その3
眠い……ただひたすら眠い……一緒に寝た(ただし、罰ゲームで強制だったが)結果早すぎる時間に起きて恥ずかしくて眠れなくなった……今なら某ニートアイドル(矛盾してない)もびっくりのスピードで眠れる予感がする。
眠いので、授業開始までの時間は極力睡眠時間に当てたい……のだが
「新しいワンキルを思い付いたんだ!これを思い付いた時は凄いと思ったぜ!……まあ、山札がマッハな上に、存在自体が永遠の切り札じゃないと使えそうにないけどな」
僕の悪友の政(名字は何だっただろうか)が眠いのに寝させてくれない……こいつスポーツ刈りだからぱっと見運動部員かと思うけど実際そんな事はなく新聞部だったりする……スポーツ刈りの理由を聞いた所、「運動部に紛れ込む時に違和感がないからな!スキャンダルだろうとニュースだろうと容赦なくゲットできるぜ!」との事である。……まあ、新聞部の永遠の切り札らしいので、働くのは月に一回あるかどうか程度だが
……ツッコミ待ちのようなので、無情にいれていこうかと思う
「ただでさえ通学時間が長くなって睡眠時間が削られて眠いのに、僕にオーバーキルしないでくれ。あと、そんなに成功率低いワンキルはワンキルデッキとしては使いものにならないだろ」
「だけど問題はない、ただ既存のデッキの流れを阻害しない程度にパーツを突っ込むだけで完成するんだぜ!」
既存のデッキ……いつも通りならミラミスかヘブゲだろうか?
「どうせ開幕ダーツなんだろ?何時もの事ながら」
「ウグッ……デュエマはM○Gや世紀末の遊○王と違って1ターン目から動くのが難しいからな……」
「全世界の遊戯王プレイヤーに謝……んなくてもいいかもしれんな……眠」
ヤバいな、ツッコミを無理したらフラッときた……これも全部、政って奴の仕業なんだ
「またカードゲームの話?私も話に入れてもらおうかしら」
「いいんちょさんはデュエリストだったのか?」
妥協すんなよ政、別に眼鏡かけてるわけじゃないし三つ編みなわけじゃないけど委員長だからといって呼び方妥協すんな
「だから、私の名前は青木 世界よ、忘れないでね」
「はいはい分かったよ、青木さん」
「一応、私のことは世界って呼んでくれほしいんだけど」
「はいはい」
委員長たる、世界さんの言うことは、何故か従わなければならないと思うような凄みがある……ような気がしなくもない。
「ところで政くん、さっき言ってたワンキルデッキ……ダーツから始まってフォートレス二枚で逆転させずに終わらせるタイプなの?」
「おいィ……ナズェバレタンディスカ!」
政が動揺のあまり、滑舌が非常に悪くなり凄いカオスな事になっていた。
「そういえば、いいんちょ……世界さんはどれぐらいカードゲームやってるんだ?」
「暇つぶしに、知識をフル活用してデッキを組んだりコンボを考えたりするだけよ?」
「……大会に行ったこと無いのか?」
「ええ……前に一回行ったけど……」
「男しか居ない場所だったから帰ったと?」
「全試合ワンキルしたら出禁喰らっちゃったの」
「世界さんなにやってるんだよ……というか、全試合って何回ワンキルしたんだ?」
「確か……シードじゃなかったから6試合ぐらいだったかしら?その時の赤ギャラは有り難くいただいたわ」
「いいんちょさん何者だ!そいつを……赤ギャラを!俺によこせぇ!」
政が、どこぞの格好いい方の元キングみたいな言い方で、優勝者の証をねだっていた。
「大丈夫よ……次は男坂ロマネをドルゲで」
「…………俺の……キングが……」
政が精神的に力尽きそうな状態になっている……ドルゲに何かトラウマでもあるのだろうか?
あと、どうでも良いけど情け無さすぎやしないか?政
……あ、復活した。復活早いな、心折らた場合に自動修復されるようにでもなってるのか?
「そういえばい……世界さん、その言い方からして去年店舗代表になったんですよね?」
「ええ」
「だとしたら……俺の記憶違いの可能性もありますが、去年はこの辺の地方予選に女の子は出てなかったと思うんですが何があったんですか?」
「………………不正を疑われて二位を店舗代表にされちゃったのよ」
「まあ、6試合連続ワンキル決めたら不正確定だろうに」
誰だってそー思う。僕だってそー思う。
そんな感じで話をしている内に先生が来た
「おっし、ホームルーム始めるから自分の席に戻れ~。戻らない奴は明日から席無くなるからな~」
担任の先生(とんでもない事を言ってるが、女性だ。アラサー……なのかもしれないが、聞いたら明日から席どころか籍が消されそうだから聞きたくても聞けない)がやって来てしまったので、話はここまでだ。
「おっし、今日も休みは居ないな~。全員いるから今言うが、お前ら極力休むなよ~休んだ奴の数だけ私の仕事増えるからな~というか誰か私の仕事を手伝ってくれ。給料は高いぞ?勿論学校に請求するがな」
「駄目だこの教師……早く何とかしないと……」
「そこ聞こえてるぞ、独り言ならもっと堂々と言うか心の中に留めどけ。」
なんなのこのアラウンドサーティー
「おっし、お前の籍消失させるからな、明日からおめぇの籍ねぇからな?」
ン…………そもそも平然と人の心を読むなんてこの先生は妖怪か?あと心の中に留めてたのに駄目じゃねぇか
「フッ……私の美貌もまだ捨てたもんじゃないな」
ウゼェ……ただひたすらにウゼェ……相手の場の永遠姫様並みにウゼェ
「なる程……私の事をウザ可愛いと」
そんなことは微塵も思っていない。主……特に可愛いの部分
「私は美しいの部類に入るからな~可愛いじゃなくて美しいだからな~」
ツッコミ所多すぎてツッコミしきれない!僕はどうしたら良い?答えろ!答えてみろ!アラサー!
「お前の心の声が聞こえたんだが……アラサーと言ったか?……その目は言った目だな……死刑」
……ざんねん、ぼくのぼうけんはここでおわってしまうようだ
「さあ、お前の罪を数えろ!」
ドゴッ
せめて数える暇を下さい……死ぬ
「大丈夫か!」
政、お前は大丈夫に見えるのか?どう見ても大丈夫じゃないのだが……
目が覚めたら、体が縮んでいた!……ミリ単位でだが…………という冗談はさておき、意識を刈る先生の攻撃で、眠っていたようだ。
……そもそも教え子の意識を刈り取るか?教師としておかしくないかな?
「まあ、大体自業自得だったけどな……」
「おっ、目が覚めたようだな!大丈夫だったか?」
「大丈夫じゃない、問題だ……というか、お前はなんでひとりでデュエルしてるんだ?」
何故か政はカードゲームを1人でやっていた。……どう見ても一人二役で
「一人?違うな!もう一人の俺とデュエルをしていた!」
「お前いつの間にエジプトで発掘された古いパズルを完成させてもう一つの人格に目覚めたんだ?」
あとその場合表なら若干空気になって裏なら最終的に成仏する事になる
「…………ま、まあ、嘘だけどな!」
「嘘かよ……嘘ならかむなよ」
「本当は地縛霊とデュエルしてただけだ!」
「お前何者だ……あとなんでデュエルする必要があったんだ?」
「デュエルで命をかけるのは普通だろ?」
「しかもさらっと命をかけてデュエルすんな!」
一体何なんだよ政は……主人公じゃないのか?髪型はぶっ飛んで無いけど……
まあ、それなら贔屓目に見なくてもモテそうなのにそういった噂が聞こえないのには納得出来るが……主人公は基本的にフラグクラッシャーだし
「大丈夫だ、負けそうになったら絆パワーでピンポイントに刺さるカードを引くなり不思議なことがおこってデッキに入れた覚えのないカードを引いたりカードを創造したりして勝つからな!」
「おい馬鹿やめろ、それは若干ヤバいからやめろ」
いくら仮に主人公だとしても、やっていいことと悪いことがある
「ちなみに俺が負けたら、バッドエンドルート一直線だ!勝ったらトゥルーエンド一直線だけどな」
「明らかに極端過ぎるだろ……」
ひょっとして、戦わなければ生き残れないのだろうか?
「…………いや、説明しない方が……」
「ん?政、どうかしたのか?」
「いや……もし仮に、俺が幽霊に取り憑かれたとしたら、どうなるんだ?」
「…………助からないな、現実は無情だから……いい病院を紹介したほうがいいのか?この場合」
「仮にって言ったろ?いきなり言われたらそう返したくなるのは分かるが……」
「なら真面目に考えて……成仏させろ」
「インゼクみたいな状態なのにか?」
「じゃあ大成仏だな」
「ああ、メタに使われてた時期があったな……なつかしい」
「あれ?お前虫使ってないのか?」
「確かに少し前まで虫を使っていたが……今の時代炎だろ?」
そういえば虫の時代は終わったのか……カードゲーム史上最もアレなトップメタだったと個人的には思う。今この話には関係無いことだが
「炎?ああ、あのリチュアに吸収された……」
「もう許してやれ……」
リチュアがクトゥルー(もといクティーラ)なら、ラヴァルはクトゥグァだろうか?
まあ、テレパシーでの会話を聞く限り、仲が良いみたいだが……
まあ、背景ストーリーの対立はさておき、あの炎のネタは……
「確か、某王国のステマに利用されたあげく実用性以上の値段になった」
「チェインTUEEEEEEEEEEEEE!」
「その返しかよ……まあいいけどさ」
「チェイン三枚必須やで!三枚ないと始まらへんもんな!」
「いい加減に鬱陶しくなってきたんだが?」
「チェインのお買い求めは」
「流石にもうやめろ、苦情がくる」
「苦情の一つや二つ、俺が蹴散らしてやるぜ!」
「ところで、今何時だ?」
速攻で話を替えないといけない気がしたから、薄々気になっていた事を聞いてみることにした
「池田ァ!……ああ、もう二時間目が始まってるな!」
「じゃあ戻れよ!僕はもう大丈夫だから」
「一応言っておくが……いつも通りになかに誰も居なかったぞ?」
やっぱり今日もいないのかよ。基本的に無人の保健室は明らかに間違ってると思う。
「あの人……いつになったら仕事するんだ?」
「仕事が無い不景気な世の中だからな!」
「いや、ないのは就職先であって、仕事は普通にあるだろ……」
具体的には僕の怪我の治療とか
「ともかく、少し休んだら参加するから、安心して教室に向かえ」
「応!俺が輝くためには、こんなもの必要ない!」
ネクタイをこちらに放り投げ走って教室に向かう政……廊下は走るなよ、急いでるとしても走るなよ
「さて……少し眠りますか……」
少し休んだら行くといった。だが、どれ位の時間たったら行くのかは言っていない。以下略
「一体誰のせいで眠れなかったんだろうな」
『デュエルに負けたおぬしの責任じゃ』
「……どういうことだ?」
『簡単な事じゃ、テレパシーを使っておぬしと会話しておるのじゃ』
「確かに簡単な理由だな……で、何の用?今の僕は忙しいんだけど?」
『どう考えても忙しく無いようじゃな……まあよい。確か、おぬしの学校にわらわの友がおったハズなのじゃが』
「うん、それで?」
会いに行けとでも言うのだろうか
「…………で?」
『それだけじゃ』
「何にもないのかよ!じゃあ連絡する必要ないだろ!」
『冗談じゃ……ちと、用事があるから呼んでくれぬかのう……』
「誰を?クトゥグァ?ニャルラトホテプ?」
『クトゥグァの方じゃ』
「ああ、あの放火魔か……で、クラスとかは分かる?」
『…………知らぬ』
「いや、知らぬで済む話か……?」
『おおそうじゃ、確か学校では……火山』
ゴゴゴゴンッ
誰だよ、こんなうるさいノックしてるのは……
扉の向こうには僕らの担任のアラサー(仮)が立っていた。
「おう、大丈夫だったか」
「いや、腹パンしたアンタが言いますか?」
あと政が肩に担がれているのはどういう事だ
「こいつに関して聞きたそうだから答えてやるが……廊下を全力で走っている上にネクタイを着用していなかったから、カウンター気味にラリアットを決めたら一発で沈んだ」
「アンタは生徒をなんだと思っているんだ!1日に何人の生徒を保健室送りにするつもりだよ!」
「のべ……3人といったところか」
「のべって事は……」
トドのつまり僕か政が犠牲になるという事か……死ぬな、1日に2発も喰らったら軽く死ねるな……
「よし、行き先が病院に変わりたくなかったら、とっとと教室に戻れ」
「サーイェッサー!」
口答えしたら実際に病院送りになりそうだった。この人には実際に病院送りにしかねないという凄みがある
そういえば、クトゥグァの偽名は『火山』何だったのだろうか?
「……と、いうわけだ!だからテニス部に取材するのを手伝ってくれ!」
「なんでいきなり『というわけだ』で始まったんだよ!」
意味不明な発言をされたのだが、友人としてはどう対処すればいいのか?ルトガーもクティーラも答えてはくれない……
「まず、理由を教えてくれないか?なんでテニス部に行く必要があるのかと、なんで部外者の僕が巻き込まれたのかを」
「テニス部に取材しに行けと頼まれたからな!でもってお前を誘った理由は……まぁ、ひとりぼっちは寂しいだろ?」
「……帰っていいか?」
大体部外者の僕を誘うとは……新聞部の部長に言ってきたら注意してもらえるかな
「まあ……実は部長の指示だ、諦めろ……」
「諦めきれるか!組織ぐるみでそれかよ!」
「行こうぜ!期待の新入部員を取材しによぉ!」
「……新入部員?新人じゃなくてか?」
「ああ!最近入部して即レギュラー入りする程の実力とかどうとかいう話を部長に聞いたんだが……」
「なにその魔物怖い」
というかそもそもなんでその新入部員は一年もテニス部に入部しなかったのだろうか?……謎だ
「だが、潜入する前に準備しなきゃならないんだぜ……それはな」
嫌な予感がするな……逃げるか
「あー、今日は用事があるんだったーじゃあな政、また明日ー」
「MA☆TTE!」
「ごめーん、急いでるから」
「前を見ろ!奴が来る!」
「廊下は……」
「へっ?」
この声は……あ……アラサー!
「走るなぁぁぁぁぁぁぁ!」
(どごっ)
「びゃはっ!」
廊下を走っただけでオニコブシなんて…………こんなの絶対に…………おかしいよ……でもってこのアラサーは…………教師として根本的におかしい……
「凄いぜ……あのパンチ、意識を刈り取る形をしていたぜ……」
関心してる隙があったら早く助けろ……
意識が浮上し、目を覚ますと僕は……女装をしていた。……うんちょっと待て、これは一体どういう事だ?まるで理解できない。
「どうしてこうなった!答えろ政!」
「部長が五分間でやってくれました!」
「新聞部部長はジェバンニだったのかよ!」
「そういえば前に、ノートの一冊や二冊、一晩で完璧に写せるとかどうとか言ってたな!」
「一晩でやってくれた奴だよな!どう考えても!」
あと違和感なく潜入するためか、テニスを出来るような格好は分かる。分かるのだが、明らかにスカートが短すぎやしないだろうか?
「ちなみにその格好は部長が用意……」
「よろしい、ならば戦争だ」
「待て!」
「断る!」
「待つんだ!その服装を良く見てみろ!」
「政?……」
薄々感づいてはいたのだが……スパッツを穿かされていた
「よし、敵は新聞部にあり!」
「待て!何をするつもりだ!」
「第三次世界大戦だ……」
「待て!お前が今攻めたら……野球でいう33―4位に惨敗すると思うぜ!」
「なんでや!阪神関係無いやろ!」
ガチで関係ない。33―4の返しに『な阪関無』の元の流れ並に、阪神は関係無い
「まあまあ、とりあえず取材に行こうぜ!」
「なんで僕ばっかりこんな目にあうんだよ!」
「そりゃあ……お前が女顔だからか?」
もう誰も信じない……信用するものか……
「………………………………………………」
「あー…………一回どこでも好きなところで奢ってやるから、手伝ってくれないか?」
「よし、話を聞こうじゃないか政」
信用しない発言?すべて秘書がよかれと思ってやったことですので
「理由はともかく交渉成立だな……潜入開始だ」
鉱山で働いていた少年をリスペクトして40秒未満で支度するか……
「念願のテニス部に潜入したぜ!」
「そうか、僕には全く関係ないな」
「お前が最初から最後までの切り札だ!」
「とっとと取材終わらせようか。あと僕がこの格好してる意味無いよな?」
「……全ては部長の指示でやった事だ」
また新聞部部長の仕業か……これも全部、新聞部の部長の仕業なんだ……
「……薄々感づいてたんだけどさ、新聞部の部長がいなければ少しは僕の学校生活は平和になってたんじゃないか?」
「やめるんだ!」
新聞部部長の所にカチコミしようとする僕を羽交い締めにして止めようとする政……誰かに見られたらいっかんの終わりだな、この光景……
「あの~……」
「何の用だ?今の僕は忙しい」
「あなた達、一体何者ですか?不審者なんですか?」
いつの間にか敵兵……じゃない!テニス部の人に見つかっていた。
その人は……一言でいえば、火……松明のような火ではなく、優しい色合いの赤い髪もあいまって、蝋燭の火のような印象の優しそうな女の子だった。
「俺はただの新聞部だ……そしてこいつが……通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」
「僕は世界の破壊者じゃない!」
「不審者さんみたいですね……安心してください、その人に脅迫されてるみたいなので、今助けます」
「MA☆TTE!それは誤解だ!」
「へ……誤解?そうなんですか?」
そんな目で僕を見ないで下さい……こっちが悪いように思えてくる……
「ちゃんと私の方を向いて下さい」
「…………僕はこいつの取材の手伝いをしてるだけだ……で、こいつはテニス部の期待の二年生を取材したいとかどうとか」
嘘も偽りも混ぜずに、純度100%の真実を話すことにする。
「ああ、それって私の事ですか!」
「……マジで?」
「ええ、私が噂の新入部員です」
「じゃあとっとと取材して帰るか……」
「折角なので3人で一緒にやりませんか?」
「いいな!やろうぜ!」
おかしいな……早く帰りたいといったハズなのにテニスする羽目になったぞ?
「ハートピースはオールイン、チャージ3回、フリーエントリー、ノーオプションでいいですか?」
「よくねぇよ、根本的な所からしてよくねぇよ。まず僕らはハートピース持ってない。あとチャージってなんだよ。フリーエントリーってどういうことだよ。チャージって何をチャージするんだよ?」
「まあ、気楽にやりましょうか」
「応!」
気楽に……できるかな……
「では早速始めましょうか」
「2体1だけど大丈夫なのか?」
「一人裏切って相手に付いた状態のダブルスよりはマシです!」
「それなんてテニヌの王子様?」
あっちは1人だけなので、最初のサーブ権は向こう側にある。
「いきますよ~?せいやっ!」
バンッ
明らかにサーブの時の音じゃねぇよ、鋭すぎるだろ
パンッ
「無駄無駄ァ!」
「なんで打った後も振り続けてるんだよ……」
もうやだこのテニス……現状辛うじてテニヌになっていないことが救いか?……まあ、まだテニスなだけで今後テニヌになることも一応ありえるのだが
「せいっ!」
バシュッ!
だから明らかに音がおかしい!
「任せろ!」
「任せた!……ってスクリュースライスされそうだから任せれねぇよ!」
タンッ
「ショボい音だったな……」
「お前らの基準からしたら流石にな?」
そもそもテニス部のホープと凡人の僕を比べないで欲しい。こっちが負けるのは火を見るより明らかだから
「フォォォォ!」
バンッ!
「お前はどこの極東エリアのデュエルチャンピオンのライバルだ!」
あと段々音が酷くなってる……インフレしてる。
「任せた!」
「任せんなよ政!」
トンッ
「…………ショボいな……」
「僕に言うな!」
「というかテニスは本来そんな風には返さないからな?」
「仕方なかったから!アレを普通に返したら絶対無傷じゃ済まなかったからな!」
変なうち方をしたからか両腕が少し痛い……片手だったら怪我しててもおかしくなかったかもしれない
「ファイナルダンスッ!」
バシッ
「だからチャンピオンネタやめい!」
というかあくまでも直感だが、あの打球(といってもよい勢いであろう)が向かう先は…………政!
ダンッ!
「ごはっ」
「ま……政ァァァァァ!」
「こんなんじゃ……満足…………」
政……お前のかたきはちゃんととってやるぜ!……といきたいものの、勝てる予感が全くしない。
「……すいません、サレンダーしていいですか?」
「はいどうぞ」
かたきはとらないのか?僕がこんな魔物に、勝てるわけないだろ!
「ところで政、取材項目は?」
「この……メモに……」
ドサッ
「……ありがと」
もらったメモには聞くこと、『身長』『スリーサイズ』『趣味』
……他にも色々な項目があったのだが、途中で読むのをやめた。一部明らかにいらない項目があったし
「さて……そういえば、名前は……」
「はい、火山日乃火です……よ?どうかしたのですか?」
「…………火山?」
「はい……そうですけど」
「ちょっと……聞きたいことが……」
さて、まずは何を聞くべきか……
「……クティーラって分かる?」
「クティーラ……ですか……」
知っていたら黒、知らなかったら白……
「ひょっとして、あなたも邪神なのですか?」
「いや、一応僕は邪神じゃないけど…………まあ、色々あって、クティーラのパシリみたいな事を……」
「そうですか……あ、私はクトゥグァです。生ける炎を少々」
「邪神の自己紹介ってそんなんじゃないといけないのか?」
「いえ分かりやすい方が良いと思いまして……」
……どういうことだ?クトゥグァさん、邪神にしては普通過ぎじゃないか?
「そういえば、クティーラがクトゥグァさんを家に連れてきて欲しいとか言ってたから……」
「分かりました、部活が終わるまで待ってもらっていいですか?」
「ああ……相方のアホを起こして取材を諦めさせないといけないからな……時間はあってもいいと思うし」
「さて、行きましょうか……と言いたい所ですけど……」
「何?僕の格好にどこかおかしい所でもあった?」
「どうみても男子の制服なのですけど……はっ!ひょっとして……男装してるのですか!?」
男装ときたか…………なんでこんなに間違えられるかな?
「そうじゃなくて逆、さっきは女装させられてただけだ」
「ええ!?あなたみたいな可愛い人が男の子のハズ無いじゃありませんか!」
あれ?マトモ……なのか、クトゥグァさんは?
「嘘はいけませんよ?実は女の子じゃないのですか?」
「僕は男だ!あと可愛いとかゆーな!」
「いえいえ、たとえあなたが認めたくなくても可愛いのは事実ですよ……羨ましいほどに」
「可愛いってゆーなや」
あとクトゥグァさんは普通の基準なら平均以上どころか、凄く可愛い(と思う)のになんで僕を羨ましがるるのだろうか?
……というか邪神はみんな美少女でないといけない縛りでもあるのか?
「あなたは私が嫉妬しちゃうくらいに可愛いんですよ!それが何で分からないんですか!」
「だから!可愛いって言うな!あとそれ言い方変えただけだろ!」
「ギューッて抱き締めたくなる位に可愛いですよ!」
「……もういいや」
諦める……クトゥグァさんは邪神にしてはまともだったが……まあ、割と普通の女の子……なのか?
「そういえば、クーちゃんが私を呼ぶ理由って何でしょうかねぇ?」
「いや、僕は聞いてないけど……あとクーちゃんって」
「クティーラだからクーちゃんですけど?」
「いや……本人はその呼び方どう思ってるんだ?」
「喜んでくれてましたよ」
「喜んでたのか?凄く複雑な気持ちだったと思うんだが」
もし僕がそんな呼ばれ方をしたら正直……
「そういえば、あなたの本名って何ですか?」
「……アツト」
「アツトさん……ですか……クールですね……あ、ハスちゃんには会った事ありますか?」
「まあ……クティーラの策に掛かってバイアクヘーさんが暴走して酷い事になったけどね……」
あの惨劇(と言って差し支えはあるまい)の後、ハスターのSAN値は残っていたのだろうか?
「……血は争えないんですね……クトゥルーさんもいつものようにハスちゃんにちょっかい掛けてましたし」
「親娘揃ってハスターいじりしてたのか……」
「クトゥルーさんに聞いたんですけど、ハスちゃんいじりを強いられているらしいですよ」
「……いつ聞いたんだ?」
強いられているという言葉からして、あくまでも直感なのだが、最近のような気がする……邪神補正で未来のネタを使いかねないのだが
「あれは確か……エジプトの王がアテムの代でしたっけ……」
「一体いつの時代だよ、それ」
「あの憎きニャルラトホテプがエジプトで暗黒のファラオとか無貌の神と呼ばれ崇拝されてた時代でしたかねぇ……」
「だからいつの時代だ……」
「多分うん千年前だと思いますよ?」
「…………ああ」
そういえばこの人達邪神だったな……寿命が長いのも納得……
「ちょっと急ぎたいので走りますよ!スリップストリームでついてきて下さい!」
「いや、道分からないだろ……」
「……道案内は任せました、スリップストリームでついて行きますから!」
「間違っても僕を抜かすなよ?迷うから」
「大丈夫です!問題ありません!」
「フラグだな」
「そんな事言わないで下さいよ!」
そして、一時間後……
「やっと着きましたね……」
「遅くなったのは大体お前のせいだからな?」
僕を置いて先に行き、案の定道に迷った……そして遅くなった
「ごめんなさい……私のせいで」
「まあ……今度からは気を付けろよ?」
「はいっ!」
……邪神にしては(色々あったけど)マトモじゃないか?比較対象のクティーラなら僕の責任とか言い出しかねないからかも知れないが
「ただいま~」
「邪神の警告を発動じゃ、お主の帰宅を無効にするのじゃ」
帰宅直後からこれかよ、このアホは……
「じゃあ僕はチェーンして賄賂、山吹色のお菓子(お土産)を渡すことによって」
「わらわは警告を取り下げるのじゃ」
賄賂(ブラック万丈目・サンダー一箱 パック四つ分也)で警告を取り下げた邪神って一体何なんだろうか……
何時の間に買ったのかというと、クトゥグァさんを追ううちに何故か買わなければいけない気がしたので、ちゃんと捕まえてから買いに行った。これも全部クティーラの仕業なんだ。無意識を操作出来るとか言ってたし
「……お邪魔します」
凄い礼儀正しいなクトゥグァさん……どこぞのクティーラとは大違いだ
「お主、今失礼な事を考えたのう?」
「気のせいだ」
「ならばマインドスキャンするのじゃ……」
クティーラはそんな(アホな)事を言いつつ、僕の顔を下の方から見つめている……ジッと見つめている……ジーッと見つめている……ジッーーと見つめて
耐えられなくなったので視線を逸らす
「その目は嘘をついている目じゃ」
「ちょっと待て、今のマインドスキャン要素どこにあった?」
「そして相手が嘘をついているかどうかは目を見れば分かるものじゃ」
「……そーゆーもんなのか?」
「そーゆーものなのじゃ」
「えぇっと……あのー」
さっきから空気状態になっていたクトゥグァさんだ。良い人過ぎて話に割り込めずにいたのかもしれない。
「私が呼ばれた理由って……」
「おおそうじゃ、すっかり忘れておったな」
そう言いつつクティーラは……どこかに去っていった。理由を説明せずに去っていった。
「ちょっと待てクティーラ!」
そんな叫び声も、クティーラに届かない。届いたのかもしれないが、その場合は明らかに聞き流している
「はぁ……」
自然と溜め息が漏れる……何で説明すらせずにあいつは去っていったんだ?
「クーちゃんが何にも言わずにどこかに行った時は、多分すぐに戻って来ますよ?」
「そう……なのか……」
クティーラの事に関しては、出会って数日の僕よりも、クトゥグァさんの方が詳しいハズなので、そうだと信じよう
「ここで待つのも何だし、とりあえず、僕の部屋にでも行く?」
「はい!」
「意外と普通の男の子の部屋ですね……」
「『意外と』って、僕の部屋のイメージどんなんだったんだよ」
「それは……ぬいぐるみが沢山あるような部屋だと……」
「いや、無い。僕は男だからな?」
なんでクトゥグァさんは僕をそういう目で見てるのだろうか
「そういえば」
「何?」
「あなたの一人称と口調が若干合わない気がするんですけど、何でですか?」
「……大した理由は無いよ。『若干』女顔だから、せめて口調だけは男らしくしておこうと思ってるだけだ」
一人称を「俺」にしようと思ったこともあった。というか実際に変えてみた事もあったのだが、色々あってすぐに一人称を戻した。……『なんか「僕」の方が似合う』といった言葉を色々な人に言われ、酷いときには『お前グレたのか?』と聞かれた事もあった
「……若干ですか?」
「『若干』だ」
「若干ですか?」
「『若干』だ」
「……まあ、そういう事にしておきましょうか」
どことなくクトゥグァさんに弄ばれている気がする……どうやって僕のペースに持ちこめばよいだろうか
そんな事を考えていると
「見つけたのじゃ!これの件で呼んだのじゃ」
クティーラがカードと手紙を手に持って、やって来た。少し遅いと思ったが、僕らが場所を知らせずに移動したからだと思われる
「で、なんだそれ?」
「見ての通りじゃ」
「カードの方は分かったが?えぇっと……ゼニ……スのライオネルだろ?」
「ゼニスじゃ!」
「うろ覚えの奴にツッコミ入れるフリして更にボケるな、あとそのカード関係無いだろ」
「今説明するのじゃが……この手紙がわらわが起きた時、枕元に置いてあったのじゃ」
「あれ?僕が起きた時にはそんなの無かったハズだけど?」
「クーちゃん達……一体何を……してたんですか!」
「いや、ただ添い寝してやっただけだぞ?」
「…………生まれ赤子は赤い顔……白と緑が合わさって赤い悲劇になっちゃいますよ?……」
「話を元にもどすぞ?」
「あ……ああ」
あの目……「これ以上話を逸らすのなら背骨を曲がらない程に反らすぞ」と語ってる……
「邪神と人の子は厄をよびそれが大災害に繋がっていあいあヨグソトース!に……」
「クトゥグァ殿?」
「はっ……わたしはしょうきにもどりましたよ!」
「ならば良いのじゃ」
怖かった……正直、見ているだけでSAN値が下がるか、持っている薔薇が少し散ってしまいそうになる程の混乱具合だった……
「話を戻すのじゃが……このような手紙が置いてあったのじゃ」
「えぇっと?……『 クティーラ殿、あなたの大切な相方を奪います。奪われたくなければ、次の金曜日の夜まで守り続けてみせなさい
偽りの王 N』」
ひょっとしてこの手紙はギャグで送られてきたのだろうか……
しかも、手紙を読む限り、狙われているのは僕だったりする?
そして手紙の差出人の『偽りの王 N』?Nって……
「Nってあれか?『ボクはチャンピオンをこえる』って」
「私に相談したということは……」
「十中八九ニャルラトホテプの仕業じゃ」
「偽りの王関連の謎は無視ですか、そうですか」
逃走の制限時間は金曜まで……どうしろと?というか、バレバレですよ?ニャルラトホテプさん
まあ、原典の方でもバレバレな偽名(ナイ神父(異名?のナイアーラトテップより?)とかいあいあもとい色々)を使っているのだが
「偽りの王はあれじゃぞ?一種の冠詞というか……飾りじゃな」
「飾りかよ、その内『偽りの羅刹』(コードファイト)とか『偽りの聖夜』(コードナイト)とかそういうのを名乗り出すんじゃないのか?」
「否定できないのが恐ろしいのう……あやつなら名乗りかねぬ」
「……そういえば、ニャルラトホテプの誘拐の件でしたよね?」
僕の誘拐云々についての話に戻す。話がズレたのは、ニャルラトホテプって奴の仕業なんだ。なんだって?それは本当かい?
「そういえば、犯人が分かったのならクトゥグァさんがニャルラトホテプを焼きに行かないのか?」
「あー……私が前の住処を焼き払ったせいでニャルラトホテプの現住所が分かりませんので~公園でダンボールで作ったニャルラトホテプハウス14号(仮)にでも住んでいるんじゃないですか?」
「駄目じゃねぇか、クトゥグァさん駄目じゃねぇか」
「待つのじゃ。クトゥグァ殿の役目は別じゃ」
「別の役目?一体何があるんだ?」
まさか、発見後に退治する役とかか?
「クトゥグァ殿にハイドラ、おぬしの護衛を頼むのじゃ」
「…………はぁ?」
「任されました!私の対ニャルラトホテプの戦闘技術は旧支配者一なので!」
「いや、ちょっと待てよ……クラス違うからずっと護衛は無理じゃないのか?」
「待ってください……私に良い考えがありますよ……フフフ」
流石は邪神、僕らの想像を遥かに越えた黒い笑い方……嫌な予感がする。というか邪神の中でもマシなクトゥグァさんの言葉なのに、嫌な予感しかしない……
「まあ、詳しい事は明日になってからのお楽しみということで」
「嫌な予感しかしないんだが……」
次の日の朝、クトゥグァさんが甲斐甲斐しい幼なじみのように迎えに来た……
「別にあなたのためじゃないんですからねっ!」という、テンプレ的なツンデレ台詞と共に
前に聞いた話なのだが、幼なじみキャラにはツンデレが多いとの事だ。ついでに不人気キャラも。この話を、本当は10割聞き流そうと思っていたのだが、全く聞かないのはどうかと思ったので、九割五分ほど聞き流した
だからといって、ツンデレ台詞に対してツッコミを入れたら「じゃあヤンデレの方が良いですか?」と聞くのもどうかと思ったが
学校まで到着するまでに色々あったのだが、面倒なので、割愛させていただく
廊下では口笛吹かれたり政に「お前も色を知る年齢になったか!」と言われたりしたが、軽くパンチしてからツッコミを入れた。
「改めて、おは↓よう↓」
「なんだよ、その挨拶は」
「おめでとう、おめでとう」
「僕らそういうのじゃないからな!」
「ラブコメ的にはお前ら最終的に付き合うんじゃないか?俺が思うに」
「だから!違うって!」
「それはそうと、とあるルートから仕入れた情報なんだがな」
露骨に話を逸らしたな、激沸騰直前だというのを悟ってもらえたからだろうか?
「うちのクラスに、転校生が来るらしいぜ?聞いた話だと……留学生とかどうとか?」
都合のいいタイミングでの転校生、昨日の邪神の悪巧み。この二つから導き出される答えは一つ……
「ちょっと火山さんのクラスに行ってくる……」
「………………ラゴン?」
無視だ無視……今はあいつに説教するのが先だ
クトゥグァさんのクラスはすぐに見つかった。教室の中でする話ではなかったので、クラスの人に呼んできてもらい、人気のない所に移動する……変なことをするわけではない。念のため
「ホームルームまでの時間は短いですけど、一体何ですか?」
「時間がないから手短に話すけど……友達にウチのクラスに転校生が来るって聞いたんだが…………邪神じゃないのか?お前らの知り合いの」
「…………あ、ホームルームが始まるので早く戻りましょうよ」
「話そらすなよ……」
沈黙が不自然過ぎて、嘘がバレバレだった
「ま、まああなたの護衛に関しては頂点に立つ邪神なので安心してください!」
「で、誰だ?僕の知ってる邪神か?」
「ええ、確か……バイアクヘーさんだったと思いますよ?」
あの変態メイドか……
確かにニャルラトホテプに誘拐される可能性はかなり低くなる。低くなるのだが、バイアクヘーさんにどさくさに紛れて襲われる可能性がある
「……闇悪魔から逃れるのに光悪魔の手を掴むのっておかしくないか?」
「人気の無い場所に近付かなければ危なくはないと思いますよ?」
「ちょっと待て、お前はどうするつもりなんだ?」
「……まあ、色々あるので……勘弁してください」
「お前なぁ……」
「大丈夫です……もし誘拐された場合は私が責任を持ってニャルラトホテプを雪山で土下座させますので」
冷やし土下座でいいのか?
「いや、流石にそこまではやらなくてもいいからな?」
「まあ、何かあったら連絡を下さいな」
「分かった……メールと電話、どっちがいい?」
「メールでお願いしますね?」
そしてホームルームにて……
「おっし、お前ら座れー愚民ども、転校生紹介するから静かにしろ、うるさかったらヴォルカ効果で焼くからな?」
「それでよく教師やれてたな、オイ」
「おい、馬鹿、殺られるぞ」
「おし、今日の私は気分が良い。今ならDDB射出だけで許してやろうか?」
「ヴェーラーで」
「……もう折檻は後回しにして、転校生を紹介するか……入ってきな」
そして入ってきたのは説明通り、ハスターの付き人のバイアクヘーさんだった
「静風 カームです。よろしくお願いします」
笑顔で自己紹介するバイアクヘーさんもとい、カームさん?いや、カームさんもといバイアクヘーさん?個性的過ぎてあまり語りたくなかったクラスメイト(特に男子)だったのだが、バイアクヘーさんの登場によって語らざるをえなくなってしまった。以下が、クラスメイト(あくまでも一部)の反応である
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「(あの笑顔が美しすぎて)妄想とリアリティングがフュージョンしちゃってるよ!」
「もう既にワタシと彼女の心は繋がる寸前です」
「ほう、俺好みの笑顔だ」
「ファンタスティック!」
「煮えたぎってきたぜ!」
……変態に語る機会を与えたらごらんの有様だった。ツッコミが追いつかない。というか出来ない
「すいません、残念ながら私は『軽い』殿方には興味ないので」
バイアクヘーさんは、軽いという部分を強調させたが、むしろ『殿方には興味ない』と言った方が正しいのではないだろうか。何故か僕が毒牙にかけられそうになっているが、気にしてはいけない所
『……………………』
一部がもの凄く葬式ムードになっていた。流石に遠まわしに興味ないと言われたらこうもなるであろうが
まあ、葬式ムードの奴≒変態だったりするので、同情するかどうかは考えないといけないが
「というワケで、コンゴトモヨロシクです」
「もう面倒だから青木から後ろ、少し下がれ。静風はそこな?」
そう言いながらアラサー先生は僕の席の隣を指差した……つまり、カームさんもとい、バイアクヘーさんが僕の隣になるようです。
「よろしくお願いしますね?どさくさに紛れてぎゅーっとするかもしれませんけどね?」
「そんな事してみろ、お前の席は更に前の方になるぞ?」
「真ん中なら交渉次第では大丈夫ですよ?」
「もうやだこの変態……」
さらに酷くなるのか……僕の学校生活が……