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異世界エース  作者: 兄二
09,空棘
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104話 乱

 爆音が聞こえる。どうやら始まってしまったらしい。

 アルベールに通信を送る、その少し前のこと。

 魔物を殺し、敵の男も殴り倒したコテツは、血塗れの体を引きずった。

 身体強化はすでに切った。否、切らざるを得なかったと言っていい。

 それ以上続けていたら死んでいただろう。


(出血は酷い。だが体は動く)


 この程度の怪我ならば、まだ軽い方だ。そうコテツは心中で言い切った。

 エース同士での戦闘中被弾し、内部がひしゃげ、部品が肉を裂き、腹を貫こうが尚戦い、生きて帰った。

 医師が自らの正気を疑うほどの怪我でも尚、生きて帰った。

 今回も、変わりはしない。

 いつもよりも重い体を引きずって、コテツは門へと向かう。

 必要なのは機体だ。生身のコテツ、これ一つでは大それたことなど何もできない。


「……シャロン」


 コテツは、どうにか立ち上がり、彼を見つめていたシャロンに声を掛ける。


「コテツ君! ごめんねっ……!! ごめんねっ、痛かったよね!」


 頬を涙で塗らして、自身も撃たれた足が痛かろうに、彼女はコテツに駆け寄った。


「今から戦闘を止めに行く。できれば、君も来てくれ。戦闘を止めるためには、君が必要だ」


 その言葉に、シャロンは目を見開いた。


「まだ、戦うの? 今度こそ……、死んじゃうよ……?」

「死ぬつもりはない」


 その言葉は、現状ではあまりにも白々しい。

 だが、本気でもあった。これまでコテツは、死ぬかもしれないと覚悟を決めて戦ったことは数多くあれど、死ぬつもりで戦ったのはこの世界に来てから初めての戦闘の時だけだ。

 今までも、これからもその一戦だけだ。


「やるべきことをやるだけに過ぎない。迷う理由がない」


 ボロボロの体で尚、歩き出すコテツに、シャロンは駆け寄った。

 足を気にする様子もない。

 そして。


「待って! あと、ちょっとだけでいいから、少しだけ、足を止めて!」


 言われて、足を止めるコテツ。

 できれば、早くしてくれ、とコテツが口にしかける。

 だが、それが空気を震わすことはなかった。

 駆け寄ったシャロンがコテツの肩を掴んだかと思うと、痛む足も気にせず、背伸びして彼に唇を重ねたからだ。

 そして、それと同時に口内に流れこむものがあった。

 何らかの液体を口移しで流し込まれている。

 そして、ゆっくり数秒間の時が流れた後、シャロンの唇が、離れた。

 唾液が、二人の間に糸を引く。


「……これは」

「ごめんね、コテツ君。この薬、亜人の体液と混ざってないと効果がないから、こういうことになっちゃった」


 そう言って彼女は儚げに微笑む。

 同時に、コテツは自分の怪我が治癒し始めているのに気が付いた。


「でも、効果はお墨付きだから、安心してっ。素材も貴重で、一瓶作るのに何十年も掛かるんだよ。あなたに折られちゃった腕もすぐ治っちゃったんだから」

「すまない。助かる」


 失った血は戻ってこないようだが、そう遠くないうちに血は止まりそうだ。


「では、行くか」

「うん……、あぅっ」


 そうして、動き出そうとするコテツだったが、同じように走り出そうとするシャロンの太股の傷が目に入った。


「君の分の薬は……」

「今ので全部使っちゃった。だいじょーぶ、すぐ死ぬような傷じゃないし、ちゃんと、走れるよ」


 そう言って、無理して笑ったシャロンを、――コテツは抱え上げる。


「え、う、うん? あの? だいじょーぶだよ?」

「問題ない」


 どちらも、大丈夫だと告げて譲らない。

 ただし、体の主導権を握っているのはコテツに他ならない。

 そのまま、走り出す。大量に血を流した後の挙句に人一人抱えているとは思えない速度だった。


「今から君はまた、俺の協力者だ。よろしく頼む」


 その言葉に、シャロンは抱き上げられている照れくささで頬を赤らめ、それでいて嬉しそうに頷いた。


「うん……。よろしく、コテツ君」


 そして、コテツに告げる。


「今更、虫がいいかもしれないけど。本当ならコテツ君に殺されたって仕方ないのも知ってる。傷も一杯付けちゃったし、何をされたって文句は言えない。でも、何だってするから。あたしの持ってるものなら何だってあげるから。あたしの全てを、あなたにあげる。何をしてもいいから。終わった後は殺してくれても構わないから」


 コテツの腕に抱かれるシャロンは、言う。


「あたし達を、助けてください」


 コテツの返答は、温かい言葉でもなんでもなかった。生憎とそういったものは持ち合わせがない。

 どこまでもいつも通りに、彼は言った。


「――了解」











「ははは、すげぇなこれは! これさえあれば、SHだって怖くねぇ!!」


 散発的に起こる爆発の轟音の中、亜人の男、エドガーは爆音に負けないように叫んだ。

 自分達に協力した組織が渡してきたこの武器は、無反動砲というらしい。

 名前を、ASG-1というらしい。対SH用グレネードという意味があるそうだ。

 参考にした、もともと扱いの簡単なその兵器よりも扱いや次弾装填の工程を極端に簡略化し、完全な素人ですら扱えるようにしたものだそうだが、詳しい性能や名前に興味は無い。

 放った発射機に、エドガーは走りつつ次弾を装填し、再び構えて、引き金を引く。

 弾頭が、尾を引いて飛翔し、相手のSHに当たって爆発した。

 その瞬間も、エドガーは走り続ける。

 周囲の全員もそうだった。足の速い者達でひたすら走り回り、撹乱しながら砲撃する。

 訓練を受けた兵士ではないエドガー達に難しいことはできない。だから、これでいいと、彼自身も思う。

 鍵はとにかく撃ち続けること。

 攻撃は最大の防御。相手が右を狙おうとしたら左から砲撃が。左を狙おうとしたら右から砲撃される。そうやって仲間を守るのだ。

 流石にSHは固く、簡単には壊れてはくれないが、


「やったぞっ!! 一機撃破ぁ!!」


 何発も撃ち込んだSHの、右足の付け根が崩壊した。

 バランスを取れず、倒れこむ兵士の青いSHがもがくように地面を引っ掻く。

 十分に、勝てる。

 否、無理でも勝たなければならない。

 新たな地への移住。確かに、亜人ならば狩りで生きていくことだって難しくはない。

 だが、蓄えのない一年目の冬は、大勢死ぬ。しかも、死んでいくのは自分達、若い者ではない。老いた者、そして子供達こそが先に死んでいくのだ。

 領主は、軌道に乗るまで支援すると言った。

 だが、誰が一体信用できるというのか。


『くそ、この小ざかしいケダモノ共め!! こんな汚らわしい奴ら、もっと早くに掃除してやればよかった!』


 こんなことを躊躇いなく言ってくる相手を。街を歩いているだけなのに蔑んでくるような相手を、どうして信用できる。

 『同志シャロンは殺された。亜人が目障りだったから、という理由、それだけでだ』

 さしたる理由もないのに、シャロンを簡単に殺すことができる奴らの、何を信用できる。

 長は人が良いから騙されているだけなのだ。

 別に、人が良いのが悪いわけではない。その穏やかな気性だからこそ、慕われる。

 だがしかし、今はそうあるべきではない。

 もしもこのまま移住したとして、死ぬのはその長達老人と、まだ年端も行かない子供なのだ。

 ならば若い自分達がやるしかない。

 得られないなら、手に入れるまでだ。


「行くぞ皆! シャロンの分まで戦うんだ!!」


 全員が思い思いに声を上げる。

 行ける。そう思った。武器の弾はある。

 なくなったとしても、最後まで戦い続ける。

 そう決めて、エドガーは前方を睨み据えた。

 その時である。


『全員に通達する。速やかに戦闘行為を停止しろ』


 そいつが、現れたのは。










 街の門の外は異様な熱気に包まれていた。

 亜人と人の争い。

 この戦いの特筆すべき点はSHを相手に亜人が張り合っている点に他ならない。

 本来であれば、圧倒的戦力差があった。どんなに頑張ったところで、剣やナイフでSHを倒すことは不可能に近いためだ。

 しかし、その差を持ち込まれた武器が埋めた。

 亜人達が持つのは、無反動砲の類だ。この世界の人間よりも、コテツの方に馴染み深い。RPG、パンツァーファウスト、あるいはロケットランチャーのような、榴弾を発射する携行兵器だ。

 他にもアサルトライフルや、ハンドグレネードで武装し、彼らは所狭しと駆け回り、SHに四方八方から銃撃、砲撃を浴びせている。

 すぐさま落ちるようなSHではない。直撃し、爆発すれど、弾丸が当たれど、致命傷はない。

 だがダメージは蓄積するし、行動も阻害される。数の暴力で周囲から撃たれ続け、思うように動けないまま、やがて機体は破壊されるだろう。

 これは、亜人ならではの戦いだ。人間には到底真似のできない速度で走り、跳び、撃つ。

 種族にもよるが、走るのに特化した亜人は時速八十キロで走る。その上、それが右左と変則的な動きを行なう。挙句の果てには、それが所詮人間ほどのサイズしかないというのが、問題だ。

 攻撃が当たらないのだ。一対一ならいつか捉えられるかもしれない。だが、周囲には大量の敵がいて、同じように邪魔をしてくる。

 機動力、その一点においてだけは、コテツの世界の戦車よりも厄介な相手だった。

 敵の目の付け所は間違いではなかったということである。


(確かに、亜人に現代戦のできる武器を持たせれば、凄まじい軍隊が出来上がるな)


 この機動力、そして、腕力の高い亜人ならば、個人では携行不可能な兵器も持たせることができるだろう。

 それでコテツの世界で勝ち抜けるかと言われれば否である。さもなければDFが戦場を支配することはなかっただろう。

 しかし、この世界ではそれなりに有効と言えた。人型機動兵器の生産力の差、飛行可能機体の少なさ、あるいは、空中から爆撃を行なうような兵器がないこと。

 それだけではない。この世界において、SHに対し、生身で戦おうという考え自体が存在していないのだ。

 だから、対処法が確立していない。

 コテツの世界では、最悪パワードスーツを着た一人に、機体を潰される可能性もある。

 故に、対策がある。例えば爆発、散弾。幾ら速くても、面での攻撃が当たれば生きてはいられない。

 あるいは連射可能な武器でもいい。避けられなくなるまで追い回せばいい。

 一番楽なのは、空からの攻撃だ。相手が対空兵器を持たない場合圧倒的有利な状況となる。上空から爆撃でもしてしまえば一発だ。

 しかし、この世界にはこれらがない。爆発物の類は普及も研究もさして進んでおらず、銃の普及すら微妙なくらいだ。

 一般的に普及している中に、連射可能な銃器がなければ、爆発する兵装もない、散弾もない。その上飛行可能な機体も多くない。

 では魔術はと言えば、SHに対人用広域殲滅魔術は、非常にマイナーなものである。

 何故なら、人がSHの前に立ちふさがることなど滅多にないからだ。広域である以上、SHに致命傷を与えられないほど威力が下がる。それならいっそ踏み潰した方が早い。あるいは、どうせ生身でSHに傷をつけるなど不可能なのだから、どっしりと構えていて構わないのだ。だから、多くの人間が広域魔法を覚えておく必要性を感じられず、対処法を確立することはない。

 故の互角、泥沼。

 だが、まだ争っているのは一部の若い亜人と守備隊の兵士だけだ。

 まだ、遅くはない。手遅れではない。

 この流れを、今ここで堰き止める。


「……通信は開いた、シャロン、頼むぞ」


 シャロンは、複座になったシバラクの後部座席にいる。


「うん……!」


 開くのはオープンチャンネルの通信と、スピーカー。

 戦場の全てに届くように。

 熱気でうだるような戦場に。

 二つの声が重なったのは、そのときだった。


「みんな、聞こえる? あたし、シャロンだよ。あたしは死んでないよ。全部、あいつらのウソ」

『全員に通達します。私、ハンネマン・カエサルは生きている。虚報に惑わされぬよう』


 領主もまた、生きている。シャルロッテは成功したのだ。


「聞いて。あたし達、騙されてたんだよ。治安が悪くなったのも、あいつらのせいだった。本当はさ、あいつらのせいであたし達はこの街に居られなくなったんだよ、あたし達。そしてあいつらはあたし達を捨て駒にしようと思ってる」


 これ以上続ければ、亜人は皆殺しにされるだろう。

 たとえこの街の守備隊に勝ったとして、これでは重大な反逆だ。すぐに軍隊が差し向けられる。


「あいつらはとにかく、大事にしたいんだ。敵も、味方も沢山死ねばいいと思ってる」

『守備隊、武器を下ろしなさい。戦闘の理由はなくなりました。このまま戦闘を続ける方が相手の思惑通りです』

「みんな、死んじゃうだけだよ。領主の人に言うことを聞かせるだけならよかったかもしれない。でも、もうそんなんじゃなくなっちゃった。このまま続けても、皆殺しにされるしかないんだよ。だからお願い、武器を置いて」

『亜人の皆様にも伝えておきます。私には十分な支援の準備があります。軌道に乗るまで、私は支援を惜しみません。そこのエトランジェ様に誓って、約束しましょう、だから、武器を下ろしてください』


 二人の言葉に、全員が戸惑ったのが見て取れた。

 場の動きが鈍ったのを見て、コテツもまた、声を上げる。


「全員、聞こえたな。これ以上戦闘をする理由も、死に急ぐ必要もない。戦闘行為を停止し、事態の収拾に努めろ。尚、この件に関し、亜人は許しを乞う必要はない。治安の悪化に始まる全てはライン・イレーサーと名乗る組織によるものだ。君達は、騙されていたに過ぎない。人間が亜人に責任を問うというのならば、あるいは、援助の言葉に嘘偽りがあったならば、エトランジェ、コテツ・モチヅキが責任を持って事に当たる。具体的には、粛清だな」


 終わった後、罪を問うと言えば、破れかぶれになるかもしれない。そのための無罪放免の約束だ。

 それに、今回の状況を見るに、あまり亜人にストレスの溜まる結果は避けたい。

 そのために、色々と下地など他の要因はあったかもしれないが、全ての責任を組織に被せる。

 故にこそ、エトランジェの名も出し、コテツは事態の沈静を図った。

 だが、そう簡単に事は運ばない。


『本当にそれでいいのか!? 思い出せ、虐げられた日々を!! 我々が居ようが居まいが、人は亜人を見下す! 次の機会に俺達は居ない! 武器はない!! これが最後の反逆のチャンスだ!!』


 組織が、周囲に通信を送る。

 その言葉に、亜人達が武器を構え始める。


『……そうだ。騙されたがどうとか関係ねぇ……! これがムカつく人間どもの横っ面に一発叩き込める機会ってんならやってやる!!』

『許してなんて貰わなくたって、勝っちまえばいいんだよ!! 勝って、勝って、人間なんて皆殺しにしてやりゃいい!』


 途中まで互角、ないしは有利に事を運んでいたためだろう。もしかしたら勝てるかもしれない。その思いが引き際を見誤らせる。

 わざわざここでやめて、引き分けにせずとも勝てばいい、と。

 大局的に見ればここで勝っても軍に囲まれてあえなく殺されるだけなのだが、その見方をしろというのは興奮状態の人間には酷だろう。


『伯爵! いかに騙されていようと、亜人が野蛮なことに変わりはありません! むしろ、野蛮だからこそ容易に騙されたのでしょう!』

『いつもいつもいつも! この汚いゴミ共を掃除してやりたいと思っていた!!』


 そして、たとえ行なわれたことが仕組まれたことだとしても、街の住民に与えられたストレスは本物だった。

 長い期間を掛けて醸成された不満と怒りは、そう簡単には消えてくれない。

 俄かに、人々が動き出す。

 一触即発。今にも爆発しそうな空気。

 そんな中、コテツは静かに、口を開いた。


「各員に通達したはずだ。戦う理由はない。戦闘行為を停止しろ、死に急ぐ必要はない、と。もう一度言うぞ、死に急ぐ必要はない、戦闘行為を今すぐ停止しろ」


 無論、その言葉だけで止まるような状況ではない。

 交渉や説得はコテツの仕事ではない。コテツは本来戦うことしか知らない男だ。

 だからこそ。

 戦う者を力尽くでテーブルに着かせるのは、コテツの仕事だ。


「ただ。尚死に急ぐというのならばいいだろう」


 シバラクが一歩、踏み込んだ。


「――俺が皆殺しにしてやろう」



シバラクの実際の活躍は次回に。

ちなみに、残すところあと二本です。もう少し、お付き合いください。



シバラク改


エトランジェ、コテツ・モチヅキと共に漂着した機体を改修したもの。

オリジナルよりも性能は低下したが、魔導式ジェネレータの導入と共に魔術の増幅、使用も可能となっており、一概に弱体化したとも言えない。

性能の低下自体も、エース機最高峰と謳われた戦闘力に下方修正を加えただけのため、準エース機と言ったところだろうか。

ただし、足りない技術での無理な修復のために扱いは酷く繊細なものとなり、生半可な技術では走る程度ですら困難。

魔術は、コテツ自身は使えないため、複座のサブパイロットが扱うこととなる。

そして、最大の特徴として、遺跡から発掘された左腕の存在がある。

接続された左腕はオーバーテクノロジーの塊であり、現在においては異常に堅牢な鈍器でしかないが、何らかの機能があるように見受けられる。

尚、改修されるに当たり、カラーリングに変更を受けた。


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