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異世界エース  作者: 兄二
03,Hello world
25/195

21.5話 マジックエンプティ

いつも通りです。

読み飛ばして問題なし、もしくは最初と最後だけ読むのもありです。






「アル、聞きたいことがある」

「んー? なんだいダンナ」

「魔術についてだが――」

「使えない俺に聞くかねぇ、鬼畜だねダンナ」

「そうですよ! 私に聞けばいくらでも答えますよ!! 魔術の質問でも、スリーサイズでも、求愛にも応えます」


 荒野、アルベールとの訓練を終え、大地に降り立ったコテツとアルベール、そして、タオルを持ってやってきたあざみ。

 最近は、アルベールとも、訓練を行うようになった。騎士団団長も副団長も、毎日コテツに付き合うほど、暇ではないのだ。


「俺も使えない。だから、使えない人間に聞いたほうが参考になると思ってな」


 そして、アルベールは意外と博識でもあり、冒険者であった頃の知識と見聞は広く深い。


「華麗にスルーされました……」

「んー、魔術、ねぇ」

「それに、騎士を志したなら、詳しくはあるのだろう?」

「まーね。無駄だったけどさ」

「俺としては、使えない人間から見た魔術が聞きたい。よろしく頼む」

「オーケイ、じゃあ、講義と行きましょうかい」

「……ぐすん。ご主人様、私にも構ってください」












魔術





「魔力素を取り扱って、現象を操作する手法って定義付けられてるな」

「それは聞いたことがある」

「んで、魔術には大別して二種類あってだな。外成魔術と内成魔術の二つがある」

「ふむ」

「で、魔術の効果はさまざまで、火を起こしたりから、モノを生成することもできる。モノづくりの達人は機工士って呼ばれて特別扱いだな」

「SHの製作に携わる、か」

「ああ。装甲の生成とかな」

「どうやって発動するんだ?」

「頭の中で計算すればいいっていうか、頭で設計図を描く感じかな。発動できねーけど」

「脳で演算を行う、か」

「ぺらぺら喋る場合もあるよ。イメージとか、条件反射とかで計算を有利にするんだと」

「なるほど」

「SHに乗ってると、演算の一部を代理でやってくれたり、機体内に魔力循環させて増幅したりしてくれるぜ」









外成魔術





「空気中の魔力素を取り込んで、巧く体内で操作して放つのが外成魔術だな」

「そ。それで、どのくらいの量の魔力素を取り込めるかが外成魔術の適性って奴だけど、ダンナもゼロ?」

「ああ」

「俺もゼロ。と、話続けるけど、メリットは、デカイ魔法が撃てること」

「デメリットは?」

「発動に時間が掛かるんだよね。精密にしようと思ったら思うだけ時間かかるし。それに、外から取り込んだ魔力を操作するのに自分の内在魔力使うから、ちまちました魔力操作が必要なんだってさ。これは発動前に潰すのが一番だな。使えない身としちゃ、防御手段もあったもんじゃねーからさ」

「そうか」

「ついでに、女の子のほうが外成魔術の適性が高い人が多いらしーぜ。余談だけど」

「何故?」

「外からモノを取り込むわけだから、なんつーの? こう、女の人って、お腹ん中に命宿せるじゃん。生命のキャパシティがすごいんだよ。すげーよな」

「そうだな」

「外成魔術の適性を優先して、エーポスには女性型が多いという説は有力なんですよ。とすかさず会話に参加してみます」









内成魔術





「こりゃ、自分の中の内在魔力って奴だけでどうにかする魔術だな」

「メリットは?」

「とにかく速い。もうほとんど瞬時に出るよ。しかも手間かけないで結構な威力」

「デメリットは?」

「燃費が悪い、あんまりデカイの撃てないし、やりすぎると命に関わる」

「なるほど」

「相手にするなら、避けに徹して魔力切れを待つ。んで、内在魔力ってのは、人の余り生命力らしい」

「なるほど、それが底を尽きて尚魔術を使うと、命を削る羽目になるのか」

「そゆこと。こっちは、野郎の方が適性が高いらしいな」

「長期的な生命力では女性の方が上らしいが、そうなのか?」

「マジ? いや、でもどっちかってと戦場じゃ野郎の方がしぶといぜ?」

「病気に対する抵抗力などよりも、身体的活発さか」

「多分そうだろ。で、ダンナの適性は?」

「不明だ」

「まだ測ってないのかまあ、。ありゃ、学院行かなきゃ測れねぇもんな」

「アルはどうなんだ」

「俺はこっちもアウト。別に元気余ってりゃ使えるわけでもないらしいぜ? 体外に出せるかどうかとかな」

「そうか」

「ちなみに、機工士はもっぱらこっちだってよ。外成だと不純物が混じるんだとさ。外成でSH造るやつは凄腕な」








魔力素


「こりゃ誰もよく知らねーんだよな。空気中に存在するし、人の中にもあるらしいし」

「指向性を与えれば、さまざまな現象を生み出す、か」

「そもそも妖精みたいな姿があるとか、粉みたいだ、とかよくわからんし」









学院





「先ほど話に出た学院とは?」

「アカデミーとか言われてる、魔術師の養成学校でもあるし、お偉いさんとかが延々研究してる場でもある」

(大学院のようなもの、か)

「で、内在魔力だが、測定が難しいらしくてさ。学院の方じゃないと測定できないらしーぜ。俺も、騎士見習いのときそっちで測定されて来た」

「そうか」



















「こんなものか。助かった」

「おう、じゃーな、ダンナ」


 一足先に、と去っていくアルベール。

 残ったコテツとあざみは、並んで歩く。


「では、帰るか」

「え? あ、はい」


 王城付近に造られた練兵場の荒野は広い。


「ご主人様、私に聞きたいこととかありません?」

「特にないが」

「……そうですか」

「どうした」

「私にも構ってくださいよう!」

「……困る」


 コテツにはウィットに富んだジョークを飛ばす話術もない。


「というか、ご主人様はいつになったら私の気持ちに応えてくれるんですか?」


 そして、黙ったままでいると、突如あざみが聞いてきて、ソレにだけは、コテツは真面目に返答を返した。


「悪いが、今君の気持ちには応えられない」

「今って、どういう意味ですか」

「残念だが、自分のことで精一杯だ。情けない話だが」


 そもそも、この世界に来て一月足らず。

 一切何も安定していないのだ。


「時間が必要だ。色々と」


 その言葉に、文句の一つでもあるだろう、とコテツは覚悟していたのだが、意外にも、彼女はあっさりと納得した。


「まあ、仕方ないですかね。ご主人様に余裕がないのは、分かります」

「いいのか?」


 聞き返したコテツに、あざみは微笑んだ。


「なんせ、ご主人様が死ぬまで、私はずっと一緒ですから。待ちますよ、貴方が死ぬまでの間なら――」


 荒野に、二人の足跡だけが続いていく。

読み飛ばした方もいるだろうので、また後で報告しますが、次の水木金の曜日間、都合で自宅を離れることとなります。

帰るのは金曜ですが、その間、完全に文章製作が停滞しますので、その分更新も滞ります。ご了承ください。

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