チュートリアル4
ある程度ブルースライムの体当たりを防御してゴブリンの頭上のバーが三割まで減ったところで、ゴブリンがブルースライムから距離をとった。そして、ゴブリンを追って今までで一番のジャンプをしたところでゴブリンが棍棒を思い切り打ち下ろした。すると、棍棒がブルースライムに当たったと同時にCHの文字が浮かび上がって、ブルースライムのバーが一気に無くなった。
バーが無くなるとブルースライムは光の粒子になって消えてしまった。これが≪半リアル≫場合のエフェクトなのだろうか、それとも全部共通なのか。まあ、今は関係ないとその疑問は頭の片隅に追いやった。
〈戦闘の見本はこれで終了です。魔物の頭上にある黄緑色のバーが体力の量を表しておりますので、それが全部無くなるまで攻撃することで魔物を倒すことができます。それでは、これからブルースライムと戦ってもらいますが、安心してください。これはチュートリアルですのでブルースライムしかポップすることはありません。また、一度に現れるのも一体までです。では、付近を探索してください。また、倒したら一か所に集まってください。〉
アナウンスが終わると俺はオートの操るミニブルに向き直った。
「なあ、最後のあれはなんだ?」
「あ~、あれはクリティカル補正のエフェクトだよ。相手が無防備な状態で弱点を攻撃することでダメージに300%の補正が付くんだよ!」
「他にもいろいろある。けど、また今度。」
「そうだね、今はブルースライムだっけ?それを探さないとだよ!」
「リンウィとウィンフの言う通りだな。さっさとブルースライム見つけて倒すか」
「じゃあ、バラバラに探しても良いんだけど。せっかくだからみんなで一緒に探して順番に戦おうか!」
「そうだね、わたしも一人で行動するのはちょっと怖いかな、、」
「なら、全員で行動するか」
そうして探索を始めて五分後、
5mくらい前方の草むらからブルースライムが一体ポップしてきた。
「じゃあ最初は僕がー」
「お兄。お先。」
オートが行こうとしてたところでそれまでオートの背中に止まっていたリンウィがブルースライムに向けて飛び立った。
「あーー!!とられた~~!」
「ん、思ったより飛ぶの難しくない。じゃあ突撃。」
「まあ、オートは次だな」
「うわー、まあいいか!次は絶対僕だよ!!」
なんて会話をしている間にリンウィはブルースライムに攻撃を仕掛けていた。
ブルースライムの体当たりを飛んで躱し、次の体当たりまでの間にブルースライムの上に止まって嘴で突いたり爪で引っかいたりしている。
その後、徐々にブルースライムの体力バーが無くなっていき、完全に0になり光の粒子になって消えてしまった。と思ったらリンウィが何かを足で掴んで戻ってきた。
「勝った。むふー。」
「おお、なかなかな戦いぶりだったぞ!で、足のそれはなんだ?」
「あーそれはスライムの核だよ!つまり、ドロップアイテムだね!魔物は討伐後にアイテムをドロップするんだよね~。スライム種の魔物は基本のドロップアイテムがスライムの核なんだけど。ほかに種類によって固有の素材を通常ドロップとして落とすんだよね!ちなみにブルースライムだけスライムの核しか落とさないんだけどね~」
「へ~、そうなんだねー!なんか不思議~」
「たまにレアなアイテムがドロップすることもあるんだけど、その確率は自分のLUKの値によるからね!」
「なるほどな、じゃあ次を探すかリンウィはその核自分の袋に入れられるか?」
「問題なし。」
そしてブルースライムの核をリンウィが自分の収納袋に入れて探索すること5分。
また草むらからブルースライムが一体ポップしてきた。
「今度こそ僕が行くよー!!」
そう言ってオートが突進して行く。
「おお~、四足歩行ってこんな感じなんだね!!慣れるまで違和感はありそうだけど大丈夫!突進だーー!!!」
オートはリンウィとは違い、防御完全無視でブルースライムに突進した。そしてオートの角がブルースライムに当たって吹き飛ばす、と同時にブルースライムの体力バーが半分まで減った。
「おおーなんか一気に減ったな!あれはオートの攻撃力が高いのか?」
「違う。敵が臨戦態勢に入っていないときに先制攻撃をするとダメージに200%の奇襲補正が付く。」
「なるほどな、でも、リンウィも先制攻撃してたよな?」
「私の長所は飛行しての遊撃。攻撃力自体はあまりないから。」
ほうほう、奇襲補正は元の攻撃力に依存するから攻撃力が大事なのか。
そうこうしているうちにオートはブルースライムに追加の攻撃を二回加えて倒していた。いまはドロップアイテムのスライムの核を首に下げた収納袋に入れているところだった。
「よし。なら次はウィンフが戦ってみるか?」
「え!えーっと、わかった。頑張ってみるよ!」
「なら戦う前に石を集めないとね~打ち出す弾がないと投石具は意味がないからね~」
「弾は自分で現地調達しなければならないのか?そんなこと説明されていないが?」
「そこも本当は説明書をみて理解するんだけど、見せるの忘れちゃってたからね~あはは」
「笑い事じゃねーよ!ま、なら探索しながら拾っていくか」
「分かったよ!たくさん拾うね!」
そうして今度は小石を拾いながらブルースライムを見つけるために探索を再開した。