バグ、または蟲
2017/10/16 第二章に登場したバグを追加。
バグまたは蟲とは、惑星上のありとあらゆる場所に存在する、地球の昆虫に酷似した外見を持った機械群のことを指す。人類を襲うことも多く、しかし破壊した残骸からは高度な科学技術に根ざしていると思われる素材を多く採取できることから、天敵でありながら同時に貴重な資源でもある。
サイズ別に7種類に分類され、最小のものではナノメートルオーダーから存在する。これから体高50センチまでがクラス0と呼ばれる。
体高(ここで言う体高とは、活動時に取ることができる姿勢で最大のもの)が4倍を超えるに従ってクラスが1上がる。
クラス0:~50cm 概ね人間に害は無い。土壌のPh値を適正にしたり、生物の死骸を分解して有機化合物にしたりする。ただし、中には生きている生物まで分解しようとするやんちゃ者も居るので注意が必要。都市部で活動する個体も居る。
クラス1:~2m 生身でも武装していれば何とかなる可能性がある。地面を掘削したり狭いところでの廃棄物運搬をしたり人を襲ったりする働き者。街の中に入れるのはちょっといただけない。
クラス2:~8m このクラスだと生身の人間では厳しい。しかし適切に武装したリムで相手をすれば物の数ではない。大規模な造成や植生調整、小規模な村落の殺戮が主な仕事。
クラス3:~32m リム乗りが主に相手取るクラス。タイマンだと厳しい個体も中にはいるが、徒党を組めば何とかなる。岩盤の破砕や広範囲の爆砕で平方キロ単位の土地形成を数日で行うことも出来るニクいヤツ。都市部に近付いたら警報が鳴る。
クラス4:~128m こいつを相手取るには、よく訓練された1個中隊(16~20機)と愛と勇気と根性と戦術兵器が必要。人里近くまで出てくることは殆ど無く概ね未開発の辺境で活動するが、人間の活動域で発見されることも無いではない。この辺りから個体識別名が付けられ、懸賞金もかけられる。毎年一攫千金を狙う勇敢な方々が挑戦するが、見事仕留めたという話はあまり聞かない。クラス5が造成した地面を衝撃兵器で掘り返したり、広域河川の掘削をしたりする。
クラス5:~512m 人間が相手に出来る限界。まず勝ち目は無いが、非公式ながら仕留めたという事例も幾つか有るから人間は凄い。存在自体が災害と同義なので、街の近くに現れたらとりあえず逃げることをお勧めする。島を作る、山を作るという破天荒かつ非常識なことを成し遂げる。
クラス6:512m以上 観測例は過去に僅か3度のみというレア中のレア。地表に居ることすら殆ど無いと思われるが、もし目視観測できたら我が身の不幸をまずは呪うと良い。
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以下は、作中に登場したバグについて記載する。
■クラス1
名称:グリロイデ
形状:コオロギ型
体高:1メートル台後半
説明:地表に存在する有機体の動物を補食する、小型のバグ。標的となるのは爬虫類や小型ほ乳類だが、複数の個体が集まることで人間やそれ以上の大きさの動物が襲われるケースも多い。翅音と呼ばれる特定波長の音波で、複数の個体を集合させる性質がある。また、歩く速度はさして速く無いが、後肢を活かした跳躍により、数メートルを短時間で移動することが可能。
多くは植生があまり豊かとは言えない荒れ地で活動する。
名称:アルシドイデア
形状:トノサマバッタ型
体高:1メートル台後半
説明:グリロイデに似た形状でありながら、人を襲うことはあまりなく、多くは大型植物を捕食する。強靱な後ろ肢が個人用リムの素材として多用されているほか、採取されるハニカムも使い勝手の良い出力のため、駆け出しの蟲狩りがよく狩りの対象にする。
銃器で武装していれば生身の人間でも充分に狩ることは可能だが、万一のことを考えリムに搭乗しての狩りが奨励されている。
■クラス2
名称:アルモルファ
形状:ムカデ型
体高:4メートル(体長は20メートル前後)
説明:狭所での金属資源を好んで捕食する。形状の通り脚が多いため、仕留めてしまえば多くの小型リムを生産することが可能だが、リム自体がアルモルファからしてみれば捕食対象であるため、狩りは割と命がけ。強靱な顎を使用して金属部品を囓り取る他、長い身体を活かした打擲攻撃も脅威。
名称:シルフィデ
形状:シデムシ型
体高:5メートル
説明:森林区域に多く見られる個体。多くは破壊されたバグを捕食・回収するが、破壊されたまま放置してあるリムに寄り集まるケースも見られる。反面戦闘には不向きであり、活動中の生物などは自身より小型であろうと逃げ出す。素材としては大柄な胴体の外装部が有用である。
名称:ロパリデ
形状:カメムシ型
体高:7メートル
説明:シルフィデと同じく森林区域に多く見られる個体。こちらは主に樹木を捕食の対象とする。粉砕したそれらを成木があまり見られない地域まで移動して散布するなどの行動が見られる。前後肢ともに細く、素材としてはあまり使いどころが無いため多くは金属資源として加工される。
名称:スカラベイデ
形状:コガネムシ型
体高:6.5メートル
説明:シルフィデ、ロパリデと似たサイズ感のバグ。こちらも森林地帯に多く見られるが、より山岳寄りの植生に多い。密生した針葉樹を間引くように捕食する。また、外装はこのクラスの中でもっとも取引単価が高い。
■クラス3
名称:マントデア
形状:カマキリ型
体高:20メートル
説明:バグ以外の身近で動くものに、無差別に襲いかかるという荒野の暴れん坊。レーザーカッターを内蔵した鎌で襲いかかられれば、生半な武装リムではひとたまりも無い。また、強烈な電磁波や磁気の発生を察知して跳躍による回避を行うなど、遠距離からの狙撃にも対応してくる、駆け出し蟲狩りのなかなか越えられない壁。
反面、華奢な見た目に反して巨体を跳躍させる後肢や貴重なレーザー切断工具に転用可能な鎌など、素材としての人気も高く、損害無く仕留められれば一攫千金も夢では無い。
名称:アラーネア
形状:クモ型
体高:12メートル
説明:八本の脚を巧みに操り、組み付いたら脚に内蔵された高振動ブレードで対象を八つ裂きにする荒野の解体業者。全ての脚が同一規格で構成されている上、やはり高振動ブレードは貴重な素材のため人気が高い。
クモ型のくせして粘着性の糸は吐かないので、遠距離からの狙撃を行えば比較的簡単に狩ることが出来る。不意打ちには注意。
名称:ポルセリオ
形状:ワラジムシ型
体高:9メートル
説明:鈍重な動きのため武装したリムで狩ることは容易な反面、地上に存在する有機無機問わずの残骸を捕食することから「死体喰い」と呼ばれる。複数のバグを相手取るときは、ポルセリオから狩るのが堅実。さもなくば、リムを撃波されて運良く脱出が出来たとしても、こいつにすり潰され食われる運命となる。
外骨格素材が比較的高価で取引される。
名称:ファスマトーデ
形状:ナナフシ型
体高:28メートル
説明:比較的小型のものが多い森林区域に例外的に多い、非常に細い胴体と前後肢が特徴的な個体。どの角度からも投影面積が少ないため、射撃の的としてはいやらしい。ただしリムや人を襲うことは非常に稀であり、また狩ったところで使いでのある素材には成り得ないため積極的に狩られることも少なく、ある意味ではレア。
いざ戦闘となれば、長い体躯を用いた体当たりなど物理攻撃を多用するが、あまり素早い動きは出来ず、遠距離からの射撃で仕留められればさほど強いわけでもない。
■クラス4
名称:ケランビシデ
形状:カミキリムシ型
体高:37メートル
説明:トキハマ郊外での戦闘で目撃された大型のバグ。何故かアンダイナスのセンサーには引っ掛からず、光学素子を介してジュートが視認した。
トキハマ襲撃事件のバグを統制していた「指揮固体」と思われるが、そのようなバグの前例も無いため正体は一切不明。