビっとカードのオマケに本が付いてるような感覚がした!ちょっと買って」

「いかせねぇよ」

「政君、そっちに行っちゃ駄目だよ、ボクと君の為の勉強会なのに(君だけが行くなんて不平等だよ!)」

「本音が見えたんだが……ひょっとして僕の気のせいだったりするか?」

「ひぇっ……きのせいですよ、アハハバヨシャバヨ(げっ……バレてました?)」

「まずは落ち着け、話はそれからだ」


「ちょっと本屋行ってくる……なぁに、すぐに帰って」

「だから!テスト勉強しろや!今日じゃなくても良いだろ!」

「いや!今日じゃなきゃいけないんだァ!今日は……今日はSANデーの入荷日、俺は今週のSANデーを12冊、買わなきゃいけないんだァ!」

「買い占めの弊害はなだたしいなオイ」

 あと何故12冊も買わなければいけないのか、ひょっとしてカードが付いてくるのか?付録としては、汎用性が高い感じの

 それにしても買いすぎだ。いくらなんでも、そんなに買ったら店の在庫が無くなってしまうはずだ。店員さんがこの事を見越して、今週の入荷量を増やしていないかぎりは

「買い占めじゃない!」

「じゃあ買い占め以外の何だって言うんだ?」

 買い占めの定義的には、在庫が残っていれば買い占めではないと思うのだが

「回収だ……モエルの」

「駄目だこいつ……早く何とかしないと……」

 変態につける薬はあるのか?

「政君…………」

「どうした?ニャルラトホテプ……何か言いたいことでもあるのか?」

 同じカードゲームプレイヤーとして、何か言いたいところがあるようだ

「ボクも4冊、頼んで良いかい?」

「ニャルータス!お前もか!」

 あわせて16冊なり。もう買い過ぎって領域じゃねぇぞ!

 と、ポケットに入っている携帯が振動した。メールだろうか?

「電話か……iF○rmuLaX?……誰だよ」

 そんな奇妙な名前で誰かを登録した覚えはないし、そもそも電話番号が出ていない。出るべきか、出ないべきか……

「はい、もしもし?」

 とりあえず出てみる。手の込んだイタズラ電話だったら速攻で切るか

『もしもし、わらわじゃ』

「……クティーラか」

『時間がないので手短に離すのじゃ』

「はぁ!?な、なんか事件でも起こったのか?」

 ひょっとして、またバーストの時のような事件が……


『今日発売のSANデーを、8冊買ってきて欲しいのじゃ』


「……は?」

『わらわとしたことが、しくじったのじゃ……日にちの感覚が曖昧になっておったせいで、今日がSANデー発売の月曜日、しかも、付録にカードが付くSANデーということをすっかり失念しておったのじゃ……じゃから……』

「……政、8冊追加な」

「応!」

「これで24冊か…………迷惑って領域じゃねぇぞ!」

『大丈夫じゃ、前にわらわが悠久付きのSANデー8冊をまとめ買いしに行った時に、「こちら、すべて同じ商品ですが、よろしいですか?」と聞かれなかったどころか店長らしき者が、「お嬢さんだけに特別に教えてあげるけど、カードが付く時だけは卸業者に無理を言って、余ること前提で100冊近く仕入れてるんだよね、厳密に言えば、煩悩の数と同じだけ」と言っておったのじゃ』

「ああ、うん」

 108冊中の24冊か……仕入れ分の2割近くなら、別にいいか……いいのか?

『在庫が無いようじゃったら、別に4冊でもよいのじゃ』

「それ妥協してないよな?妥協したような言い方してるけど」

『甘いのう、真の猛者は付録のカードで裏スリを作るのじゃ』

「何それ怖い」

 SANデーの場合は四冊でおよそ1k、つまり、裏スリ分を雑誌で集めるとしたら10k……一万円

 これを安いと考えるか高いと考えるかで金銭感覚が正常か異常かが判断できる……僕も一万円は高いと思うが

「そういえば、なんで発信者が、i○ormulaXだったんだ?」

『気分じゃ』

「そういうことじゃなくて……」

『眠いので終わりじゃ』

「ってクティーラ?クティーラ!」

ツーツーツー

 無機質な音……身勝手過ぎるな、あいつ……いまに始まった事ではないけど


 一方その頃

「「週刊 少年SANデー、あわせて24冊下さい」」

「ひょっとしなくても、付録のカード23枚とSANデー一冊じゃないですか?」

「「大体あってる」」

「じゃあ……ちょっと待ってくださいね……確かまだ30は倉庫に……あ、青野君、ちょっと倉庫からSANデー合わせて30冊取ってきてくれないかい?……ああ、今回もアレだよ。悠久の時の反省を生かせて良かった。流石に108冊仕入れれば余ることこそあれ、足りないことは……え?開店から60冊以上売れてあと大体40冊しか無いだって?参ったなぁ…………いや、転売なんてしないよ、SANデー毎週買って行ってる人が買えるかなぁと心配に…………え?ライブラの時はもっと惨劇だった?…………君は趣味のために仕事を休んだのかい?……いや、責めてるわけじゃないんだ、でも」

「すいませ~ん、まだですか?」

「あっ、青野君、急いで持ってきて、愚痴なら後でいくらでも聞くから」


「……政、40秒で仕度しろ」

「……店員さんが今倉庫に取りに行ってるところだ、少し待て」

「せいては事を仕損じるだよ?ゆっくりしなくちゃ、ダメだよ?」

「その法則を適用してもいいのはまだあわてるような時間じゃない場合だけだからな?テストまであと何日だと……」

「明後日からテストだね」

「いや、そんな吸血鬼に今までに食べたパンの枚数を聞かれた魔法使いみたいにズバッと答えなくても……」

「お待たせしました、こちらSANデーが……24冊になります」

 倉庫まで週刊誌を24冊取りに行っていた店員さんが帰ってきた。

 ……明らかに重そうだ。台車を使っているにもかかわらず、歩くスピードが少し遅い

「こ、こちら240円の雑種……雑誌が24冊で……」

「ちょっと待てそこの店員、今なんて言い掛けた」

「5760円になります、袋にお詰めいたしましょうか?」

「袋いくつ使うと思ってるんだよ、いらねぇよ」

「落ち着け、落ち着いて素数を」

「ありがとうございました、またおこしくださいませ(棒)」

「ねえ、暴れてもいいかな?」

「政、僕がこいつを少しの間だけど足止めするからその隙に周りの人を避難させて」

「そもそも暴れちゃいけないだろうに……」

 政にツッコまれてしまった……ニャルラトホテプが本気で暴れ出したら止められないよ、多分

「さて、カードの袋綴じを切り取った後はどこに放置すればいいんだろうね?」

「放置前提かよ、ちゃんと資源回収の時に雑誌とまとめて出せ」

「これから毎日雑誌を焼こうぜ?」

「そもそも焼くな」

 誰でも良いからツッコミがもう1人来い……もう僕1人では限界だ……


「さて、勉強を始めようか」

「おー」

「やだ」

「やだってコラ、あと政はやる気あるのか?」

「分かった、じゃあボクは保体の実習を」

「そういえばお前はそういう方向性のキャラだった……か?」

「じゃあ俺は確率関連の問題をカードゲームに置き換える作業にうつるぜ!」

「お前ら楽しようとすんな、苦手科目やれよ」

「お、おう」

「はーい……」

 もうやだこいつら……問題児過ぎる……

「せんせー、この問題がわかりませーん」

「まさかの先生かよ……まあいいや、この問題は……」

 説明するよりも書いた方がいいかな?

「……………………という感じの文法だ、分かったか?」

「うん!分かんない!」

「ニャルラトホテプ、お前はやる気があるのか?」

「ボクに分からないことなんて、そんなにないよー?」

「『そんなに』かよ」

「えぇっと?………………確か水と塩素で塩酸だっけか?」

「おかしいだろ。よく考えろ、プールが惨劇の場になるだろ」

「…………そうだな!」

「そうだな……じゃねぇよ、コラ」

 予想以上に出来てない……間に合うかな?テストまで……



 次の日の朝……つまり、テスト前日の朝

「おはようございます、あーくん。元気なさそうですけど何かあったのですか?」

「いや、お前こそ何かあったろ……キャラ変わりすぎだ」

「では……キャラを戻すためです、スキンシップを取らせてください」

「それっておかしくないかな?」

「つべこべ言わず、男ならビシッと覚悟を決めなさい」

 そういいながら、バイアクヘーさんは自然な流れで僕に対して逃げられないように腕を回していた……



「ふぅ……生き返りましたよ~」

「その反動で僕は今にも倒れそうな状態だけどな」

 なんでこの人、バイアクヘーのハズなのに、ライフ吸い取れるんだ? ワケが分からないよ

「私が元気なかった原因ですけどね、」

「うんうん」

「一昨日バステトちゃんををなでなでした後、」

「ふむふむ」

「一向にハグ分を摂取出来なかったので……って聞いてますか?」

「うん、あれでしょ? 『城ノ内死す』を超えるネタ(バレ)予告は存在しないって言うことだっけ?」

「違いますよ! 全く聞いて無いじゃないですか!」

 正直、ツッコミを放棄したかったから聞かなかった。あと謎の言葉を作るな

「悪い子はお仕置きですね、そうしましょう」

「ねぇ、一体どこからそのロ……いや、物を取り出したんだ?あとそれで僕を縛って何を……ナニをするつもりだ? ……ちょ、助けて! ゆる百合とした微笑ましいシーンを見るような笑顔で見てないで誰か助けて! 誰か…………アッー!」

 男らしさが30下がった▽

 女らしさが20上がった▽

 野球もできるギャルゲー風に例えるならこんなステータスの上下があった……と考える現実逃避だ。

「屋上でお楽しみですね!」


「さっきはバイアクヘーとお楽しみだったようだね……」

 教室ではニャルラトホテプの不機嫌モードでお出迎えだった。

 某有名RPGの第一作目のある条件で宿に泊まった時のような言葉をかけてくるニャルラトホテプ

「だがしかしまるで全然お楽しみじゃなかったんだな、これが」

 一方的に弄ばれただけだし、何ヶ所が骨が折れるかと思ったし、屍状態の僕を傍らにおいて『最高にハイってやつだぜぇ!』みたいな事をやってたし、ライフちゅっちゅギガント並みに体力吸われたし

「この調子で続いたら間違いなくテスト終わる頃には力尽きるな……」

「じゃあボクも吸ってもいいかな?」

「え?どこをすうつもりなの?ぴゅあなこころのぼくにはわからないよ?」

「…………正直な所……ボクでも顔パンしたくなるウザさだったよ……」

「やっぱり、ぼくがいちばんつよくてかっこいいんだね?」

「いや、キミはむしろ可愛いじゃないかな?」

「そろそろもどってよいですか?」

「…………じゃあなんでそのキャラだったんだい?」


「ツッコミに疲れた、以上」

「いや、だからといってボケにはしるのはボクでもどうかと思うよ」

「今週はもう十分ツッコミした」

「ツッコミに休みはない、特にこのクラスにおいては」

「ツッコミ差別反対!ボケの横暴を許すな!」

「キミは時々ボケキャラもやっているという事を自覚したらどうだい?」

 確かに時々ボケキャラになることもある。ツッコミに疲れたら偶にだけど。……現状は偶にのハズ……

「……でもツッコミの方が多くないかな?多分だけど」

「うん、ボケた回数は数えるほどしかないね……多分」

「多分って……ちょっと嫌な予感がするからやめてくれないかな?」

 下手したらボケた数だけ恥をさらしてるかもしれないし

「あえて言わないようにしてたけど言わせてもらうよ?」

「はいどうぞ」


「さっきから言葉遣いがおかしくないかい!?」


「ニャルラトホテプさん、いえ……八坂ニャル」

「言い直さないでいいよ!あとキミには怒られる覚悟があるのかい!」

「とりあえずニャルラトホテプさんは長すぎるからニャル子さんと呼んでもいいかな?」

「良くないよ!あとボクはあんなに外道じゃないハズだよ!?精々、遊び半分で人を破滅に追い込むくらいで、外道じゃな――」


「うん、十分外道キャラとしての経歴は十分だよ。即採用決定する感じの経歴だから」


「ボクは墓穴を掘ったのかい!?」

 やっぱりニャルラトホテプをイジるのは楽しいな。反応が面白いし、ツッコミにキレがあるし、たまに墓穴掘るし

「とにかく、これ以上事態が進行したら最悪の場合…………」

 と、そこでニャルラトホテプは少し溜め……


「最悪の場合、君は身も心も女の子になってしまう」


「はいはい、法螺を吹くのはそのくらいにして、勉強しようか、ニャルラトホテプさん」

「いや、冗談とかそんなのじゃなくて本当に」

「おう、暇かー?」

 政が課長のマネをしながら話しかけてきた。どう対処しましょうか?

「……あなたはいつから課長になったの?」

「どうした!?言葉遣いが変だぞ!」

「多分さっきの誘拐事件で男らしさケージが直葬されてこんにちは、女らしさケージになったんじゃないかな?」

「そうかそうか、その理屈はおかしいな」

『肯定するのように相打ちをし、即座に否定か……さすがだな、政』

 あ、政の相方のイストラルさん(でしたっけ?)も一緒でしたか

「で、何があったんだ?」


 邪神少女説明中


「大体分かった、とりあえずデュエルしようぜ!」

「……何でデュエル……あっ(察し)」

 そういえばこの人デュエル脳でしたか、デュエル脳なら仕方がないですね

「病はデッキからだ!たとえデッキの中身が良くても、それでカイザー病になっちゃ洒落にならないぜ!」

「カイザー病って?」

「ああ!デッキが原因で起こる心臓病のようなものだぜ!」

「なにそれこわい」

 デッキが原因なんて……治療方法がないのなら、みんな死ぬしか無いじゃない!

「いや、あれ絶対原因はデュエル中の電流デスマッチだからね?」

『なるほど、真のデュエリストはデュエルでなんでも出来るのか……胸が熱くなるな』

「いくぜ!俺のターン!」



「僕の……負けだ」

「シューティングソニック!」

「政! お前はなんでオーバーキルしてるんだよ!あと蟹並みのチートドローすんな! でもって、さり気なく機皇デッキ渡して先攻1ターン目で後攻側が即サレな状態つくりだすな! それとクリアマインドの境地にたどり着こうとするのは諦めろ!」

 どうでもいいけど、あの引きは世界一格好いい手札事故だった……デッキトップ5枚がヴェーラー(アレが見えてるらしい)2とDBG3だったとは……うん?FBG3?あいつ禁止じゃなかったっけ?まあいいや

「おお!元に戻ったな!」

「マジ?」

『…………デュエルなら仕方がないな』

「お前ら、元に戻ったって、何にも変わってないと思うんだが?」

「ああ、無自覚だったのか……」

「無自覚って、いったい何のことだ?」

「まあ、世の中には知らない方が良いことがあるんだぜ、距離的に近い国の犯罪率とか、在日関連の事とか……色々」

「いつもにまして危険球スレスレどころかデッドボールの発言連発だな、政」

 危険球スレスレの発言が、稀に多い時があるが、多分今日はその稀な多い時だ

「あーくん、元気ないけどどうしたの?疲れてるの?」

 このクラスの邪神関係者がいつの間にか全員集合していた。別に土曜の夜八時じゃないけど

「うん!誰かさんの所為でね!」

「うわっ、すごい満面の笑みで酷いこと言っちゃってるね」

「あー、何があったのかは知らないが……仲良くしろよ?」

「無理!」

 じゃあお前はライオンと兎に仲良くしろって言うのか?つまりそういうことだ

「えっ?酷くないですか……」

「じゃあSAN値とか色々下げるような攻撃をやめてくださいお願いします」

「……敬語を使って謝るほどかい?」

『プライドとは投げ捨てるものだ……仕方がないな』

 プライド<命だからね!普通は


「おぅし、ホームルーム始めるから跪いて命乞いしろ~」

「いや、その理屈はおかしい」

「ジョークだからな~分かったら今すぐに座れ~」

「…………………………」

「とりあえずクラスとしての目標は全教科の平均73点越えな~」

「…………くっ」

 72の人が居たのか…………まな板じゃないか?72は

「とりあえず今日のホームルーム終了な~幸運を祈る、グッドラック」


「…………テスト、明日からだよな?そうだよな?そうだと言ってくれ!」

「ンなわけ無いじゃぁぁぁん!」

「う……嘘だ!ウゾダドンドコドン!」

「嘘だと言ってよバーニィ!」


「おお、言い忘れてたが、テスト明日からであってるからな~」


「…………まだ慌てるような時間じゃなかった」

「奇跡も魔法も、あるんだよ」

「やったな……モーメントが暴走する未来なんて無かったんだ……」

「さて、勉強するか……」

 もし今日テストだったらアラサーは明日からフリーターになってたんじゃないかな?流石に……



「…………疲れた……栄養ドリンク、プリィーズ」

「君が先に力尽きたか……というか、教える側の君が力尽きて、どうするんだい」

「どうしたニャルラトホテプ……いつものお前なら『じゃあボクとエンゲージ、プリーズ』とか言い出しそうなのに……」

「お前ら、体力無さすぎるんじゃないか?」

『ふむ……この問題はそういう解き方をするのか……政、テストとやらの最中、わたしが答えを教えることも出来るが、どうだ?』

「反則だよ、それは!」

『前にこのような言葉を聞いたことがあるのだが……「バレなければイカサマではない」と』

「おいコラ、政」

「……バレない反則は反則じゃないな、だが、バレるような反則は反則じゃねぇ。ただの汚い手段だ」

「……ちょっと何言ってるか分からない」

「……バレなきゃ反則じゃないんだよ」

「お前らいい加減にしろ……」

 間に合うかな……政はいざとなったら反則スレスレ(どころかモロにアウトな)ワザを使ってもらうとして、問題はニャルラトホテプの方だ。政は現代国語と数学と英語は何故か割と良い方なのだが(英語は多分英語版も使ったりするからだと思うのだが、何故現代国語が得意なのかは分からない。)、化学や古文は壊滅状態で歴史はそれなり(赤点ではないらしいが……)らしいので一応化学と古文を(相方にも)教えて、歴史は自分で頑張ってもらうとする

 問題のニャルラトホテプは現代国語古文歴史がまるで駄目、しかも最終手段のカンニングスレスレの技が使えないとなると、自力でやらざるを得なくなる。しかも、たった2日間という短い期間でだ。

 一応、他の教科もあるのだが、実質あってないような状態なので、今は後回しにする。

『……別にわたしの動ける範囲は政から半径2mとかそういった制限はないのだが……』

「……そうなのか?」

『思い出して見ろ……始めに会った日、邪神にも視認できないようにカモフラージュしていたのだが……念のために政、君から離れていた事を覚えているか?』

「そういえばそうだったな!」

 『そういえば』じゃねぇよ、忘れんなよそんな肝心なことを

「……イースの君…………力をかしてくれないかい?」

『別に良い……だが、古文は……自力だ』

「…………(チラッ」

「……………………今夜は徹夜だな」

 頼まれた以上、断るという選択肢は無い。それに、古文のテストは明日だし



「……眠い」

「寝たら確実に赤点じゃぞ?まだ11時じゃ、眠るには早かろう?」

「まだそんな時間だったか……とりあえず、この文章の意味は……」


「ねむい……うま……」

「まだ日付が変わっただけじゃぞ?もうすこし頑張るのじゃ」

「ああ、あと9時間か…………」

「…………!?」

 ニャルラトホテプがそろそろ焦り始めたのかやや過剰に反応した。今更慌てるくらいなら、月曜日に本屋に寄らずに勉強しておけば良かったのに


「ここの表現は……どうゆう……意味なんだい……?」

「ええっと、この文章は…………」

「まだ0時ジャストじゃのう」

「……いや、その理屈はおかしい」

 ありのままに今の状況を話すが、さっきニャルラトホテプを焦らせてから体感では一時間(もちろん体感なので、ひょっとしたら一時間も経っていないかもしれないが)くらい経ったと思う。なのに、ニャルラトホテプを焦らせた時に時計を確認してから秒針さえ微動だにしていない。……念のために携帯の方も確認してみたが、何故か深夜0時…………一分間ほど(あくまでも大体だが)見つめ続けるも、その表示は変わらず0時のまま……つまり

「邪神の仕業か」

「………………………………」

「そのようじゃのう……さて、関係者を集めるのじゃ」

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