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義妹と旅する車中泊生活  作者: 桜井正宗
番外編C

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ずっと、幸せでありますように

「お兄ちゃん、好き好き、大好き~♡」


 今日の歩花は超甘えモードだった。……猫でもここまで甘え上手ではないぞ。

 抱きついてからずっと離れない歩花。

 幸い、軽バンの後部座席だし、カーテンをしてるから誰にも見られないし――場所も河川敷なので問題はない。

 数台の車とバーベキューをしている人しかいない。



「どうした、歩花。今日は一段と凄いな」

「歩花ね、お兄ちゃん一筋だから、ニオイいっぱいつけておかなきゃなの」


 やっぱり猫っぽい。

 いや、気持ちはめちゃくちゃ嬉しい。

 正直、歩花は可愛すぎて一日中抱きしめていられる。抱き枕にしても気持ちい。


「ありがとう、歩花。いつも元気を貰えるよ」

「でしょでしょ! こうしているだけで幸せ」


 今日は珍しく手狭な軽バンの『エフリイ』に乗車していた。最近、ちょっと株で儲かったのでサブ車として購入してしまったのだ。

 しかも、新型モデルでHリミテッドという。

 ほんの一か月前に発売されたばかりだが、車中泊向けで大人気。かっこいいフォルムと最新の装備が整っているので俺も注目していた。


 販売価格はオプションをつけて丁度200万円。

 軽バンにしては高額すぎるが、かっこいいのでオッケー。

 すでに軽キャンピングカーを所持しているが、気軽に乗れる車も欲しいので購入に至った。

 どのみちいつか、歩花のマイカーにしてもらう為にもな。



「後部座席が思ったより広くていいな」

「うん、二人は余裕だね」



 歩花が細身なので全然狭くない。

 イレクターパイプで多少カスタムはしたくらいだが、それでも居住空間は快適だ。

 ある程度のキャンプ用品も持ってこれたし、ポータブル電源もバッチリだ。いつかルーフにソーラーパネルは積載したいな。



「そろそろ夕暮れかぁ」

「時間が経つのは早いね~」

「そうだな。歩花の女子高生姿もあと一年かぁ」

「制服ならいつでも着れるよ。卒業後だって着てあげるし」

「マジで」

「うん。コスプレえっちもできるし」

「――なッ!」



 歩花め、またどこでそんな知識を得たんだか。……スマホだな。

 変なサイトにアクセスしていないといいんだけど。チェックしようにも、顔認証で突破できないしな。……無断で見るつもりもないけどさ。


 なんとかして問いただしてみたいところだが――。



 ぐぅ~と音がした。歩花のお腹だ。



「……はう。お腹空いちゃった」

「飯にすっか」

「うん。一緒に作る」



 このエフリイには既に『サイドタープ』が装備されている。設置も完了済みで、簡易テントのようになっている。


 その下にはテーブルと椅子。

 調理器具とポータブル電源。


 安全を考慮してIHで料理をする。

 今日は簡単にステーキを焼くことに。



「ほら、歩花。肉だ」

「おー! おいしそー」

「国産黒毛和牛サーロインステーキだ」

「わぁ、高そう」


 数万円もする肉なのだが、せっかくのデート車中泊だからな。それに株で儲かったし、奮発してしまった。


 さっそくフライパンをIHに置く。それから、肉の両面に塩コショウ。フライパンにオイル。にんにくを炒めていく。

 それから肉を焼く!


 適度に焼くと――完成。



「よーし、できた」

「うわぁ、良い匂い」

「米は湯煎しておいたパックご飯のヤツだ」

「ありがと、お兄ちゃん」



 お皿に盛りつけて完成。

 フォークとナイフを歩花に手渡し、俺も準備完了。さっそくナイフで肉を刻む。それから一口。


 んめえええええ~~~…!


 我ながら美味くできた。素晴らしい味付けだ(自画自賛)。



「ん~、うまい」

「さすがだよ。おいしすぎー!」



 こんなに美味い飯を可愛い妹と食えるなんて幸せすぎる。しかも、夕焼けが良い感じすぎる。

 周囲もバーベキューを続けており、良い匂いが漂っている。


 花火なんかも始まったし、雰囲気が最高すぎるぜ。



 食事を終えたのち、俺と歩花はリアゲートをオープンにしたまま夜の風に当たりながらも、動画配信サイトで映画を鑑賞。伝説の殺し屋が登場するという、アクション映画を楽しんだ。


 それから就寝時間となって、歩花は俺にくっついた。ここへ来た時のように。


 俺もまた歩花を包み込む。



「歩花は抱き心地最高だなぁ」

「お兄ちゃん、あったかい」



 うとうとしていると、歩花は眠っていた。

 俺は微かに開けている窓から星空を眺めた。……今宵も満天の星空。何億光年先の光が照らす。


 ずっと、幸せでありますように――。

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