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Time ~前世、信じますか?  作者: 鈴音
Time 1
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Time 1-04 自己紹介

有佐「遅くなってすまない。全員揃ったことだ。自己紹介しよう。」


有佐「俺は部長の有佐智安。風紀委員の副委員長も務めている。朝、校門のところで挨拶しているから顔はわかるだろう。担当楽器はユーフォニアムだ。文房具にはこだわりがあって、特に、シャープで便利で使いやすいものは好きだ」

部長はすらすらと言葉を並べていく。

黒い髪はふわふわとしていて、目が赤く、ちょっと怖そうな面持ちだ。実際私も、朝、校門で見かける有佐先輩はちょっと怖いと思った。でも、実際話してみればすごくいい人だ。落ち着いていて、何事にも動じず、柔軟に冷静に対応できそうな先輩だ。

波村「…とか言ってるけどさー、実際有佐が持ってる文房具って、シャープというより女の子向けの可愛い系ばっかりじゃんー。これは便利なんだ!とかこれは使いやすいぞ!とか言ってさー、いっつも女子力高いの選んでるじゃん?」

有佐「は、別に可愛い物が好きなわけじゃないし、機能性がいいものがなんか可愛いものばかりなんだ!」

…前言撤回。有佐先輩は赤面してとても焦っている。意外と乙女趣味なんだ…可愛いんだなあ。

一方、波村先輩は部長をひたすらからかい続けている。

波村「ほら、やっぱり可愛いの好きなんじゃないのー?まあ、有佐は実は手が小さいから、女子向けのものの方がフィットするんだよねー?」

有佐「お前、みんな揃っているところでばらすなよ!」

波村「だって事実だもーん。それに、新入生以外みんな知ってるじゃんー。ついでに少女漫画結構読んでるのもみんな知ってるしー」

有佐「追加で余計なことをばらすな!」

三井「まあまあお前ら落ち着けって。波村も早く自己紹介しようよ」

ふたりの騒ぎを落ち着けたのは、私の幼なじみ、りんちゃんだった。

波村「んー、みっつんのいうこともごもっとも。じゃあぼくも自己紹介するねー。一応副部長の波村太朗です。トロンボーン吹いてるよー。好きなことは昼寝と、海洋生物を見ることですー。水族館に行くのも好きだなー。嫌いなことは時間を急かされることで、悩みは名前を『太郎』って書かれること。ぼくの『ろう』っていう字は朗らかっていう字だから間違えないでねー」

背が高く、色素が抜けたような茶髪で、瞳の大きな茶眼。のんびりとしていて、昼寝好きというのがいかにも似合う先輩だ。

波村「ぼくやったからねー、次、みっつん。」

次に指名されたのが私の幼なじみのりんちゃん。生まれつきの茶髪に、綺麗な翡翠色の眼。一見女の子にも見えるけど、今も昔も変わらず爽やか系男子なのだ。

三井「俺は三井厘斗。放送委員の会計もやっていて、金管部でも、まあそれに近いことやっているかな。担当楽器はトランペットで、小学校のブラバンで始めたのがきっかけ。あと、そこにいる信田海雪は俺の幼なじみ。それから、これは金管部の人にしか言ってないけど、『JADE RING』ってバンドのボーカルもやっていて、一応CDも出ているよ」

話を聞きながら、思い出したことがある。

りんちゃんは幼い頃からものすごくおしゃべりで、早口だ。雑学とか色々知っていて、話すと楽しい。でも…長い、長い、超長い、止めないと1時間くらいひたすら話し続けることもあるのだ。

それから…

三井「それから、妹と弟が一人ずついて、趣味はお菓子づくり。海が好きだから、高校卒業したら、船舶免許取りたくてね。波村と一緒に海に行こうって言ってるんだ。それから…」

有佐「もうそのへんでいいだろチビ厘斗」

波村「ミニマムみっつん相変わらず話長いー」

三井「あ?お前ら今なんか余計な事言ったか?」

身長が低いことを指摘されると、めちゃくちゃ本気で怒る。昔からそうだが、私よりもさらに低いその身長を気にしているのか、普段の優しく気遣いができる彼とは似つかないような怒り方をするのだ。

気づいたら、彼による説教タイムが始まっていた。

宮門「またやってるねーセンパイ達。これいつもの光景なんだよ」

小島「そうなんですか!?」

これが日常茶飯事だとか、大変だろうなあ…

宇鳥「そうなんですよ。信田先生が止めてくれるのを待つしか無さそうですね。とりあえず、しばらくしたら収まると思いますし、自己紹介の続きをしましょう。私は宇鳥(うとり)春人(はると)ともうします。父は中国人と日本のハーフで、母はドイツ人です。2年生で、ポザウネを吹いています」

しっかり者の宇鳥くんは、同じクラスの文武両道系天才だ。しかも次期部長だと聞いた。金髪橙眼という外国人風の顔立ちは、やっぱりハーフだからかな。

小島「あのっ、質問なんですけど、ポザウネって何ですか?」

宇鳥「こうやってうごかす…ええっと、なんでしたっけ?」

宇鳥くんは右腕を前後に動かし始めた。この動きはもちろん…

海雪「トロンボーン、だよね?」

宮門「トロンボーン、だよ」

2人「わあ、はもった!(笑)」

思わぬところで宮門くんとはもった。気が合うのかな?

宇鳥「そうでした。また名前を忘れていました。小学3年生までドイツにいて、母と一緒に教会の楽団でトロンボーンを吹いていました。ドイツではポザウネと呼んでいます」

教会で演奏するってことは、すごく上手いんじゃないですか。

宮門「で、ボクは同じく2年生の宮門香介。トランペットをふいています!あ、この目はね、カラコン入れてるんだよ。金色ってキラキラしててカッコイイじゃん?」

宮門くんは黒髪ストレートのベストオブ日本人でありながら、金色か黄色か、そんな感じのカラコンを入れている。そして、前から気になっていたんだけど、ネクタイをリボン結びにしている。

海雪「宮門くん、なんでネクタイをリボン結びにしてるの?」

宮門「お、気付いた?こうした方がほかの人より目立つじゃん。可愛いでしょ?」

そしてどうやら彼は目立ちたがりのようだ。

宮門「ほら、次は信田さんの番だよ?」

そういえば私、まだ自己紹介してなかったな…

海雪「信田海雪、2年生。今年度編入してきました。楽器はホルンです。みなさんの足を引っ張らないように頑張りますのでよろしくお願いします。」

宮門「よろしくね!えーっと、信田さんって言うと花生ちゃん先生と混ざりそうだから、下の名前で呼んでいい?…!」

海雪「勿論です」

宇鳥「じゃあ私も海雪さんとお呼びしますね」

花生「宇鳥くん、じゃあ私も『花生さん』とか呼んでほしいなー」

そこにやってきたのは、さっきまでお怒り厘斗達3年生の仲裁をしていたはずの花生兄さんだった。

宮門「お、花生ちゃん先生やっほー。センパイ達どうにかなったんですね!」

宇鳥「先生をお名前で呼ぶなんてとんでもない。信田先生は信田先生です。あ、先生も、ぜひ自己紹介していただけませんか」

花生「いいよー!私は信田花生。花生ちゃん先生って呼んでね。海雪はうちの妹です」

巻いた茶髪(もちろん、ウィッグである。)にカチューシャをしていて、ワンピースを来ている。最近増えていたサイズの大きい女性服はこれか。そして最近、無駄に花生兄さんの足がつるつるだったのも納得がいった。

ただ、私と花生兄さんはどう見ても似ていない(悔しいけど、見た目は兄さんの方が女の子っぽい)ので、みんなが私と兄さんを見比べていた。

海雪「どうも。うちの兄がお世話になっています」

宮門「え!?」

宇鳥「!」

有佐「は!?」

波村「おっ!?」

海雪「え?えっとー」

あれ、私、変なこと言ったかな…?みんなの反応がおかしい(りんちゃんを除く)。

波村「兄!?花生ちゃん先生って男なの!?」

海雪「え、ご存知なかったんですか!?てか花生兄さん、言ってなかったの!?」

花生「海雪…俺、頑張って隠してたのにさらっと言うなよ…お兄ちゃん悲しいんだけど」

海雪「いや、その前にちゃんと言っておきなさいよ」

花生「じゃあこれは金管部の人だけの秘密ってことで♡」

なんでそこに秘密にしちゃうかな、花生兄さん。この機会にみんなに言えばいいのに。

波村「信田さんの幼なじみってことは、みっつんは、花生ちゃん先生が男だって知ってたの!?」

三井「うん。花生には昔よく遊んでもらったし、普段会う時ははると同じように俺のこと『りんちゃん』って呼ぶし、たまに俺ん家でうちの弟妹巻き込んでたこパとかするし」

海雪「たこパ!?花生兄さんとりんちゃんが?」

私も初耳なんだけど…だからたまに帰ってくるの遅い日あったんだ。

波村「うっそ!?そんな仲いいの!?みっつん、ぼくも呼んでよー」

有佐「花生ちゃん先生が…男…」

波村先輩は『信田花生先生、男だった事件』、いや、みんなでたこパをする話にすっかり食いついていた。有佐先輩は固まっている。

有佐「…だ、そうだ。まあいい。1年、自己紹介してくれ。」

小島「小島空、1年生です。チューバ持ってます。それから、こう見えて弟とか妹とかいて、7人兄弟の長男です。一番下の子がいま2歳です。なので、たまに家事を手伝っています」

金髪青眼の美男子だ。大きな目がキラキラしていて、幼くも見えるが、6人も妹弟がいるならきっとしっかり者なんだろう。なんとなく料理とか上手そうだ。

森下「あの、僕は1年の森下(もりした)(いずみ)です。ユーフォニウムなんですけど…好きなのは紫のものです。なんかわからないけど、紫のものを持ってるだけで元気が出てきて…。あ、僕、影薄いってよく言われるんですけど、見かけたら声かけてください」

あ、さっき人数増えてるって思ったの、間違いじゃなかったんだ。いつの間にかそこにいた、ミステリアスな弟っぽいイメージの子だ。掴みどころのないぼんやりとした子だが、自分の意見を真っ直ぐに言ってくれる。

そして、最後のひとりが、赤毛に緑色の目をした1年生。さっき宇鳥くんと宮門くんに半強制的に連れてこられた子だ。

遠藤「遠藤(えんどう)氷次(ひょうじ)。1年生。ホルン。以上。よろしくお願いします。」

…って、え、嘘でしょ、そんなに短い挨拶でいいの!?


その後もたわいのない話をしていたら、下校時刻が迫っていた。

花生「じゃあ先生はまだ仕事あるから、ここの鍵、よろしくね、有佐くん」

有佐「わかりました。じゃあ、明日から部活だ。学校がある日は毎日部活があるが、基本的にイベント前じゃなければ朝練はないから安心してくれ。パート練習が基本で、金曜日はここで合奏だ。明日は木曜日だから、パート練習。場所は楽器置き場の近くにあるコルクボードに紙を貼っておくから各自見てくれよ。」

全員「はい!」

明日から部活かー、うん、楽しみ!!

ん、何か忘れているような…

あっ、さっきの宮門君の話の続き!

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