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色々試してみよう

 ゴブリンに寄生した俺は元の俺を担いである場所に向かっていた。

 暫く森の中を歩くと、そこにはポッカリと大穴の開いた洞窟があった。

 大きさ的に大人の人間が余裕で入れる大きさだ。


「ここがこのゴブリンの巣みたいだな」


(ふむ、中々立地のいいとこに住んでるじゃないか)


 俺達は互いにそう呟いた。

 その後、元の俺を巣の近くの草むらに隠して、巣の中へと入っていった。

 中は明かりもなく薄暗かったがゴブリンの目は暗所でも難なく見通せる為にさくさく歩けた。

 結構便利だな。ゴブリンの体って。


「ム、カエッタカ?」


 目の前にいた一体のゴブリンが俺を見てそう言ってきた。

 どうやら俺は付近の偵察に出ていたようで、その帰りと思われてるようだ。


「あぁ、特に異常はなかった。安心していいぞ」


「ソウカ、キヲツケロヨ。最近ココラデ凶暴ナスライムガイルミタイダ。奴ハホカノスライムトハ違ッテトテモツヨクカシコイ。オマエモ油断スルナヨ」


 あぁ、それ俺の事だな。どうやら俺の存在はここら辺のモンスター達にとって結構ヤバ目な存在に見られてるようだ。

 まぁあれだけ乱獲したらそりゃそうなるよなぁ。


「分かった。気をつけるとしよう」


「・・・今日ノオマエナンカ変ダゾ?」


「そうか?」


「ナントイウカ、急二頭良クナッタミタイナ」


「気のせいだろう」


 これ以上こいつと話してても情報は得られそうもないな。寧ろ変に疑われても面倒なので足はやにその場を後にした。

 奥に進むとさらに多くのゴブリン達がいた。

 皆それぞれ思い思いの行動をしている。

 その場に座ってる奴。得物を見ている奴。寝てる奴。

 ここが奴らの巣なだけあって皆安心し切ってるみたいだな。

 今この場に凶悪なスライム(俺)がいる事にも気づかずに。


 周りのゴブリンを無視してさらに巣の奥に進むと、俺はお目当の場所にやって来た。

 そこにはどこからか連れて来たのか半裸の女達が拘束された状態で閉じ込められていた。

 皆諦め切った目をして意識があるのかすら分からない。

 

「思った通りだな」


 俺が目指していたのは奴らの繁殖場だ。

 よくあるファンタジーものとかだとゴブリンは人間やエルフとかの女を攫って巣に持ち帰り自分の子供を産ませる。と言うのが鉄板だったが、ここでもそれは通用したみたいだ。

 俺は早速女達の下へと近づいた。

 女達はゴブリンの俺が来た途端体を震わせて怯え出していた。

 

 相当な目にあったようだな。

 まぁ、これからもっと酷い目に遭うんだろうけどな。


「まずは健康状態を確認しないとな」


 早速俺は女達の手首を触れたり首筋などを確認したりなどをした。

 素人目線でのことだがある程度健康な母体が欲しい。

 最悪使えないようなら全員纏めて食ってしまえばいいだけの話だしな。


「イ、イヤァ!」


 一人の女が俺に手を握られた途端に思い切り振り払ってそのまま俺の顔目掛けてパンチを放って来た。

 衝撃はあったが元は借り物の体。

 別に対して痛くはない。そもそも俺の本体はこいつの頭の中なんだしな。


「ふむ、お前にするか」


 抵抗出来る辺りこいつは他の女に比べて健康体なのだろう。

 早速いただく事にした。

 女も必死に抵抗したみたいだが長い間拘束されてた為かろくに力も出せずただされるがままの状態だった。

 しかしこのまま暴れられても面倒だな。

 俺は女の両手を近くにあった縄で縛り上げて動けなくしてから女の口にゴブリンの口を押し当てた。

 所謂ディープキスと言う類なのだろうがそんな事は関係ない。

 俺が欲しいのはこの女の体なのだから。

 女の口を通じて俺は自分の体を半分に分裂させてゴブリンの脳から移動して喉をつたい女の口へと移った。

 女が俺が口の中に入った瞬間暴れだしたがゴブリンの俺がそれを強引に押さえつけてる間に分裂した俺は無事に女の脳へと到達出来た。


「プハッ!ハァ・・・ハァ・・・」


 やる事を終え、口を離すと女がむせ返っていた。

 涎が滴る口をそのままに俺のことを睨む。


「ナ、何ヲシタノ?」


「ククク、いずれ分かるさ」


「???」


 女に俺の言った言葉は分からないらしい。それもそうだ。今の俺はゴブリンの言語しか話せない。

 人間の言語はまだ話せないので意思の疎通はまだむりそうだな。

 まぁ、それも少しの間の話だろうが。


 他の女たちも見てみたがどうやら先の女の他は皆健康状態は良くないようだ。

 相当乱暴されたらしく体はボロボロだし繁殖能力もあってないような状態なのが殆どだった。

 これでは使い物にならんな。まぁ、最悪この女の代わりになれば構わんか。


 俺が他の女達を見ていると、外から別のゴブリンがやって来た。

 そいつは女達を見るや下卑た笑いを浮かべ出した。

 うん、同じゴブリンだけどあの顔はないわ。

 ただでさえ醜悪な顔が更に醜悪になってるよ。

 俺がそんな風に思っていると、そいつは先の健康体の女に手を伸ばして来た。

 おい待てコラ!そいつに手を出すな!


 咄嗟に俺はそのゴブリンの横面をぶん殴ると、殴られたそいつは壁際に吹き飛ぶ。

 やばい、殺しちまったか?

 不安になる俺だったが、そいつは殴られた箇所を押さえながら立ち上がると恨めしそうに俺の事を睨んできた。


「何シヤガル!」


「この女は俺の女だ!手を出すな」


「ウルセェ!」


 俺の説得を無視してゴブリンはお返しにと殴りかかってきた。

 全く、これだから低脳は困る。

 とりあえずゴブリン同士で殴り合いの喧嘩を行わせる事にした。

 俺自身も結構殴られたが全然痛くない。

 そもそも俺の本体はこいつの頑丈な頭蓋骨に守られてる為にパンチ程度じゃ痛みすらない。

 幾らか殴り合ったところで相手ゴブリンが数歩下がって膝をついた。


「グゥ、イ、イツノマニソンナニ強クナッタ?」


「答える気はない。この女には手を出すな!もし手を出したらこの程度じゃ済まんぞ!」


「チッ!」


 舌打ちし立ち上がると、腹いせとばかりにそばに居た他の女を捕まえに行った。

 ゴブリンでも舌打ちするんだ。

 なんて考えてる場合じゃないな。

 とにかく今はこの女が無事に定着するまで監視しとかないとな。

 いざとなればもう一人の俺が上手くやってくれるだろうし。

 

 隣を見ると、他の女で鬱憤を晴らしたゴブリンはすっきりしたのかその場を去って行った。

 去り際に俺の事を睨み付け、また舌打ちして去って行くと言う不満全開な様子を残して。

 あぁ、こりゃあいつ今晩やらかすつもりだな。

 俺はそう確信しつつも、特にこの部屋でやる事もなくなったので此処を離れる事にした。


 その日の夜、女達の眠る部屋に一匹のゴブリンが入ってきた。


「アノ野郎!偵察係ノ癖二俺ヨリイイ女取リヤガッテ!」


 ぶつぶつと恨み言を呟きながらそいつは今日、手を出せなかった健康体の女の腕を掴んだ。

 突然掴まれた事で目を覚ました女が悲鳴を上げようとしたがそれよりも前に女の口に布を押し込んで黙らせる。

 そして、女を押し倒していざ行為に及ぼうとした時、ゴブリンの首にゲル状の何かが巻きついて来た。


「グゲッ!」


(手を出すなと言われたばかりだろう。お前らゴブリンは鳥頭らしいな)


 ゴブリンの首を締めながら天井に隠れていた俺はうねうねを引き揚げる。

 巣の近くに隠れていた俺は中に入ったゴブリン(俺)の手引きの元女達のいる部屋に忍び込むことができた。

 そこで俺は俺の入った女にゴブリンが近づかないように見張ってた。と言う訳だ。


 そうとも気づかずにこいつは間抜けにも女に手を出そうとした訳だ。

 俺はその不届き者の後頭部にうねうねを突き刺し中の脳を溶かして食い尽くし、その後に俺を流し込んだ。

 うーん、これだと俺の体を半分使うからコスパ悪いんだよなぁ。

 もっと一度にたくさん寄生したいんだが、まぁ今は我慢だな。


 今回は元々半分だったのが更に半分になってしまったので定着にはまだ時間がかかりそうだ。

 仕方ないので部屋の外に放り出してあたかも行為を行なって疲れて寝た体を装う事にした。

 奴の中に入った俺が奴の中身を食い尽くして体を乗っとるまではあのままだろうな。


 尚、それ以降のゴブリン達は皆寄生はしないで中に消化液を流し込んで食らう事にした。

 食らった後は見つからないようにゴミ捨て場の底の方に埋めて捨てた。


 女に変化が現れたのは3日後のことだった。

 それまでは度々やってくる俺の事を親の仇みたいに睨めつけていた女だったが、その日は俺を見るなりニッと笑って見せた。


「その様子なら、定着はしたみたいだな?」


「あぁ、もうこの身体は俺の意のままに動かせる」


 そう言って女の俺は右手を上げて、掌を回転させて見せた。

 無事に寄生は成功したようだ。


「よし、実験は成功したみたいだな。なら次のステップに移行するとしようか」


「分かった」


 ゴブリンと人間の女が話し合ってるのを見て周りの女達は大層驚いた目をしていた。

 まぁ、連中からしてみたら奇声を発してるだけのゴブリンとなんら問題なく会話出来てるのが不思議でならないみたいだ。

 実際には中の俺同士が意思の疎通を行ってるだけなので言葉なんて意味をなさないんだけだな。


 無事に女の身体を手に入れる事が出来た次は、この女の身体にゴブリンの種を植え付ける事だ。

 早速ゴブリンの俺と女の俺同士が始める事となったのだが、天井から見てた俺としては体こそ人間とゴブリンなのだが中身がどちらも俺なので少し複雑な気分だった。

 無事に女の身体を手に入れたので他の女は不要となったので俺が美味しくいただく事にした。

 朝になって女が一人を残して皆死んでいたのを見てゴブリン達が大層慌てていたのが地味に笑えた。


 女の身体を手に入れた俺はその後に毎日大勢のゴブリンとしながら母体の健康状態の確認を行なっていた。

 脳は食い尽くした後だが他の臓器は無事なのでなるだけ健康体を維持させる事を注意しつつゴブリンの種が定着するのを待った。


 種が定着したのはそれから数日後の事だった。

 女の俺が体の中に定着したのを知らせてくれたのだ。

 その後は他の俺たちが出産するまで女の前に陣取った。

 無理やり行為をしようとした奴は叩きのめして追い返して行く。

 下手にやらかして折角出来た成果を不意にされては困るからな。


 そこからは意外にも早く一ヶ月もすると女の腹が目立って大きくなって来ていた。


「随分と早いんだな」


「どうやらゴブリンは人間に比べて早めに生まれるみたいだな」


「それで人間よりも早く成長して野に放たれると言う訳か。通りで乱獲されてるのに絶滅しない訳だ」


 内心で俺は最初にゴブリンに寄生したのはアタリだったかもとほくそ笑んだ。

 これなら更なるステップに移行する事も出来そうだ。


 それから更に一ヶ月経ち、遂に待望の第一子が産まれた。

 産まれたのはゴブリンの赤子だった。

 女の俺に抱かれてる赤子を見俺達は見ていた。

 あれだけ醜悪な顔をしていたゴブリンも産まれたてはそれなりにり可愛げがあるものだ。

 その赤子が目を開き、こちらを見上げて来た。


「よう、無事に生まれることができたぞ」


「どうやら成功したみたいだな」


 赤子から言葉が発せられたが、俺達は別に驚きはしなかった。

 当然だろう。何故ならこの赤子もおれなのだから。


 女の身体に種子が定着し、形を成した辺りで女の中にいた俺は自身の一部を切り離して体内の赤子の中に入り込み、その脳を占拠し、赤子の成長に合わせて寄生した俺自身も成長出来たと言う訳だ。

 これは俺にとっては嬉しい成果と言えた。

 今までの寄生の場合だとゴブリンに対してでも今だと体積の半分を使わないと完全に身体を制御し切るのは難しい。

 先の女の時のように少ない体積で行う方法もあるが、まぁ今は実験段階なので後でまた試してみてどちらが効率的かで決めるとしよう。

 とりあえず今は俺の手足が増えた事を喜ぶとしよう。

 

「ゴブリンの赤子は成長が早いと言うがどの程度で動けるようになるんだ?」


「大体数日もあれば動けるようになるぞ」


「そうか。とりあえず以降はこの方法の他にこの巣の中にいる奴らに俺の一部を食わせてみる方法も試してみるとしよう」


「後、この近辺で他にも女が居れば連れてくるのも良いな。流石に母体が一つだけと言うのは効率が悪い」


「それと母体の健康維持の為に何か食料を見つけてくるのも大事だ。今は俺がなんとか維持してるが案外これはエネルギーを使う。絶食が何日も続くと流石に不味いな」


「やる事が多いがまずは一歩前進と言ったところか」


 俺と俺達はそれぞれの行動に移ることにした。

 今のところこの巣の中にはゴブリンが50匹に、亜種のメイジが6匹、アーチャーが4匹、上位種に当たるボブゴブリンが5匹、そしてボスに当たるゴブリンキングが1匹と言う構成になっている。

 その中で今俺が寄生しているのは2匹のゴブリンのみだった。

 おっと、今生まれた個体も含めると3匹になるな。


 取り敢えずゴブリンの俺達には外に出て獲物の捕獲をして貰うとしよう。

 産まれたばかりのこいつも動けるようになったら動作確認も兼ねてそれに加わってもらうつもりだ。

 その間に女の俺の方はひたすら増産に励んで貰うとしよう。

 ここはゴブリンの巣。どいつもこいつも終始盛りまくりだ。数の補充には困ることはあるまい。

 その間に本体の俺の方は巣の中のゴブリン達に俺の一部を流し込んでどちらが効率的か試してみるとしよう。

 やれやれ、異世界転生と言うのはやる事が多すぎて退屈しそうにないな。

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