表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クライセン艦隊とルディラン艦隊 第1巻  作者: 妄子《もうす》
1.第3次アラリオン海海戦
27/143

その27

 でも、まあ、より危険な立場に置かれているのは、ルドリフ艦隊だった。


 油断していた訳ではなかった。


 警戒していた筈だった。


 だが、ルドリフは、サリオ艦隊とアスウェル艦隊の半包囲攻撃に嵌まっていた。


 血気に逸る部分がない訳ではなかったが、今回はいつも以上に冷静に事を進めていた筈だった。


 色々な考えが頭の中を駆け巡っていたが、エリオに構わない事で逆にエリオの策謀に嵌まったと感じていた。


 結局、何をやっても小僧の術中に嵌まるのかという忸怩たる思いが脳裏を駆け巡っていた。


 しかも、今回は、今までとはそのレベルが明らかに異なっていた。


 自分が許せないほどの無様さだった。


「艦列を乱すな!」

 色んな考えが巡る中、ルドリフは味方を鼓舞するように叫んだ。


 そして、色々な思いがある中、ルドリフは懸命に事態の打開を図ろうとしていた。


 その辺は、流石に良将と称されるだけある。


 だが、艦隊は既に半包囲下にあり、行動をかなり制限されていた。


 ドッカーン!バキバキ!


 簡単には後退できない状態の中、両側から苛烈と呼べる砲火に晒されていた。


 しかも、敵艦は頻繁に位置を入れ替えて移動し、死角を突いてくる。


 反撃の糸口すら掴めず、逃げ出す事も出来ないでいた。


「左舷回頭!」

 ルドリフは隙を見付けては、回避行動を図った。


 ルドリフ艦隊の必死の回避行動により、何とか損害を抑えられていた。


「怯むな!敵、総旗艦に集中砲火!」

 ルドリフは回避だけではなく、反撃も試みていた。


 だが、圧倒的な不利な状況下、損害を重ねていった。


 とは言え、これはルドルフからの見方だった。


 サリオやアスウェル男爵から見ると、圧倒的有利な状況下で、意外と粘られていると言った感覚はあった。


「ルディラン艦隊、接近中!」

 ステマネが報告してきた。


 苦難な状況の中、ようやく希望の光とも呼べる報告が上がってきた。


「よし、味方が救援に来たぞ。

 このままの陣形を維持し、持たせるぞ!」

 ルドリフはようやく少し明るい顔つきになった。


 ただ、本人はそれほど楽観視している訳ではなく、尚も困難な状況である事に変わりない事を認識していた。


 エリオにより、味方の来援が遅れてしまった事を認識していたからだ。


 それは、ハイゼル艦隊ではなく、ルディラン艦隊が先に来援した事から明らかだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ