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c2 退屈な日常描写(1)


次の日は雨で、昨日酷く叱られた事もあり、早めに家を出た。

私は学校をサボった理由を話してない。

不登校児のお世話をしてました、なんてなんだか主人公みたいで嫌だもん。


「ミヨリカメ早っ!」

これは私史上最速の登校記録で、2年B組の教室には4人しか居なかった。

私を見るやいなやモブキャラクター達が驚いている。

「ねぇ、モブくん。私達のクラスに森嵐ってコ、いたかな?」

「モリラン?」

「知らね」

「俺知ってる。C組の都市伝説の女だろ」

無味無臭のモブキャラクターCが有力な情報を出してきた。

「都市伝説なの?」

「一度も学校に来ないから最早マボロシ」

「私見たよモリランドロップ」

「え?マジ?」

「うん。昨日一緒に話した」

「マジかよ」

何故か沸き立つモブキャラクター達。

「ブスだった?」

「普通以上美女以下」


私はモリランドロップの容姿を思い出す。制服着てたからファッションセンスは未知数。

不登校児の割に髪は小綺麗ショートボブ。金かかってて羨ましい。あと二重。睫毛も長くて鼻も高い。


「ごめん。美女だった」

「やべーなそれ」

「不登校で美女かよ勿体な」

そんな会話をしていると、続々とクラスメート達が教室に入ってくる。

入るや否や私が既にいることに皆驚き、ある人はマボロシだと言い放った。


【chapter.02 退屈な日常描写(1)】


「〜であるからして、ホニャホニャ〜」

義務教育の為の公務員が壇上に立ち、日本人の癖に英語を発している。

非常に退屈ではあるが、この英語の時間は楽しい。

何故ならおふざけボーナスタイムだからだ。

私は隣の席のモブ子と絵しりとりをしている。


〝ウンコ→コンニャク→草→ヤンキー(モブ子の絵が上手い。)→キリトリ線(私の発想凄い。)→〟


発想にとらわれて、私は負けていた。

それに爆笑するモブ子だが、周りの生徒達が見るだけで公務員は反応しない。

というか、敢えて反応しないようにも思える。そういうタイプの公務員だ。

しりとりを終えて、モブ子がまた別の手紙を差し出してくる。

〝昨日なんで休んだの〟

〝都市伝説の女を見つけた〟

〝なにそれ〟

〝ひみつ〟

〝ミヨリが休んだからネイマールが悲しんでたよ〟

〝あっそう〟

モブ子が書いた、ネイマールというのはサッカー部所属の初音丸はつねまる修斗しゅうとの事だ。

本人曰く地毛の茶髪と焼けた肌とイケイケな性格で一躍有名な彼を、何故かクラスのみんなは私とくっつけたがっている。

私は運動音痴なのでネイマールの事は好きじゃない。


実は内緒にしてるけど1年生の終わりの時に告白された。


私は告白されたという事だけが嬉しくて、後はどうでも良かった。もちろんお断りした。

それなのに2年生になってもクラスが一緒なので困っている。

というかネイマールというあだ名がダサい。

そんなモノローグをしながらも、私はベタに斜め前側、窓側で黒板を必死に見る彼の姿を見てみる。

秋風が少しカーテンを揺らし、なんだか彼を映えさせているが、やはり好みのタイプではない。

あとなんかヤりたい感が凄くてキモい。初潮はとっくの昔に終えてる私だけど、純潔は二十歳まで守るつもりだ。

何故ならバレたらお父さんに叱られそうだからだ。



休み時間、思い出したようにC組に顔を出してみる。

「ミヨリカメ」

C組のモブ子が私を発見し、珍獣発見的なノリで指をさしてきた。

「モリランドロップは?」

「森嵐の事?」

「そう」

「今日も来てない」

「昨日は?」

「来てない」

「一昨日は?」

「来てない」

「一昨々日は?」

「日曜日」

「先一昨々日は?」

「ねぇ、これ以上の改行やめない?」

「やっぱり、ずっと来てないの?」

「一度も見た事ないよ」

疑っていたわけじゃないけど、やはりモリランドロップは不登校児だったんだ。

だとしたら、どうして昨日に限って勇気を振り絞って学校に行こうとしたんだろう。

それが謎。

というかなんで倒れてたのかも謎。

そもそもあんなに美女なのに学校行かないのが謎。

「ミヨリ。ネイマールとどうなの?」

またその話かモブは。

「ノーゴールってところ」

「へぇ」


凄い。凄すぎる。


とっても毎日が退屈。


どうでもいいネイマールの話ばかりされるし、公務員は私達を無視する。

それでも義務教育だから行かないとお父さんに怒られる。

退屈すぎて首が伸びる。モリランドロップはそんな退屈を蹴り飛ばしている。

私みたいに朝寝坊して少し遅れるぐらいの抵抗をするオンナとは違う。

会いたい。私は素直にそう思っていた。

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