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ラウム

作者: 平 一

次の作品に感動して、書いた作品です。

イラスト:fallen angel https://www.pixiv.net/artworks/68698734

素敵な刺激を与えてくれる、文化的作品に感謝します。


作中の描写には一部、自分の被害体験も含まれています。

似たような事件の報道を見るたびに、今でも恐くなります。

自己防衛や(治療司法含む)犯罪対策の必要性を実感します。


でも、可愛い悪魔っ娘なら……っていやいや、

私みたいな特殊趣味オタクの妄想ならまだしも、

現実だとやはり恐ろしい(苦笑)。

昨今の防犯技術の進歩はめざましい。

そこで私は、奇策に頼ることにした。

やっとのことで召喚(しょうかん)した魔王ラウムは、

漆黒の髪と翼が美しい、少女の姿で現れた。


職能にふさわしく抜け目がなさそうだが、

はにかむような微笑みと、

鳥のように軽やかな身のこなしには、

剽軽(ひょうきん)な印象もある。


しかし私は、悪魔の本性というものを

甘く見すぎていた。


『お初にお目にかかります、

私は窃盗の悪魔ラウムと申します。

どんな物でもお持ちしてご覧にいれますよ。

……おやっ、でもまあなんて素敵なお方! 

まずは貴方のハートを盗んで、

私の下僕(しもべ)にさせていただきましょう。

もちろん私のもとで働けるよう、

現世との因縁も断ち切って差し上げますから、

ご自身の我欲に惑わされることもなくなりますよ』


すると突然、私の腕が勝手に動き出し、

自分の首を締め上げ始めた。

『いや、それじゃ呼び出した意味が……、

ちょ、待……誰か助け……ぐっ!』


身体がどんどん重くなって倒れ、

頭の中がじんじん(しび)れてきたかと思うと、

全身の感覚が失われてゆき、

ついには視界が真っ暗になった。


……しばらくすると、

彼女が暗黒の世界を背景に、

嬉しそうな顔をして立っていた。

どうやらすでに、あの世らしい。


私は言った。

『ひどい奴だな……』

彼女は満面の笑みを浮かべて答えた。

『悪魔ですから!』



ラウム:

ソロモン王が使役した、72大悪魔の中の一柱(ひとはしら)

財宝を盗み出したり、都市を破壊したり、

人の尊厳を(おとし)めたりする能力をもつ。

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