迷宮
マクリアの街は壁で囲われていた。
城塞都市というやつだろう。
盗賊なんてのもいるようだしな。
城門に行く道すがら、それとなく耳をそばだてていると迷宮は森の中に入ってすぐのところにあるらしい。
城門には誰もいなかった。
・・・なんのための壁なのか?
と思ったが、考えてみれば常時警戒が必要なほど、治安は悪くないということなのかもしれなかった。日本の幹線道路にしたって、県境や町の出入り口に警官が立っていたりはしないのと同じことだ。
たんに人手不足ということもあり得るが、少なくとも現状ではなにかからの襲撃を想定してはいないのだろう。
古い戦争の名残、とかの可能性だってあるし。
城門から出て、少し歩く。
どこに迷宮があるかはミーレスが聞いてきてくれた。オレはついていくだけだ。
しばらく進んだところで、入り口らしきものが見つかった。
石でできた鳥居のようなものだ。
鳥居なら通路となるはずの空間に、不自然な紫色のもやがかかっている。
入り口っぽい。
「あれが入り口ですね」
ミーレスが言う。
やはりそうか。
進んでいくと、どこからか年寄が出てきた。
白髪頭で杖はついているが、腰に剣を佩き、物腰が凛々しい。
一目でただ者ではないとわかる偉丈夫だ。
「冒険者ギルドの管理者です」
ミーレスにが教えてくれる。
オレはポケットから冒険者ギルドの会員証を取り出して見せてやった。
「通ってよい」
会員証を確認した爺さんが許可してくれたので、そのまま進む。
鳥居をくぐった。
一瞬だけ暗いところを通り、すぐに抜ける。
出た場所は、人工的な洞窟、あるいは洞窟風のトンネルか。
ありがたいことに明るいとまではいかないが、全体がぼんやりと光っている。
これが迷宮の中か。
リティアさんにも聞いていたのだが、たいまつは必要ないようだ。
トンネルは前に一本、右に一本、左にも一本のびている。
マッピングの準備もしていないが大丈夫だろうか。
そんな不安を抱くと、脳裏に黒い地図が広がるのを感じた。オレにはマッピングの機能もあるらしい。
「ああ。そうか」
どっちに進もう? と考えていたらすぐ近くにいる魔物の位置がわかった。
「こっちだな」
「わかるのですか?」
「ああ」
さっき広がったばかりの脳内地図上に赤い点が見えている。
オレのマッピング機能は魔物の位置まで把握できるようだ。
歩くうちに、角の生えた兎が出た。
体長一メートルくらい。
って、それはもう、兎じゃないだろ!
だがカピバラもネズミなのだから、理屈では兎と評して間違いはないのか。
なんか納得がいかない。
タグを見ると角兎とあった。
・・・まんまだな。
「ほんとにいました」
尊敬の目を向けてくる。
さすがは『異世界人』といいたそうだ。
「行きます」
ミーレスが先行する。
素早い動きで接近して、何度かレイピアが振られ・・・魔物が黒い霧になって消えた。
ゲームではおなじみの光景だが、リアルで目にすると意外に迫力がある。
ドロップアイテムということか、ドリルみたいな螺旋を描く角が残った。
ミーレスが拾い上げ、オレの背負っているリュックサックにしまう。
リュックサックの中には『金貨』と『侯爵夫人の認証』だけを入れてある。他の荷物はすべて離れのクローゼットの中だ。
「ミーレスは強いんだね」
こんなに強いとは思わなかった。
頼もしさで思わずはしゃいだ声が出る。
「いえ、この程度は・・・」
恥ずかしそうにもじもじと身を縮めるミーレスが最高に可愛い。
普段が少しすまし気味なので、たまにこんな態度をとられると破壊力がすごい。
「あの、次に行ってもよろしいですか?」
訊いてくるので、オレは一も二もなく頷いた。
その後も、ミーレスは危なげなく魔物を狩って行く。
オレの脳内マップで魔物のいる場所がわかるということは、近づいてくるのもわかるわけで、不意打ちなど起こりえない。
オレはただ魔物のいる位置を教えてやって、彼女のあとを追いかけるだけだった。
暇なので、その間にオレは自分の能力の考察をすることにした。
タグを展開する。
各種データが細分化されて表示された。
真っ先に目を引いたのは、『設定』だ。
他には、『データ操作:各種データを変動可能。』とか。
武器の数値などを変えるとかができるのはこれのおかげというわけだ。
こうして、自分の情報を見ることができるのもこの能力のおかげなのだろう。
『パーティ編成:同行者の指定、各種データの閲覧、編成。』
パーティを組む・・・そういうのもありなのか。
神々が迷宮をつくったということだからゲーム的なのは当然として、それにしてもなんだかなぁという気持ちがしてくるのは止められなかった。
まぁ、わかりやすくていいけど。
編成画面を呼び出すと、ボックスが三つ並んでいるのが分かった。
三人パーティ?
普通四人からだろ!?
ツッコみそうになって思いとどまる。
レベルで増えるのかもしれない。
ともかく、一つ目には自分が入れられていた。
あとは空白。
オレのパーティなのだから自分は必須ということだろう。
「パーティってわかる?」
ちょうど10体目を斬り伏せたばかりのミーレスに質問をした。
このスキルは特殊なものなのか、何人かが集まれば誰かが使えるようなものなのか、それを知りたい。
「複数で行動することのあるジョブの人が、使うことのできるスキルだというのは知っています。以前迷宮に入った時に、パーティへの加入を経験していますから」
「その効果は?」
「個人の能力を全体で共有できます。レベルの低い人が一人いてもパーティー全体でカバーするので倒されにくくなります」
なるほど。
初期レベルで中心になれないうちはレベルの高い者の力を借りて迷宮を経験して、レベルが上がって自分でパーティーが組めるようになると独り立ち、というシステムだ。
よくできている。
理解したところで、『ステータス』画面を見る。
身体能力が細かく数値化されていた。
これもポイント変動できるのだろうかと、いろいろ試してみるが無理らしい。ただ、画面の上に15ポイントが浮いているのが見えて、それは各数値に上乗せできた。
ボーナスポイントということか。
素早さに8、腕力に7を上乗せしてみる。
残念ながら、実感はない。
「ミーレス、次の魔物はオレが戦う。危なくなったら助けてくれ」
情けない限りだが、オレが素人であることは動きからもうばれているだろうし、オレ自身も言ってある。見栄を張るつもりもないので問題ない。
「承知しました」
微かに頭を下げたミーレスは黙ってオレの後ろにつく。
「よし」
魔物と対峙した。
幸いにも見た目は『兎』、だ。
斬ったとしても血が出るわけでもない。
あまり抵抗を感じずに済む。
身を低くして前傾姿勢で突っ込む。
角兎が角の生えた頭を振りながら突っ込んでくるのをかいくぐり、すれ違いざまに剣を横に薙ぐ。剣道で言うところの「胴」だ。
そのまま駆け抜けて振り返り、二撃目を・・・と思ったら黒い霧になって消えた。
え? 一撃?
「お見事です!」
ミーレスが駆け寄ってきて、褒めてくれた。目が輝いている。
少しはいいところを見せることができたようだ。
「オレでも戦えそうだな」
「もちろんです!」
その後は、ミーレスと交互に魔物を狩って行った。
夕方近くまで、狩りを続けた。
脳内モニターには時間も表示されていたのだ。
ほんと便利。
っていうか、神様の芸が細かい。
歩いて出入り口まで戻り、外に出る。
ちゃんと出られた。
魔物のいる迷宮を探索。
ゲームでも本でもなく、リアルで。
実はかなりびびっていたのだが・・・。
「なんとかなるな」
翔平のすねをかじらずとも、生きていけそうだ。
なんとか自立して生きていけそうだ。
そう安心したオレは、ここであることに気が付いた。
「夕食は、帝都でとろうか」
「? この街にも食事のできる店はあると思いますが?」
離れにもキッチンらしきものはあった。
ただ、もとより遠来のお客様用の離れでは料理をすることは考えられていないと見えて、自炊するのは無理そうだった。
酒のつまみに魚を炙るくらいの設備しかないのだ。
だから、食事が外食になるのは理解できる。
でも、なんで、わざわざ帝都に?
と、疑問を持たれている。
「実は・・・」
先日の騒ぎに巻き込まれた時、酒場で夕食をとっていたことを話す。
吹っ飛ばされて気を失い、侯爵の家で目を覚ましたわけだが・・・。
酒場の支払いは後払いだ。
食べ終えて帰るときに支払うのが普通。
つまり・・・。
「代金を支払ってないから、ちゃんと払って来ようと思って」
「ああ・・・」
納得の声が、小さな唇から漏れた。
そして、にっこりと微笑まれた。
「律儀なんですね」
知らないふりして忘れてしまえばいいものを、わざわざ支払いに行こうという馬鹿正直さをミーレスはそう表現した。
ばっかじゃね? という態度を取られなくて、凄くホッとする。
もし、そういうタイプの人間だったりしたら、これから一緒に過ごすのにちょっと不安を持つところだ。
マクリアの商人ギルドに行く。
街から街への移動は商人ギルドの管轄だと聞いていたからだが、そのとおり、ギルドでは長旅を控えているというような旅装に身を包んだ人や、身一つの気軽そうな人まで、たくさんの人がいた。
「ラムリリース行き、ラムリリース行きの人はこちら―」
ギルドの職員が行き先の町を示しているらしい板を持って呼びかけている。
一人一人に対応していたのでは埒が明かないから、同一の町に行く人たちはひとまとめにして移動させるようだ。
ギルド内に何枚も、タペストリーをかけることのできる壁があって、行き先を分けている。
「帝都行きは、あちらですね」
ミーレスに言われて目を向けると、確かに。長い列の向こうに帝都の文字が見えた。
さすが首都、人の出入りが激しい。
数分かけて人が入って行き、数分間人が吐き出されてくる。
日本の工事中の道路で行われる片道交互通行のような感じだ。
「並ぼうか」
「はい」
大人しく並んで順番を待つ。
「帝都行きの方は、身分証の提示にご協力ください」
商人ではなく、武装した騎士が前の方から歩いてきた。
並んでいる人たちから照魔鏡カードを見せてもらっている。
さすがは首都、出入りする人間については一応身分確認をするということか。
別にやましいことはないので、カードを用意して待つ。
「提示をお願いします」
「ああ」
何の気なしにカードを渡した。
騎士はカードを目にして、氷りついたように動きを止めた。
ギギギギギィ、と軋む音がしそうな動きで首を動かしてオレを見る。
「し、失礼いたしましたっ!」
おおっと、びっくりするような大声をあげて頭を下げてきた。なにごとか、と周りの目がこちらに向けられる。
「どうぞ、こちらへ!」
いきなりあらたまった様子で騎士がオレを前の方に連れて行こうと引っ張った。
なにごと?
「勇者様の通行を妨げるわけにはまいりません。さぁ、どうぞ」
ああ。
理解した。
カードに表示されている『異世界人』のせいだ。
勇者ではないんだが・・・と思うが、ここで長々と説明してもわかってもらえそうにない。
変に目立つだけのことだろう。
「連れがいるんだ。彼女も」
ミーレスを示して一緒に連れて行くよう促した。
さっさと通ってしまう方がいい。
前の方に着くと、料金を徴収する役目だろう商人ギルドの職員を跳ね飛ばす勢いで押しのけて、騎士はオレのために道を開けてくれた。
「ありがとう」
一応礼を言っておく。
「光栄です!」
ビシッ、と敬礼までして見送ってくれる騎士から、オレはミーレスの手を引いてそそくさと逃げた。
タペストリーに。
帝都の側に出ると、二人だけであることに騎士や職員が怪訝そうな顔をした。説明してやる気はないので、さっさと歩き去る。
「あーいうのは勘弁してほしいよ」
げっそりして愚痴る。
「とても、誇らしいです」
ミーレスは目を輝かせてご満悦のご様子だ。
喜んでくれるのはいいが・・・なんだかなぁ。
大通りに出ると、まずは道の確認から始めなければならなかった。
なんといっても、帝都を出た時は気を失っていたし、帝都に入ったのは教会からだ。これから行こうとしている店には、冒険者ギルドから行ったのだし。
とりあえず、教会か冒険者ギルドを見つけないことにはどうしようもない。
日はすでに沈もうかという時間。
夕暮れから夕闇へ、そして夜へと進もうというところ。
帝都は仕事帰りの人々でごった返していた。さいわい、自動車が走るわけではないので道は結構広く感じる。
混雑していると言っても、人とぶつかるほどではない。
そんな中、オレは迷子のように盛んに首を振りながら歩かなくてはならなかった。
道がわからないというのは困る。
GPSなんてありえないし、地図すらない。
「あ・・・あった」
ようやく見つけた大きな酒場。
見覚えのある店構えと『レマ・ティコス』と銘打たれた看板。
どうやら、到着できたようだ。
「とはいえ、さすがに気まずい」
うーん、とうなってしまう。
ミーレスがいなけれは引き返してしまっていたかもしれない。
「あ、あなたは?!」
と、声が上がって・・・。
「えっと・・・」
いきなり抱きしめられていた。
「はい?」
背中に回された腕と、腹のあたりに押し当てられた胸、胸元に当たる吐息の湿った温もり。鼻にふわりと薫る穏やかな甘い香り。
頭がクラクラするような誘惑的な体勢だ。
「ご無事だったんですね!」
ぱあっ、と明るい笑顔を向けてきてくれたのは、先日のウェイトレスのアリシィアさんだ。
「あの、ご心配をおかけしました」
どうやら心配してくれていたらしいので、頭を下げる。
「ええ、とっても心配したんですよ?」
かわいらしい顔を憂いに翳らせて・・・。
「わたしのお給料から天引きされちゃうかもと思って」
「心配って、時給のかい?!」
おもわず、目の前の空間に右手でツッコんだ。
「さあ、かねはらえくそやろう」
オレの胸倉をひっつかんで、思い切りの笑顔のまま言ってくる。声音が作られているので冗談だとは思うが、どこかに本気が宿っているらしく背中が寒い。
「はい。これをどうぞ」
用意していた、代金の入った袋を差し出した。
受け取ったアリシィアが、ふと、奇妙な顔をする。
袋の中身を確認して、眉がつり上がった。
「これはいただけません」
突っ返してくる。
「え? あの、少ないですか?」
懐に手を入れようとすると、手を払われた。
「多いと言っているんですよ!」
すごい剣幕で怒鳴られた。
「おい。なに騒いでる?」
強烈なミントの香り、現れたのは昨夜チラッとだけ見た女主人だ。
透けるほど薄い布を数回重ね巻きしただけという独特の衣装のまま、奥から出てくる。
「ああ、金を払いに来たか。で? なにか問題か?」
目が光った。
比喩ではない。
外からの日差しを反射したのだ。この店の女主人は獣人だった。猫の耳と目、それに尻尾を持つ俗に猫耳族と言われる種族。
アリシィアがそっと横に行って、事情を説明して袋を見せる。
「バ・カ・ヤ・ロ・ウ・!」
地獄の底から発シェリィれたような低音が耳の鼓膜に響いた。
ブォンッ、と音がしそうな勢いで、真っ赤なハイヒールが飛んできた。いや、ハイヒールを履いた足が、目の前に。針のような踵が、目を貫くがごとく迫る。
そして、ぴたりと止まった。
「うちは酒場だ。酒と飯を売るところ。それ以外の金なんざ、1ダラダたりとも受けねぇ! 引っ込めてもらおうか。支払いは百二十ダラダだ」
「ひ、ひゃいっ!」
慌てて袋をひっつかんで取り戻すと、銀貨1枚と銅貨20枚を手の平に乗せて差し出した。
あれ?
「少なすぎるのでは?」
「お連れさんのはお支払いいただいてますよ」
アリシィアさんがそっと耳打ちしてくれる。
『小僧の分まで支払わせるわけにはいかねぇ、引っ込めてもらおうか』。とリティアさんにすごんでいる様子が目に浮かぶ。
リティアさんなら「あ、そうですか」とさらっと引っ込んだことだろう。
「毎度ありがとうございます。これから御贔屓に」
女主人は銀貨と銅貨を長い爪で拾い上げると、優雅な一礼を残して奥に戻っていった。
こ、こわかった。
言っていることは、まともなんだけど行動が言葉を凌駕し過ぎだよ。
心臓と肺が過度の緊張で異常を来しているのか、呼吸がしにくい気がする。
・・・ああ、ミントの香りのせいというのもあるか。
「よかったですね」
にっこりと微笑むアリシィア。
でも、それだと迷惑かけたことへの、詫びにならない。
そもそも詫びる理由はないのかもしれないが、オレの気分的に何か貸しを作った気がしてならないのだ。
ちょっと困ってしまう。
なぜか二人で見つめ合ってしまった。
「オレ、ハルカ・カワベって言います。冒険者です」
とりあえず自己紹介をしておいて、思いついたことを口にした。
「あ、あの・・・その靴って換えはないんですか?」
照れ臭くなって下げた視界に古くなってよれよれの靴が入り、オレは失礼かな? と思いつつも口にしてしまっていた。
「え? ・・・あ、いえ、ありますよ? これ普段用なんです。お店用のはちゃんとしたのがあるんですけど、掃除中だったもので・・・」
汚れるといけないから新しいのは履かなかった、ということだ。
それなら・・・。
意を決して、言ってしまうことにする。
「その靴、オレにあずからせてもらえませんか?」
ざわり、アリシィアよりもむしろ周囲の女性たちからどよめきが起きた。
「ニャんと!? アリシィアの靴を預かって匂いでも嗅ぐ気かニャ、変態ニャ!」
「そんなことは言っていません、ミンク。勝手な思い込みで中傷するのはよくありません」
猫耳族の店員の罵声を、別の店員が静かに窘めている。
声が聞こえたオレは全身から汗を噴き出して固まっていた。確かに、傍から見ればそういう性癖があると思われても仕方がないようなことを口走っている気がする。
だが、アリシィアは少し不思議そうな顔をしたものの、すぐに靴を脱いだ。靴下のまま床に立つと両手で靴を持ち上げる。
「いいですよ、どうするおつもりなのかはわかりませんけど」
無垢な信頼が感じられる眼差しをオレに向けてきた。
その眼差しに勇気をもらい、オレはさらに少しだけ踏み込む。
「あと、足を触らせてもらいたいんですが・・・?」
いいでしょうか? と。
それも、アリシィアは受け入れた。
そばにあった椅子に浅く腰かけて、足を差し出してくる。オレは床に膝をつくと、その足を片足づつ、両手で包み込むようにして触っていった。
「・・・。ありがとうございました。もういいですよ」
小さく頷いて、アリシィアの足をそっと下して礼を言う。預かった靴を自分の背にあるリュックサックに入れて立ち上がった
「あと、この前食べ損ねた料理を二人分お願いします」
手近なテーブルにミーレスとともに着いて、オーダーを出した。
すぐに、飲み水がテーブルに置かれていく。
ミーレスが驚いた顔をして、コップを見ていた。