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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第1巻  作者: 妄子《もうす》
1.第3次アラリオン海海戦
10/143

その10

 ドッカーン、ドッカーン……。


「撃て撃て!進め進め!

 数の差を活かして、一気に叩き潰すぞ!」

 ホルディム伯は嬉々として叫んでいた。


 既に艦隊は砲撃を開始しており、ルドリフ艦隊に向かって突撃を敢行している。


 伯は、ルドリフ艦隊の足が止まった事で、敵は怯んだと確信していた。


 どう思おうが、勝手なのだが、絶対的有利な状況と判断した伯は嬉々としていた。


 弱い者いじめが大好きな人物なのだろう。


 したがって、隣にいるマリデンはただホルディム伯を見ているしかなかった。


 思うことはあるのだが、上官命令は絶対である。


 まあ、伯の様子はともかくとして、一見すると、命令自体はそれほど無茶ではないように感じられる。


 先手を取って、敵の機先を制するという点では間違ってはいなかった。


 少なくとも、見た目の状況は伯が思い描いている通りだった。


 だが、伯の思い通りにする為には、それなりの実力が必要である。


 また、仕掛け方やそのタイミングも重要である事は言うまでもなかった。


 22vs18。


 確かに数の上では勝っているのだが、圧倒できる数でもない。


 常人では感じ得ないものをホルディム伯が感じているのではないかと思う程、伯は自信満々だった。


 マリデンは色々な考えを巡らせながら、それでも伯を見ている他なかった。


「敵は怯んでいるぞ!

 一気に距離を詰めるんだ!」

 この時は、まだ一発も撃たれていないので、ホルディム伯は勝利を確信しているようだった。




 バッシャーン、ばっしゃーん……。


 一方、撃たれてまくっているルドリフ艦隊は、艦上でルドリフが腕組みをしてジッとしていた。


 微動だにしないという訳ではなく、我慢我慢といった感じで顔が歪んでいた。


 元々こういった待ち伏せみたいな戦い方はあまり性に合っていないのだろう。


 だが、指でトントンと腕を叩いたり、止めたりしながらもじっと待っていた。


 ばっしゃーん……、ぐらっ……。


「至近弾、1弾!」

 最前列の1隻の艦の近くに着弾したのを確認したステマネはそう報告した。


「閣下!」

 報告を聞いたエンリックが、ルドリフに声を掛けた。


 ルドリフはそれに対して、ゆっくりと頷いた。


「全艦斉射!」

 ルドリフの怒号とも取れる命令が下った。


 余程溜め込んでいたのだろう。


 どどどぅかーん!!!


 命令と共に、ルドリフ艦隊全艦は一斉にホルディム艦隊を砲撃した。


 溜め込んでいたのは指揮官だけではなかったようだ。


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