土曜日の午前中
予約投稿を一日ミスっていたようで、今日から投稿です!!
申し訳ないです!
わずかに残る星空と顔をのぞかせた朝日によりコントラスト状になった空により、幻想的な雰囲気になっている山の中。舗装すらされていない獣道のような場所を風を追い越すような勢いで進む人物が三人。
一人は浴衣のような和服を着こんだ白髪と10cmほどの顎鬚が特徴的なジジイ。
「ほれほれ、さっさとせんと朝食に間に合わんぞ」
この挑発してくる口調が多少ムカッとしないでもない。
トップスピードは俺の方が上のはずなのに一向に追いつけないあのジジイはもはや妖怪といっても良いと俺は思っている。
「はーい。おじいちゃーん今日って何を採るの?」
そして、俺の少し後ろの方を昨日買ったばかりだという恋愛小説を読みながら進んいるセミロングの女子。俺の妹の若葉だ。
「今日はキクラゲじゃよ。ちょうど切らしているらしいでのー」
「ふーんそっかー」
のんきな会話をしているが、そのスピードは登山というより徒競走だ。
「そうじゃのーついでに魚でもとって帰ろうかのー」
たくこのジジイは、年を考えろよ。しかも...
「ジイよ」
「なんじゃ?」
「キクラゲはチラホラ見かけてるんだが?」
「ほー?そうじゃったかいのう?」
このジジイはとぼけやがって。
「ジイさては、最初から魚目当てだな?」
「ほっほ、どうじゃろーのー?さて川についたぞーほれ夏とってこい」
「やっぱり魚目当てじゃねーか!!」
「夏兄ファイトー」
「俺一人でとるのかよ...別に良いけどな」
いつの間にか野生のビワを食べているジジイと岩に腰かけて小説を読んでいる妹。二人そろって休憩してやがる。
しょうがなく裸足になって川に入っていき、膝ほどの深さのところで腰を軽く落として魚が近づいてくるのを待つ。
肩幅に開いた足を徐々に開きながら腰を落としていき、膝が直角になった瞬間に息を吸い込み
「フッ!!」
肺の空気を短く吐き、水面に掌底を叩き込む。
川の水は弾けることなく水面に波紋が広がっていく。この技は鎧通しの技の一種で破壊力の起点を掌底を打ち込んだ場所から10cm程離すことで間にある障害物を無視する技だ。
水面に広がった波紋が無くなって数秒後に川魚が浮かび上がる。
浮かんだ川魚のうち大きいものを家族の人数分確保する。
「獲れたぞー」
「夏兄お疲れ~」
「ほっほっほ。波紋が出るうちはまだまだじゃの~」
くそー。この爺は見てやがったか。
この技は破壊力を一切表面に出さずに内部に集約させることが重要になる。この技の派生には両手で別々のタイプの掌底を放ち、体内と体外を同時に破壊する技がある。
「さて、そいじゃあ帰るぞい~」
帰宅し、朝食を食べたのだが、結局爺と妹は何もせず俺だけが食材をとることになった。ちなみに魚はどこに隠し持っていたのか爺が取り出した網に入れた。
朝食を終え、道着に着替え道場で稽古をしたが、川でのことが気に食わなかったのかその日の稽古はいつもの数倍の練度だった。
昼からは双子の家に四人集合する予定なので、それまで猫と一緒に過ごした。
お腹のあたりをワシャワシャするとゴロゴロと鳴くので、ついつい時間を忘れて撫で回してしまう。
「夏兄いつまで小夏に構ってるの~?ご飯だよ~」
「おっ、そうかすまんな若葉。」
猫を膝の上からおろしてご飯を食べに行く。
今日の昼飯は一昨日爺が仕留めてきた熊の肉を使ったコロッケだった。
さて、双子の家に行くか。




