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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第1巻  作者: 妄子《もうす》
1.第3次アラリオン海海戦
21/143

その21

「敵、本隊に対して、砲撃開始!」


 ドン、ドン……。


 ルドリフ艦隊はサリオ艦隊に攻撃を仕掛けた。


 ドン、ドン……。


 当然、それに対して、サリオ艦隊も反撃してきた。


 双方の激しい砲撃の応酬により、両艦隊とも容易に近付けないでいた。


「うん……」

 戦いはほぼ互角だが、ルドリフは何やら腑に落ちない様子だった。


「閣下、どうなさいました?」

 腑に落ちない様子のルドリフを気にして、エンリックが聞いてきた。


「アスウェル艦隊との連携が悪くないか?」

 ルドリフはアスウェル艦隊の方向を見ていった。


 サリオ艦隊とは激烈な砲撃戦をしていた。


 だが、アスウェル艦隊は右往左往している様子で、参戦してこないでいた。


「罠でしょうか?」

 エンリックは警戒した。


「うーん……」

 ルドリフは何とも言えなかった。


 当初、アスウェル艦隊はルドリフ艦隊の後方に回り込むような動きをしていた。


 それをルドリフ艦隊が牽制する為に、陣形を変えた。


 そして、サリオ艦隊がそれにいち早く反応し、合わせて陣形を変化させた。


 だが、変化させたのは良いが、それによりアスウェル艦隊の動きを妨害していた。


 仕方がないので、後衛の位置にアスウェル艦隊は移動していた。


 そう言う事で、アスウェル艦隊はウロウロしていた。


「考えすぎでしょうか?」

 エンリックはアスウェル艦隊の位置取りを見てそう感じた。


 明らかにサリオ艦隊との位置関係が悪すぎた。


 アスウェル艦隊は、サリオ艦隊の行動を制限する恐れがあり、それを気にしているようだった。


「試してみるか……」

 ルドリフはエンリックの方を向いた。


「……」

 エンリックは無言のまま頷いた。


 やはり罠かも知れないという思いがあったものの、上手く行けば膠着状態を打開できるという思惑もあった。


 何より、ここに小僧がいないので、罠はないとの思いがあった。


「よし、敵本隊の右翼、連携の悪い部分に砲火を集中」

 ルドリフは決断を下した。


 その場所はサリオ艦隊とアスウェル艦隊を繋ぐ、重要ポイントだった。


 ドン、ドン……。


 砲撃はサリオ艦隊右翼を襲い、案の定、陣形が乱れた。


 ドン、ドン……。


 更に追い打ちを掛けるように、砲撃を続けると、混乱は増大していった。


 そして、その混乱がサリオ艦隊全体だけではなく、アスウェル艦隊へも波及していった。


「よし、このまま突入!

 敵の総旗艦を撃沈せよ!」

 ルドリフは好機とみて、サリオ艦隊へ突撃命令を下した。


 突撃してくるルドリフ艦隊に対して、サリオ艦隊は堪らず後退を開始した。


 と同時に、アスウェル艦隊も蜘蛛の子を散らす様に、散開していった。


 それに対して、ルドリフ艦隊は尚も攻勢を続けた。


 2つの艦隊は全く連携できずにいた。


 そして、サリオの旗艦に迫りつつあった。


 ドッカーン!


 激しい砲撃は思わぬ方向からだった。


「何事だ!?」

 ルドリフは砲撃された方向を見た。


「アスウェル艦隊からの砲撃です」

 ステマネが慌てて報告した。


 戦力外として、目を離した隙に、ルドリフ艦隊の死角から砲撃を加えてきていた。


 正に、大魚を釣り上げようとした瞬間を狙われた格好になってしまった。


 - 艦隊配置 -

         Hr

   ×SC

 As×RH


    Hi×EC

  OR


 As:アスウェル艦隊、SC:サリオ艦隊(旗艦)、Hr:ホルディム艦隊

 EC:エリオ艦隊

 OR:オーマ艦隊、Hi:ハイゼル艦隊(旗艦)、RH:ルドリフ艦隊


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