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それから智樹は、前の自分よりはるかに自信を持てているという事が不思議であった。人を凝視し悪いことを起こりそうなときには手を差し伸べる。


次第に、周りの人から、向井は気が利くといわれ、好感度が着実に上がっていた。テストも「カード」の力を使えば、すべて答えがわかるので簡単にとけた。しかし、成績が良くなりすぎるとなんだか怪しまれる気がしたので、ほどほどに手を抜いた。彼はこのように基本的には前述のように人を助ける好青年だった。けれど、例外があった。林準だった。「区分テスト」の結果を彼に嘲笑われた智樹は、心底腹がたっていた。できるだけ関わりたくなかったし、準の身に何が起きようと分かっていても知らないふりをしている。


「久しぶりだな」

準が話しかけてきた。本当に鬱陶しいと智樹は感じた。大体一年後に実験で死ぬくせに今こうして、話しかけてくることが滑稽だとさえ思った。

「そうやって話しかけて、俺を見下して、さぞ楽しいでしょうね!」

智樹は思わず声を大きく張り上げていった。準は何が彼を怒らせたのか全くもってわかっていないようだった。

「、、、俺なんかしたか?」と気まずそうな顔を浮かべた。彼には頭が良いのにも関わらず、デリカシーというものが存在していない。


「区分テスト」の時のことををしっかり思い出せよ!」

智樹は顔を真っ赤にして声を振るわせながら訴えた。あの小ばかにしたような言葉を聞いてから、準の事を全くもって信用できなくなった。ショックだった。あの瞬間親友ではなくなってしまった。

「ああ、あれはノリで言っちゃったっていう感じで深い意味はないよ。でもあの日から話しかけてくれなくなったよなお前。」


智樹は危うく怒鳴り散らすところだった。あんたにとっちゃ軽い言葉だったのかもしれないが、日本カースト法がある以上『俺とお前は明確に違う人間である』と宣言されたようなものだった。

「ごめん、傷つけたよな。お前にもいいところはたくさんあるよな、周りのみんなの事を本当によく見てると思うよ。まるで、予知してるみたいに、すげえよ。」


智樹は、背筋が凍るような思いがした。そもそも準は頭がいい。最近やたら、気が利くようになった智樹の事をもしかしたら「カード」によるものだと気づいている可能性がある。


「もしかして、「カード」かな?それなら説明めっちゃくちゃつくんだけどな、、。」

一人ごとのようにつぶやく準から智樹は足早に離れた。


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