単独行動7日目・戦いの後
俺と朱夏は-正確には朱夏は俺の紋章の中で寝ているんだが-ミリアの商会に向かうため中立世界の大通
りを進んでいた。
火山エリアは名前の通り、見渡す限りに大小様々な山が存在し、その山が常に5つ以上は噴火している状態のエリアだった。所々に火山から流れてきた溶岩や地面の亀裂から噴出した溶岩で水たまりのようなものがあった。もっとも、それらはピッチピッチちゃぷちゃぷランランラン、としたらダメなタイプの水たまりだが。大きく裂けた地面の下には赤々と燃えるマグマが流れていたので、このエリア全体の地面の下にはマグマが流れているのだろうと思った。
そして、当たり前というか魔物の種類も見たことないものしかおらず、ざっと見渡しただけでその数にも圧倒された。
火山エリアについて思い返しているうちにミリアの商会に到着したので、NPCの店員にミリアへの面会を頼む。
幸い忙しかったわけではなく、待たされることなくミリアに会うことが出来た。
「珍しいねームサシ君!相談事かい?だったら頼れるお姉さんに話してみなさいな!!」
相変わらずの性格とテンションの高さだな。
まあ、最後に会ってからそれほど時間も経っていないし、性格が変わってたらそれはそれでびっくりだけどな。
「相談というか、仕事の依頼だな。」
俺が仕事と口にした瞬間ミリアは軽く笑みを浮かべる。
「ほー仕事の依頼は別に構わないよ?ついでに言えば前に頼まれてた物だけどね、あれもっと時間かかりそうだから把握しといてねー」
「それは作ってもらえるなら別に俺は構わないんだがな?それよりも頼みたい仕事というのはだ、こいつを使って剣と刀を二振りずつ打ってもらえないか?」
取り出した四本の巨大な牙を見てミリアはポカンとした表情をしている。
数舜の後、ミリアは冷静になったようで、確認するように話しかけてくる。
「ムサシ君、これはもしかして巨大亀の牙かい?」
「よくわかったな、まあこれだけの大きさだから分かりやすいのか」
「まさかソロで討伐したとか言わないよね?」
「もちろん。従魔と一緒に倒したぞ」
俺の言葉にもはや頭痛がしたように頭を抱えだしたミリア。
「今まで討伐したって情報はそこそこ耳にしてるんだけど、流石に従魔と一緒とは言えどソロ討伐は初耳だな...双子から凄いとは聞いてたけどここまでとはねー」
ぼそぼそと小声で呟くミリアだったが、やがて落ち着いたようだ。
「じゃあ、改めて依頼の件だけど。何か要望があるかい?」
要望か、それはやっぱり熱に強いっとことが一番だろうな。
「そうだな、かなり熱に強くしてほしいな。それと、剣は長剣と小剣、刀は太刀と小太刀にしてもらえるといいな。」
「了解したよー。それくらいだったらそんなに時間かからないと思うから、リアルで明後日までにはできると思うから、また明後日の土曜日にログインしたら店に寄ってねー。じゃあ、料金に関してだけど...」
「あーそれなら..」
俺は収納袋からラヴァトータスの尻尾を取り出す。
「報酬としてはこいつを譲るということでどうだ?」
「それは、こっちとしてもありがたいけど、本当にいいの?」
「ああ、別に必要なわけではないしな」
「なら取引成立だね!待ってるよー!!」
別に尻尾を使う用途は今のところないし、火山エリアでラヴァトータスも見かけたからいざとなったら取りに行けばいいしな。
そうして、ミリアに依頼した後はそのままログアウトした。




