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・リム

 生体の人類が、陸海空すべてに蔓延る機械昆虫(バグ)に対向するために生み出した、多脚機械の総称。

 基本は偶数本の脚を持つ。四本脚(一番多い、戦闘用から物資輸送用まで用途も多様)はクアドリム、六本脚(やや高級な人員輸送用)はヘキサリム、八本脚(都市間輸送用、大抵は巨大)はオクタリム。

 二本脚の物もあるが、基本的には都市内部での移動を目的とした小型のものが主体。しかしながらアンダイナスのように腕部を補助脚として扱うゴリラのような容貌をしたリムもあり、デュアレグと呼ばれる。

 素材とするバグの部位は主として脚部であり、また素材をそのまま流用した天然物は高性能高精度であることから、ネイチャーメイドと呼ばれ総じて高価になりやすい。一般的には、破壊したバグを素材として一から作り出したマンメイドと呼ばれる部品を使用する。

 戦闘用のリムは天然部品(ネイチャーメイド)の比率が高めであり、さらに脚部以外に胴体部もバグの部位を流用しているケースが多く、箱に脚が生えたような一般用のリムとは外見から一線を画す。使用者の趣味として四足動物を模した形状の物も多く見られる。その場合、頭部はカメラアイを搭載してはいるものの、基本的には飾り扱いである(全視界カメラは胴体に設置されることが多いため、破壊されても困らない)。


・ハニカム

 バグから採取される受電装置であり、リムを始めとした全ての機械の動力源。一辺1センチほど、厚さ5ミリほどの六角形状のため、ハニカムと呼ばれている。

 一般には知られていないが、電気の供給元は衛星軌道上に存在する局地真空崩壊型電力供給炉である。大気圏外に複数存在するそれらは、イーサ波と呼ばれる力場干渉作用により惑星上のあらゆる場所に電力を供給する。なお、大出力の電源を用意した場合はハニカムを複数並列に接続する。

 また、ハニカムはタイロン型量子演算器を内蔵しているため、受電機構と併せて1つの小型コンピュータパッケージでもある。複数を集積した場合は低レイテンシ広帯域で密結合クラスタ化するため、ハニカムの搭載量が多ければ多いほど、大電力の出力が可能であり、かつ高性能な演算能力を持つことにもなる。

 種類によってハニカムから供給される電力は異なり、高出力が求められるリムには高性能かつ高価な、日常家電など低出力でも問題の無い機器には安価なハニカムが回される。なお、出力量を見極める方法は簡単で、低出力から高出力の順に表面色が緑⇒青⇒紫⇒赤⇒黄⇒白となる。


・端末

 正式名称は「イーサ波コミュニケートデバイス」、略してECDと言うがあまりその名前では呼ばれない。小型の携帯端末はハニカム1つ、大型の場合は2つかそれ以上を用いる。ハニカムは1つでも現在のスマートフォンなどとは比べものにならないほど強力な演算能力を持つため、ハニカムの量はディスプレイやその他の周辺機器の消費電力を賄うため増減する。

 基本的には情報検索やプログラム実行に用いるため、用途としてはスマートフォンやノートPCと大差無い。また、スクリプトを用いたリムの簡単な遠隔操作などにも使われることがある。ただし、後述する理由で遠隔操作はあまり多用されていない。


・ハニカムの不正操作対策

 ハニカムは単体で動作するコンピュータであり、またパッケージの中にはワイヤレスでのデータ送受信デバイスも備えているため、侵入や不正操作対策が必要不可欠である。

 主に施されるのは、通信データの暗号化と認証外通信のフィルタリングであり、そのいずれもディッフェルマンアルゴリズムと呼ばれる1024bit列のハッシュ化された暗号鍵を用いるハンドシェイク認証を使用する。簡単に言ってしまえば、認められた相手と、決められた暗号で作られたデータしか受け渡しを行わない、ということになる。

 とはいえ、人間の作った規格である以上は抜け道などもあり、例えば公開情報の受け渡しで使用する暗号鍵を不正に取得されるケースもあるなど、クラッキングによる犯罪は枚挙に暇が無い。

 そのため、リムなどクラックされたら大きな損害を受ける機器は外部への通信を極端に制限し、また近距離からの通信しか受け取れないようにするなどの対策を別途取っている(ただし通信方式としてはステートフルであり、外に出ていく通信とそれに対する応答データは別)。そのため、これらの機器は至近距離からの簡単な遠隔操作以外は中に乗り込んで直接操作を行う必要がある。


・科学水準

 この世界での科学水準は、基本的には現代と大差は無く、大きな違いは全ての動力にハニカムが使われるため根本的な部分から情報化されていることにある。そのため、ほぼすべての経済・生産活動はデータ化されており、手間を惜しまなければ人間社会に起きているほぼ全ての事象から統計情報を取得することができる。

 とはいえ、それが完全に活用されているかと言えばそうでもなく、主に支配的階級による政治活動に使用されるくらいであり、一般人にとっては「なんとなくデータ取られてるらしいけどまぁいいか」くらいのものだったりする。

 また、一部で使用されている常温超伝導素材や大電力兵器などはバグから採取された素材を応用した物に過ぎず、理屈の上では理解していても同じものを一から作ることは生体人類には今のところ不可能である。

 ちなみに常温超伝導素材はあらゆるバグが備えているアクチュエータから採取できるし、そもそも人間同士の戦争が非経済的であり悪徳と見做されているから兵器の類いも蟲狩り(バグハント)以外にはあまり使用されない。はっきり言ってしまえば労力を費やして素材から作る意味が無いのである。

 また、電力がほぼ無尽蔵に使えるため燃料の類いや火薬の類いも素材開発はほとんど行われていない。そのため、アンダイナスに搭載されていたミサイルは非常に貴重なものだったりする。

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