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0・1

「あのね、ルカくん?」

リリスが微笑みながら、問うてきた。

「なんか私たち同じくらいなんじゃないかな?歳」

いわれてみれば、そこまで離れているとはいえない。

「だから・・・ルカって呼んでもいい・・・?」

「え、あっはい、好きなように呼んでくれれば、」

僕がそう言うと彼女は

「じゃあさ、ルカは何処どこから来たの?」

聞かれるとおもった質問にちょっと悩んでしまった。


オモイダセナイ


これが正直なとこだけど、彼女はきっとこたえをまっているのだろう。

「えっと、海がある街で・・・人がいっぱいいるとこだったかな?」

なんとなく何処にでもあるような風景を頭のなかに描きながらいう。

こんな答でも彼女は喜んでくれたようで、

「海かぁ、此処ここにもあるんだよ」

と、僕に教えてくれた。

「そうだ、街にでてみようか?海も見えるし、空が綺麗なんだよ」


彼女に言われて、僕は起きあがった。

改めて部屋を見渡す。

真っ白なベットにドア。

細かな刺繍のはいった、レースのカーテン。

床は大理石のような、ほのかに白い石に。

そのなかで彼女は、ひとり暖かかった。


「ルカ・・・?」

部屋を見渡したまま、固まっていた僕をリリスが不思議そうに見つめる。

「ん、なんでもない・よ」

普通に話そうと思うのに、リリスと話すときはうまく舌がまわらない。

冷たい床に足を降ろし、ゆっくり立ち上がった。


そうして、リリスと並んだ。

おもったより、ちいさくてびっくりしてしまった。

横になっていたときには、気づかなかった腰まで届きそうなまっすぐな髪。

光があたって、うすい色になっている。

その髪から時々、見え隠れする繊細せんさいなピアスが見えた。

ホントにちいさな、ちいさな輝き。


リリスの手のひらを見れば、中指の先に耳にあるピアスと同じものが光っている。

その手が差しだされた。

僕はその、綺麗な柔らかい手をとった。

リリスはにこりと、



「行こう、ルカ」



そういった。




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