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異世界エース  作者: 兄二
09,空棘
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96話 長






「待て、誰だお前。ここがどこだかわかってんのか」


 そこに足を踏み入れようとすると同時、狼の亜人がコテツへと声を掛けた。

 それに被せるように、シャロンが前に出る。


「あたしのお客様。大丈夫だよ」

「……は、シャロン? なんで人間なんかと……」

「んー、まあ……」

「わりぃけど、人間をおいそれと通せるかよ」


 亜人は、前に出て体で通さない意志を見せる。


「だいじょーぶ、このシャロンが保障するって! あたしのこと、信じられない?」

「ぬぅう……、じゃあ、せめて目的くらい」

「ここの亜人の長に会いたい」


 男の言葉に、コテツはすぐさま返答を返した。


「長に? 会って何をするつもりだよ」

「話がしたい」

「本当かよ?」

「本当だ」

「シャロン、脅されてるとかじゃ、ないだろうな」

「だいじょーぶ。そんなんじゃないよ」


 脅したかと言われればどうなのだろうとコテツは思う。

 かろうじて、脅してはいないとは思うのだが。

 そんな風に考えるコテツの下に、ぞろぞろと、亜人達が集まってくる。


「シャロンちゃん、どうしたの?」

「シャロンに男……、だと」

「まさか、騙されているんじゃ……」


 老若男女問わず、ぞろぞろと集まって、コテツ達を見ていた。


「だー、みんな、そんなんじゃないよ! 危なくもないよ!」

「本当に?」

「大丈夫なんだな?」


 気遣わしげにシャロンを見る人々の目は本当に彼女を心配しているらしく、随分と彼女は好かれているようだ。


「……本当に長に会いに来ただけだ。武器が気になるようなら、渡そう」


 コテツは、そう言って、ロングソードと銃を見張りの男に手渡した。

 本当ならば全ての武器を渡したくはないのだが、亜人の鼻ならば火薬の匂いを嗅ぎ付けられる可能性がある。


「もう、火薬の匂いはないな。それに、シャロンが大丈夫っつうわけだし。……わかった。だが、妙なことをしてみろ。すぐに袋叩きだぞ。……みりゃ分かるか」


 男がじっとコテツを見つめる。


「ただ、最後に聞かせろ。本当に、ただ話しに来たんだな?」

「ああ」


 コテツは真っ直ぐに男の目を見つめて答えた。


「……わかった。ここはシャロンに免じて、通してやる。今回だけだぞ。あと、シャロンからは離れるなよ?」


 溜息でも吐くように、男は言う。


「ああ、すまない。では邪魔をする」


 やっと折れた男は、道を開けてくれた。


(長と会うのは苦労しそうだな)


 入るだけでこれでは、長に会うまでに、そして会ってからも話が拗れそうなものだと、コテツは油断なく街並みを見つめた。

 その街並みは、スラム街のような廃墟のような建物とは対照的に、そこら中に花が植えられていた。

 白い花だ。派手さはないが、優しく、落ち着いた空気がある。


「……どーかした?」


 じっと辺りを見つめるコテツを不審に思ったのか、シャロンが振り向く。


「いや。ところで、長の家はどこだ」

「こっちこっち」


 シャロンが先導し、その途中途中で、シャロンは住人に挨拶をされ、にこやかに返していた。

 そして、少し歩いて徐に一つの家へと侵入する。

 あまりにも手慣れた動作だったが、何も言わずにコテツはそれに続く。

 そして、中に居た老人へと、シャロンが声を掛けた。


「お爺ちゃーん。お客様だよー!」

「おお、シャロン。客人とな……?」


 お爺様。シャロンが実際の血縁関係にあるのか、あるいはただの老人の呼称なのかはわからない。

 しかしながら、その頭の猫の耳を見るに、血縁関係はありそうに見える。


「祖父か」


 コテツが問うと、素直にシャロンは頷いた。


「うん。じゃ、あたし席を外すね」


 そう言ってシャロンは立ち去る。

 シャロンと同じ猫型亜人らしい長は、曲がった腰ながら歩みは軽やかに、音を立てずにコテツの前に立った。


「何用かな、お若いの」

「話を聞きに来た」


 簡潔に、目的を伝えると、老人は目を丸くした。


「話を? お主人間じゃろう? なぜまたこんな老いぼれに」

「この街で、武器の取引が行なわれていた。何か知っていることはないか」


 言いながら、コテツはじっと老人を見つめた。

 例えばこの老人が敵の組織の一員であったとして、質問に対する動揺などを見逃さないためだ。


「武器の取引が……? じゃがしかし、何故お主がそのようなことを聞きたがる」


 老人が、懐疑的な視線で見つめてきた。

 確かに、現状ただの冒険者に過ぎないコテツがそのようなことを聞きたがる理由は知れないだろう。

 そこで、コテツは少しの間悩み、そして口にすることに決めた。


「ソムニウム王国、王女直属、エトランジェだ。ここには仕事で来ている」


 エトランジェである。無闇に言うべきではない言葉だったが、デメリットとメリットを天秤に掛けた上で必要だと判断した。

 既に敵には知られているため、無理に隠すデメリットより、話すことで得るメリットを選んだ。

 しかして、中々効果はあったらしい。老人は目を丸くし、まじまじとコテツを見つめる。


「お主が……、本当に今代の……?」

「これを見てもらえるか」


 口にしながら、コテツは本来のギルドカードを差し出した。


「これ以上の証明は難しいが」

「……いや、なるほど」


 今回の件、偽造したギルドカードも使ったが、本来偽造はそう簡単なものではないらしい。

 国家が後ろに付いているからこその手段と言えよう。だからこそ、この街に入る時簡単に門番も信用してくれた。

 今回、そのギルドカードの信頼感に救われる形となった。


「エトランジェ殿だったとは。なるほど、それで、この街で取引、じゃったか」


 ふむ、と髭の生えた顎に手を当て、考え込む素振り。

 しかし、結果は芳しくはないようだ。


「心当たりはないのぉ。すまん」

「いや、仕方あるまい。では、他に何か変わったことは?」

「変わったこと……、特にないのぉ。変わることはあるが」


 含みを持たせた言い方に、コテツは反応した。


「聞いてもいいか」

「近々、ワシらはこの街から離れるんじゃよ」

「ふむ?」

「この治安の悪さじゃろ? こちらもあちらもいいことがない。だから、この領の森に引っ越すんじゃよ。街にいるより、食べ物もある」


 そういえば、リーゼロッテも王都に来る前は森で暮らしていたと言う。

 彼らの身体能力があれば森で生きていくのもそう難しいことではないかもしれない。


「すでに領主殿とは話が済んでおってな。互いの希望でもある。準備ができたらワシらはこの街を離れる」


 治安の悪さに業を煮やした領主が最終手段として隔離を選んだということだろうか。

 果たして今回の件に直接関係があるかはともかく、情報の一つとして心に留めておく。

 まあ、とりあえずはこんなものだろう。


「しかし、孫か?」

「シャロンのことじゃな? そうじゃよ、それがどうかしたのかの?」

「随分と、好かれているのだと思ってな。長の孫でもあるせいか」

「なるほど。まあ、ワシの孫であることに加えて、明るく、面倒見も良くて、責任感もあり、人懐っこい。こんな苦境でも明るく居てくれるシャロンはワシら老いぼれの宝じゃよ、と。とんだ爺馬鹿になってしまったのぉ」


 確かに、長の孫というだけで、あんな風に人は集まってこないか。

 笑った長に、コテツは頷きを返し、言葉を止めた。


「さて、こんな所じゃろうか。すまんのぉ、力になれず」

「いや、いい。こちらも押しかけてすまなかった。ただ、何かあれば伝えてもらえるだろうか」

「ああ、構わんよ。ワシもそれとなく周囲を調べてみよう」

「助かる。それでは……」


 聞きたいことは聞き終えて、協力も取り付けた。一番肝心な協力も取り付けられたのだ。目的は達成と言える。

 そう思って老人から目を離した時、ふとコテツは部屋の出窓に置いてある鉢植えに視線が行った。


「どうかしたのかの?」

「いや、あの花だが……」


 この辺り、そこら中に咲き誇る花と同じ花が室内にもある。

 なんとなく気になったコテツの視線に、気がついた老人が言う。


「ああ、若者が始めたのじゃよ。貧しくとも、辛くともせめて心に少しでも癒しがあればよいと、近くの森で取れる花の種を持ち込んで、の。いい香りがするじゃろう。心が落ち着く」

「ふむ、そうだな。ではこれで失礼させてもらう」


 甘い匂いを感じながら、コテツは老人へと背を向けた。


(わかったことは少ないが、協力は取り付けた。無駄にはならないだろう)

「お話は終わったかなー?」

「ああ」

「じゃ、行こっか」


 シャロンを伴い再び外に出ると、コテツはあちこちから視線を感じる。

 先ほどから、シャロンに対しては挨拶をし、シャロンもにこやかに返すのだが、コテツを見る目は、警戒その一色だ。


(長居はあまりよくなさそうだな)


 街の状況を見るにやはり人間に恨みがあるものもいるだろう。

 もう少し調査を行ないたい所だが、下手に刺激して騒ぎを起こすわけにも行かず、一旦、コテツは出ることに決める。


「しかし、祖父だったのか」

「え? うん」

「祖父は君の活動のことを?」

「知らない知らない。知ってたら怒られるじゃすまないよ」

「そうか」


 歩みを進め、二人は出口へと向かった。


「それにしても、どこを向いても花、だな」

「……踏まれてもそれでも咲く、強い花だよ。君には雑草にしか見えない? 花を愛でる完成はないの?」

「俺に花は分からないが、腹が満たされるだけでは満たされないものある、それは理解できる」


 腹が満たされるだけでは満たされないもの。ではコテツはそれを一体何で満たしていたのか。

 任務、戦闘。


(ろくでもないな……)


 思い浮かんだ二言に心中で苦笑する。


(しかし、なるほど、花を愛でる感性か。花でも買って飾ってみるか?)


 突如考え込んだコテツに、シャロンが不思議そうな目を向けるのを見て、彼は現実に意識を引き戻した。


「ふむ、ありがとう、参考になった」

「……え? はい……?」


 結局、不思議そうな顔のまま、シャロンは歩き出したコテツに続いたのだった。










(……ありがとうって、言われた。なんで?)


 人間に礼を言われるというのは、未知の体験だった上になぜ礼を言われたのか、未だにわからない。


(まあ、考えても無駄かなぁ、殺さないといけないんだよねぇ……)


 短い付き合いになるだろう。コテツという人間を理解しきれないだろうし理解しなくてもよい。

 未だに、就寝中にも関わらず反撃された瞬間が目に焼きついて離れないが、人間二十四時間まったく隙がないなど、ありえない。

 時間をかけて、虎視眈々と狙えばいいのだ。

 一見無防備に見える背中を見つめながら、シャロンは歩く。


(……今ナイフを突き立てようとしたら、どうなるかな。意外とさくっといけるかも?)


 簡単に吸い込まれて行きそうな気はする。同時に、即座に振り向いて掴まれそうな気もする。

 今もワンピースのポケットにあるナイフを確かめる。それは、ちゃんと手に感触を返して来た。

 ごくり、と喉を鳴らす。やれるかもしれない。

 そう思って、ナイフを――。


「シャロン」

「わっひょぉい!?」


 どきり、と心臓が嫌な音を立てた。


「……大丈夫か」

「……多分」


 心を読んでいたと言わんばかりの呼びかけに、彼女は胸に手を当て、どうにか落ち着こうとする。


「それはともかく、先ほどから着けられている。少し急ぐぞ」

「え?」


 想定外の言葉に気を取られると同時に、手も取られた。

 手を引かれるまま、早足で人気のない路地を二人移動する。

 右へ、左へと複雑な順路を取り、路地の奥へ。

 しばらく早足で歩いて、やがて二人は、行き止まりへと到達した。


「追いかけっこは終了ですかね、お二人さん」


 そこに背後から、声が掛けられた。


「逃げながら行き止まりに当たってしまうとは運の悪いことです」


 現れたのは、黒い布で顔を隠した三人の人間だった。


(んー? これ、あの人のとこのだよねぇ、なんで?)

「やはり、裏切ったと言うのは本当だったんだな、シャロン」


 三人の内、一人が言う。


(もしかして……)


 シャロンを信用させるための小芝居か、と思い当たった。


「仕方ない、両方とも、死んでもらおう」


 三人が、ナイフを構える。

 しかし、その時だ。その瞬間、シャロンの目の前には、彼女が襲撃した時の、コテツ・モチヅキがいた。


(あ、やば)


 乾いた破裂音。一人の男が、太股を抑え倒れこんだ。

 コテツの手には銃。いつの間にか抜いていて、一切の躊躇なく引き金が引かれていた。

 まさかとは思うが、最初から迎撃するつもりだったのだろうか。

 わざわざ、背後から攻撃される心配のない行き止まりまで誘い込んで。


「……もしや、誘導された? だが!」


 そうして、初手はコテツが取った形になるが、一人が撃たれた隙にもう一人が懐に飛び込んでいた。

 振るわれたナイフを、コテツはロングソードで受け止める。

 そして、そのまま弾き返すと、今度はコテツがロングソードを振るって、相手を追い詰めていく。

 もう一人に関しては上手く間に入れずに、機を伺っているようだった。


「くっ……」


 一対一の状況。しかしながら、コテツの剣をどうにか捌いている方はそれなりの使い手らしく、どうにかこうにか、ナイフでロングソードを受け流していた。

 その時、ふと、コテツの背を見守るシャロンにある考えが浮かぶ。


(もしかして、今なら……)


 それなりの使い手と言えど、膂力の差で今にも崩れ去りそうな男。その趨勢を決するための一撃は自然と大きくなるはずだ。

 その瞬間の背後を狙えば。

 無意識に喉を鳴らしていた。心臓が早鐘を打つ。刺せるだろうか。

 荒い息を吐いて、懐のナイフの感触を確かめる。

 彼我の距離、役十歩。本気で走れば三歩で十分。


(今なら……)


 ナイフを抜いて突き出すだけの簡単な動作。

 どこでもいいから当たれば後は他の二人と――。


「シャロン!」


 瞬間、コテツが振り向いた。

 肩が跳ねる、心臓が口から飛び出しそうになる。


「うわはははいッ!?」


 その時やっと、眼前にナイフが迫ってきていることに気がついた。

 様子を伺っていた方の男が不利を悟って、シャロンへとナイフを投げていたのだ。

 刺さる。そう思った瞬間にコテツの手が現れ、ギリギリでナイフを掴んだ。ピタリと目前で止まるナイフ、涙目のシャロン。

 コテツが振り向いたのは、シャロンを守るためだったらしい。

 しかし、その隙に、男達は太股を撃たれた男達を担いで走り去ってしまう。

 それを追わずに、コテツはシャロンを見た。


「君の時と同じパターンか。不甲斐ない」


 捕縛しかけで邪魔が入り、逃がしてしまうことを言っているのだろう。ナイフを捨ててコテツが呟く。

 からからとナイフが地面を叩く音とともに緊張が解け、シャロンは座り込んでしまう。


「大丈夫か?」

「……お、追わなくても、だいじょーぶ?」

「君を一人にするわけにはいくまい」


 最後のナイフは半ば本気だった気がするが、これは芝居であり、心配はない、とは流石に言えない。

 コテツと共にいる方が、緊張するし、気まずいし、早鐘を打つ鼓動が収まりそうにないので困るのだが。


「亜人のあたしなんか心配しなくても……」

「君が俺の協力者である限りは、俺は君を心配する」


 協力者である限り。確かに、そういう線引きをしてくれた方が楽なのかもしれない、とその言葉にふとシャロンは思う。

 優しい顔をして、亜人の味方だ、なんて言って掌を返す方が、余程残酷だ。


「も、う、だいじょーぶ」


 なんとか立ち上がり、コテツを真っ直ぐに見る。


「しかし、君も狙われるようだな。どうする?」

「どうする、って?」

「協力を続けるかどうか。そして、続けるならば、俺達の宿泊する部屋の隣にもう一部屋取っても構わないと思っている」


 コテツはつまり、一人になったところを襲撃される可能性を懸念しているらしい。

 もしかすると、四六時中監視できるという意味も含んでいるのかも知れないが、それはこちらも同じで、四六時中共にいるというのは隙を探すにもありがたい。


「こんな美少女と一つ屋根の下……、もう逃がさん。君の無防備さが悪い、と男の無骨な手があたしの胸に――!?」

「そうか、わかった。帰ってくれ」

「あ、ちょちょ、待って待って、冗談だってば!」

「ならばどうする?」

「お言葉に甘えたいかなっ。でも、明日からね」

「何故だ?」

「女の子には、色々荷物があるんだよ? ダメだよエトランジェ様、ツンツンするよ?」

「止めてくれ」

「だから、今日は帰るね。おっと、心配性の人もご安心、周りもみんな耳がいいから変なことあったら叫べばすぐ来てくれるから」


 着替えくらいしか必要な荷物もないシャロンだったがすぐにというのは色々と困る。

 コテツはそれ以上無理に止めようとせず頷いてくれた。


「わかった。今日はここまでにしよう。ここまで来たわけだが一旦引き返すぞ。君の事は、入り口までは送っていく」


 しかし、まだ日は高く調査は続くと思っていたのだが、どうやら、現状のシャロンは使い物にならないと判断されたらしい。それとも、気を遣われたのか。

 どちらにせよ、色々な意味でありがたいとは言える。目前まで迫ってくるナイフや、コテツの動き、どれもこれも心臓に悪い。

 そのせいで疲れているのは、確かだった。

 実際、コテツといると心休まらないため送りも要らないと言いたい所だったが、これも所謂、協力者である限りは、ということだろう。

 ありがたく、受け取るしかない。

 そうして歩く道は、今度は襲撃もなく、すんなりと戻ってくることが出来た。


「ではな」

「はいな、じゃあ、また明日。あたしと離れるからって枕を涙で濡らさないでね?」


 そう言って立ち去るコテツを見送ってからしばらく待ち、耳を澄ませながら彼女はコテツの足音が遠ざかっていくのを聞いた。

 そして、それが戻って来ないことを確認し、シャロンは再び路地へと舞い戻る。

 向かったのは、組織の人間と連絡に使う一角だった。


「よう」


 いつも、シャロンに指示を出す男がそこにはいた。

 短い赤毛に、鋭い鳶色の目をした男だ。

 服はシャツにダークブラウンのズボンだけというラフなもの。歩いていても何らかの組織の人間であるとは思わせない格好だ。


「……言いたいことはわかるよねー?」

「そう、怒るな」

「死ぬ目に遭ったんだけど? もう二度とやりたくないって言ったよね?」

「守って貰えたんだろう? エトランジェ様に。それで少しは信じてもらえるなら、いいじゃあないか」


 確かに死にはしなかったが結果論に過ぎない。

 コテツの反応が遅れたら、あるいはコテツが取るに足らないと判断していたら、ナイフは頭部に突き刺さっていただろう。


「生半可な演技で騙せる訳でも無かろうよ。それとも、そんなにちょろいかね、エトランジェ殿は」

「……よく、わかんないねぇ」

「ふん、資料にも性格に関しては詳しく書かれていなかったしな」


 そう口にして、男はシャロンに背を向ける。


「ま、頑張ってくれ。俺達の目的には必須事項だ」

「……ん。それで、武器の格納庫は……」

「悪いな、もう少し待て。何かあって、お前が拷問される可能性もある」

「まぁねぇ……、でも」

「安心しろ、裏切りはない。うちの組織には亜人も沢山いるのは、知っているだろう?」

「だから、信用しろって?」

「できないか?」

「……裏切ったときは、あたし達だけでやるまでだね」

「そうか。だが、そのようなことにはならんさ。保証しよう」





あれ、なんかまだ半分も行ってないです。

明日辺り二本くらい更新するかも。

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