Time 1-01 いつもの朝
新しい学校に来てから1ヵ月が過ぎた。
この学校は環境も設備もよく、私は平和に毎日を過ごしている。
??「海雪ちゃん、おはよ!」
海雪「おっ、おはよう」
私の学校生活は、いや、私たちの学校生活は、この子、鈴木咲良ちゃんとの挨拶で始まる。彼女と私とは出席番号が前後だったので、始業式の日に彼女の方から話しかけてくれたのだ。
海雪「今は…39分。今日もギリギリだったね」
咲良「また校門で生徒指導の先生に見つかっちゃった。急げよ、って言われただけだから良かったけど…」
咲良ちゃんは、家から学校までが遠いので、電車やバスを乗り継いでここまで来ている。いつも登校時間がギリギリで、生徒指導の先生から注意喚起されることもたまにあるのだ。
海雪「私は自転車だから時間かからないけど、1時間以上かかるんだっけ?大変だよね…」
咲良「まあ、ね。あ、話は変わるけど、海雪ちゃんは部活、どうするの?」
海雪「部活?」
この学校の部活は、文化系を中心に様々な部活がある。私は中学の時は3年間吹奏楽をやっていたから、入るなら音楽系の部活に入りたい。
海雪「…まだちゃんと決めてない、かな。ざっくりと音楽系って感じ」
咲良「そうなんだ!そう言えば、前にオーケストラ?吹奏楽?みたいな部活に入ってたんだっけ?」
海雪「そうそう」
咲良「楽器吹けるってカッコイイよね!…って、部活希望書の提出期限、そろそろじゃない?」
海雪「えっそうなの!?どうしよう、希望書って出さなきゃダメかな?」
咲良「うん、たぶん」
咲良ちゃんは水泳部員、理由は泳ぐのが好きだからだそうだ。確か、平泳ぎか何かの大会記録を持っているって言っていた。希望書も迷わず提出できたと話を聞いた気がする。
でも私はまだ入る部活を迷っている(というより、音楽系の部活って、なにがあるかわからない)
海咲「え、どうしよう…咲良ちゃん、何か、おすすめの部活ない?」
咲良「そうだなあ…前はなんの楽器吹いてたの?」
海雪「ホルンだよ」
咲良「ホルン?って、どういう楽器?」
いつもの事だけど、ホルンって言ってもあんまり分かってもらえないんだよね…
吹奏楽部あるある『自分が吹いている楽器の名前を、皆が知らない』。サックスとかトランペットとかはわかってもらえるんだけど…。でも、ホルンはこういえば伝わるかな?
海雪「ほら、あのカタツムリみたいな…」
咲良「ああ、あれか!あれって金管楽器だよね?」
やっぱり伝わった。皆カタツムリって言うとわかるんだよね。
海雪「そうそう、金管なんだよ」
咲良「じゃあ、私、海雪ちゃんにおすすめしたい部活、あるかも」
海雪「本当!?どんな部活なの?」
咲良「結構人気で、面接通らないと入れないんだけど…」
咲良ちゃんが、部活を勧めてくれた。
咲良「金管部、どうかな?たしか今日面接やってるし、様子見に行ってみなよ」
海雪「そんなのあるんだ!ありがとう、咲良ちゃん!」