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c10 父親という生き物


どういうわけか、というか、半ば無理やり。

私は貴重な日曜日と同じ遺伝子を持つお父さんとのお出かけに費やしていた。

車でドライブで良かったのに、何故か街中に出かけるという謎の采配。

クラスの皆んなに出会ったら普通に嫌。


そういう女心を知らないのが父親という生き物である。


【chapter.10 父親という生き物】


「改心したのか?」

「何が」

チェーンの喫茶店でお父さんはホットコーヒーを、私はカロリーヤバめなフラペチーノを飲んでいた。

「最近早いだろう。朝」

「お母さんの為じゃない」

あの日以降、お母さんとはまともに会話をしていなかった。

「ごめんな小雨。母さんからちらっと聞いたよ。もし友達の為に、朝早く学校行ってるなら、最高だよ」

「私が早く行っても意味ない」

「実はな、父さんも母さんと喧嘩してるんだ」

「へぇ」

「聞けよ」

「なんで?」

「母さんはお前にさ、その友達と関わるなって言っただろ。あれ、俺は違うと思うんだな。それで口論」

「ふ〜ん」

「やっぱ、学校は勉強より友達だよなぁ」

なんだか遠い目をして、いかにも人生の先輩ですという風を吹かせるお父さん。

今日はすごく機嫌が良い。

私とデート気分なのだろうか。

それにしても、会話をしているものの、恥ずかしい。休日、街中に父親といるとか無理。

「どうすれば学校来てくれるかな」

「う〜ん、分からん」

「使えな」

「親に向かってそりゃないだろ」

「お父さんの時は不登校児とかいなかったの」

「う〜ん。記憶だが転校生が来て、馴染めなくて結局来なかったヤツがいたような・・・」

「ダメじゃん」

「難しいんだよ。きっと」

「モリランドロップが来ないと私も学校つまんないから早くきて欲しい」

「もり、らんどろっぷ?」

「その子のあだ名」

「独特というか、長くないか?」

「本名が短いからわざと長いあだ名にしたの」

「小雨ってたまにセンスあるよな」

「いつもだけど」

お父さんが気持ちの悪い感じで笑っている。

なんだか照れてる様にも見える。


「なんかキモいんだけど」

「いや。なんつーかね、お母さんとは大学時代に出会ったんだけどさ・・・きっとお母さんの中学時代って小雨みたいだったのかなって・・・」

「なにそれやめてよ」

「若い頃のお母さんにそっくりだよ」


「うざ」


そこで会話が止まった。お父さんのそういうところが本当に気持ち悪いし嫌い。

義務教育を受けた人間は子どもへの配慮に欠けるのだろうか?

是非、家庭科の授業では子育てと娘へのコミュニケーションという項目を増やして欲しい。


「どれ、行くか」

完全にお父さんの顔が死んでいる。



起死回生と言わんばかりにお父さんが高すぎなければ何か買ってやる、と言うので私は本屋に来た。

何件も店が入っているビルの1階に本屋がある。


「漫画は卒業したんだろ?」

「うん。これからは小説を読む」

「そうか。お父さんは雑誌コーナーいるぞ」

「うい」


そう言って、小説のコーナーに行こうとした時。動じない私だけど少しどきりとする。

同じクラスのモブ山がいたからだ。モブ山とは、接点がないけど何か噂されては困る。


私は時間稼ぎのために一旦本屋を出る。

その時・・・


モリランドロップがいた。


間違いない。マスクして、私服だけど、私には分かる。つーか私服が意外と甘めだ!あんなに綺麗なのに、可愛い系の服を・・・


動じない私だったが、その理解しがたい状況に困った。

モリランドロップは大人の男と一緒にいる。お父さん死んだんじゃ?嘘だったの?

どうして嘘ついたんだろ・・・


やっぱり、わたしには分からないことが沢山ある。

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