巨大亀との戦い2
奴の動き出した甲羅の部分のいくつかが地面に転がり落ちてくる。俺はラヴァトータスが怪しい動きをした段階で距離をとっているため岩の下敷きになることはない。
とはいっても、転がり落ちてくる岩一つの大きさをとっても数百m単位の大きさなのだが、、
最後の一つが転がり落ち、地面には100m~400mの全部で7つほどの巨大な岩が転がっている。正直下から攻撃していた俺に対する反撃なのかと思っていたが、その予想は若干外れることになる。
転がり落ちた7つの岩から1本の首と一対の手足、1本の尻尾が生え小さな〈溶岩亀ラヴァトータス〉7体となったのだ。
「な...岩を上から落とすことじゃなくて子亀に俺の相手を任せることが目的だったのか。まあ、子亀ってほどかわいらしい大きさではないのだが」
なんといっても1体が最低でも丘程度の大きさだからな。
子亀のラヴァトータスも俺のことを敵と認識しているのだろう、一斉に俺の方に向かってくるのだがその歩みはまさに亀の歩み、のっそりと非常にゆっくりと向かってくる。
さすがにこいつらに攻撃を当てられることはないだろうし、スピードにしても俺とは天地の隔たりがあり、それならば親の方に行こうと思ったそのとき、子亀が一斉に口から溶岩の塊を撃ち出してきた。
吐き出すのではなく撃ち出してきたのだ。そのスピードは中々の物であり、少なくとも死角から7つも放たれては、回避が困難だろうと思われる。
俺はまず子亀を殲滅してから向かうことを決め、放たれた溶岩弾を回避しつつ一番手前にいた100mほどの子亀に対し距離を詰める。
子亀は急速に近づいてくる俺を攻撃しようと尻尾を向けてくるが、その速度は親亀に比べれば非常にゆっくりで、尻尾も1本しかないため楽に回避する。
尻尾を回避するとすぐさま子亀は噛みついてくるがそれも悠々と避けることができる。そして首の根元付近にたどり着いた俺は弱点は親亀と同じだろうと思い両手の刀を連続で振るう。
すると、見る見るうちに子亀のHPバーが減っていき、6度目の攻撃でHPが0になった。さすがに親亀ほど頑丈じゃないらしく弱点を攻撃すれば楽に倒せるようだ。
その後も尻尾と噛みつきを回避しては弱点の首元を攻撃し、淡々と子亀を殲滅していく。そして最後の子亀を討伐し終え、朱夏と親亀の方を確認すると...親亀が片方の頭をこちらに向け大口を開けていた。
その口の中には赤々とした溶岩が確認でき、それをこちらに放ってくるのは明白だった。朱夏は俺を攻撃させまいと必死に親亀に攻撃しているが、朱夏の攻撃は炎であるためダメージはあるようだが相性は悪いためラヴァトータスの攻撃を阻止することはできていないようだ。
そりゃ子亀が撃てるんだから親亀も同様だろうということは容易に想像できたが、子亀との戦闘直後に撃つとは思っておらず、俺は必死に回避行動をとった。
しかし、そもそも親と子では口の大きさが段違いで攻撃範囲はケタ違いだ。それに攻撃が放たれる寸前だったこともあり、溶岩弾の中心から離れていたが攻撃自体は直撃した。
ガリガリとHPが削られながらも修羅のスキルの効果でその分ステータスが上昇するため何とかHPが尽きる前には溶岩の中から脱出できた。
しかし、HPは残り1割程度しか残っておらず、そのHPも〈火傷〉の状態異常で徐々に減っている。他にも〈炭化〉〈部分欠損〉の状態異常もある。
すぐさま回復アイテムを使用して〈火傷〉の状態異常を無効化し、HPも5割程度まで回復させる。
危機的状況を脱し一息つきながらもラヴァトータスからは目線を外さず、これからの打開策を思い浮かべる。火傷は治ったものの体のあちこちが炭化し、特に左腕が酷く肘から指先にかけてはほとんど動かなくなっていた。また、脱出した後に気付いたが右足の足首から先が欠損しており、その足首は炭化して数m離れた場所にあった。左足もほとんど炭化しており、修羅のスキルでステータスが上がっているとはいえ、これではすでに満足に戦えないということは一目瞭然だった。
すると俺の肩に朱夏が止まってじっと見つめてくる。
朱夏の言わんとしていることは理解できる。だが、できることならばという思いがあったため少し悔しい気持ちがある。
しかし、現状では打てる手はそれ以外にないため、俺は覚悟を決める。
「ふう、仕方ないよな。ただ、あれは正直卑怯と言って良いからな」
「ピュルル!」
「朱夏、わかってるさ。じゃあ、使うか」
俺自身卑怯とまで思う手。
即ち奥の手を使う覚悟を決め、朱夏に要求する。
「朱夏、装備化しろ!」
「ピューイ!」
そして俺の目の前には朱夏が姿を変えた1着のロングコートが現れ。それをまだ動く右手で手に取る。
「さて、決着をつけるとするか..」
俺はロングコートに袖を通しそう言い放った。




