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義妹と旅する車中泊生活  作者: 桜井正宗
長野観光 三日目

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ゆ~ぷる木崎湖

 時刻は午前九時半。

 ほんの少しずつ気温が上がっていく。今日はちょっと暑くなりそうかな。

 それでも山奥の気温は快適だった。


 あれから朝食を済ませ、少しのんびりしているとバイクらしき気配を感じた。


「紺ちゃん、来たのかな」


 歩花も気づいたようだ。

 俺は窓から覗き込む。

 そこには荷物をたくさん乗せたハンタークロスカブ。間違いない、紺のバイクだ。


 俺と歩花は車から降りて合流。


「改めておはよう、紺」

「おはよ、紺ちゃん」


 グローブを外し、ヘルメットを脱ぐ紺の姿は何だか魅力的に映った。……へぇ、何気ないシーンなのに大人っぽいっていうか、カッコ良いな。


「おはよー! 回お兄さん、歩花ちゃん」


 元気よく挨拶を返してくれる紺だったが……あれ。昨日はいた人物が見当たらない。そう、執事だ。


「アルフレッドさんは?」

「あー…アルフレッドは置いてきました」

「置いてきたって、いいのか?」

「大丈夫です。また勝手についてきますし……ほら、今ってGPSとかありますし」


 紺の位置情報はGPSで管理されているってことだろうか。それでアルフレッドさんは、神出鬼没ってわけかね。

 よく分からないけど、そういう感じらしい。


「なるほどな。さて、これから『木崎湖』へ向かう。片道四十分もあるけど、大丈夫?」

「大丈夫です! ここへ来るのに何時間も掛けてますし」

「愚問だったな。紺、少し休憩したら出発しよう。後ろをついて来てくれ」

「了解です! では、あたしはバイクで待機しているのでタイミングを見て追尾しますので」


「オーケー」


 これで目的地は決まりだな。

 こっちも荷物を片付けて、出発の準備をするか。


「あ、お兄ちゃんは先に行ってて。わたし、紺ちゃんと話があるから」

「え、話?」

「うん。ダメだった?」

「そんなことはないよ。そうだな、二人だけで話したいこともあるよな。俺は先に行く。また後で」


 いわゆる女子会的な。

 女の同士の会話もあるだろうし、邪魔しては悪い。


 俺は早々に立ち去り、キャンピングカーへ。



 * * *



 十分後。

 運転席で待機していると、歩花が助手席へ戻ってきた。


「お待たせ、お兄ちゃん。長話になっちゃった」

「構わないよ。なにを話していたんだ?」

「……ひ、秘密」


 そうきたか。ちょっと気になるけど追及はやめておこう。それよりも出発だ。


「ナビのセットは完了した。木崎湖へ向かうぞ」

「うん! 行ったことない場所はワクワクするね」



 その通り。俺も木崎湖は初めて訪れるし、どんな場所か楽しみだ。

 エンジンを掛け、俺は『道の駅アルプス安曇野ほりがねの里』を離れた。


 紺がバイクで追い駆けてくる。

 今日も絶好調の走りっぷりだな。

 125ccピンクナンバーだけど、法定速度60km/h出せる。あれだけ爽快に走れるのなら気持ちいだろうな。



 北へ向かい、ひたすら道なりを行く。

 穂高大橋を進み、更に先へ。



「さすがに距離があるな」

「うん、風景もどんどん変わっていくね」

「もうすぐ『安曇野ちひろ公園』が見えてくるらしい。歩花、紺に休憩が必要か聞いてくれ」

「分かった~」


 電話を任せた。

 紺の方はBluetoothマイクを装備しているから、電話に対応できる。

 どうやら繋がったようで、返答も一瞬だった。


「どうだった?」

「休憩いらないって。そのまま進んで」

「さすが紺だな。分かった。そのまま行く」


 公園をスルーし、一気に前進していく。

 蓮華大橋が見えてきて、そこを通過。


 そこからナビ通りに進むとコンビニ『大町木崎湖店』が見えてきた。もう目的地に近いらしい。


 その時、安曇野から連絡が入った。

 歩花のお願いして電話を繋げて貰った。


『もしもーし、回くん。木崎湖へ来てるー?』

「今、コンビニのところだよ。安曇野は?」

『その近くの“ゆ~ぷる”にいるから、そのまま駐車場に来て」

「了解」


 コンビニを通り過ぎていくと『ゆ~ぷる木崎湖』という緑の屋根が特徴的な施設が見えてきた。安曇野によれば、あれは温泉らしい。へえ、ここにも温泉があるんだ。


 指示してもらった通り、いったん温泉施設の駐車場に入り車を停めた。



「歩花、安曇野と合流だ」

「うん」



 駐車して、俺と歩花は車から降りた。すると、ゆ~ぷるの方から安曇野の姿があった。温泉に入っていたんかいっ!



「やあ、待っていたよ。回くん、歩花ちゃん、それに紺ちゃんも!」

「安曇野、朝風呂か~。いいなあ」

「ごめんごめん。待っている間が暇だったからさ。回くんたちも入る?」


「いや、夜にしておくよ」


「あ~、それなんだけどさ」

「え?」

「実は、この近くにある『やまく館』という旅館を予約しておいたんだ」


「へ……」


「ばっちり四人分(・・・)を!』

「マジか!!」

「うん、マジ。だって今日が最終日の予定でしょ? なら、私が思いっきり贅沢させてあげるよ」


「いいのか?」

「大丈夫大丈夫。旅館の女将さんとは知り合いだからさ! それに、木崎湖はすっごくいい場所だから……いろいろ案内したいの」


「分かったよ。頼む」


 まさか安曇野がそこまでしてくれるとはな。お言葉に甘えて観光案内を任せよう。

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