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朝日が、眩しい。
自分がいる場所には、窓から光が射し込んでいる。
どこなのだろう。
起きあがって、窓から外をみた。
白。
白い壁に白いレンガ作りの路地。
光にあたって、眩しい。
窓を開けて、空を見る。
太陽はなかった。
あるのは、どこまでも続く蒼い空。
どうして、太陽がないのに光があるのだろう。
応えてくれる足音は、ドアの向こうから現れた。
「あ、起きてたの?」
この部屋に響いた声。
優しい、穏やかな声の持ち主は、少女だった。
少女といっても、自分と同じくらいの15,6くらいの。
真っ白な服によく映える、綺麗な黒髪。
天使を思い出させるような、細い肢体。
漆黒の瞳には自分の顔がうつっている。
「どうしたの?気分でも悪いの・・・?」
いきなり、顔を覗きこまれるように近づいてきたから、どう反応していいのか分かんなくなってしまった。
「えっと、そのー・・・気分はすごくいい、です?」
自分でも情けなくなってしまう。
「それなら良かった。私のことはリリスって呼んで、あなたのことは・・・」
「あ、あの僕はルカ、です」
はじまりの鐘はどこからともなく、聴こえた。
白い街は、神様なんかいなくて。
蒼い空は、太陽なんかいなくて。
彼女はリリス。