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Only Monster ~モンスター成長型ゲーム~  作者: 志黒 白郎
第三章 ランキング
36/43

巨大亀との戦い1


 俺は朱夏に乗り上昇する。


 上空に上がり、改めて亀を見るとそれまで進んでいた奴も足を止めこちらを見てくる。

 突然、目の前にウィンドウが表示された。そこには〈エリアボス≪中山級溶岩亀・ラヴァトータス≫の討伐クエストが出現しました。受注しますか?...〉などと書かれてあった。

 これはどういうことだ?このゲームにクエストなんていうのがあったのか、、これはオートに確認しなければならないな。

 そう思いながらもウィンドウの文字に目を通していくと、クリア報酬の項目に〈火山エリア解放〉の文字があった。その他には10,000,000Gの金額があったが、俺は金額についてはさらっと流し、更にその下の文字に注目していた。


 〈推奨:中級LV50超10以上または上級LV40超4名以上〉


 確かにオートには挑むのはまだまだ早いとは言われていたが、確かにこれは早かったかもしれないな。

だが、挑むと決めたからには全力で行くしかないだろう。

 俺はクエストを受注し、奴に向き直った。


『ヴォオオオオ!!』


 瞬間、奴の咆哮とともに後方で揺れていた尻尾がものすごいスピードで迫ってきた。

 だが、その速度は高校球児の全力投球ほどであり、朱夏の飛行速度よりも遅い。朱夏が余裕をもって躱しつつ魔法を一方の顔面に当てるなどして反撃しているのだが、HPゲージはミリ単位で減っているかどうかというところだろうか?

 ラヴァトータスのほうも朱夏の魔法を全く意に介さず尻尾によって攻撃してくる。だが、回避され続けてしびれを切らしたのか、一本でしか攻撃してこなかったのが三本に増えた。

 いくらスピードでは朱夏が上回っているといっても流石に三本を回避し続けるのはできそうになく、段々と追い詰められているのが分かる。


「朱夏、このままだとジリ貧だ。俺は下から攻撃するから朱夏は空から攻撃してくれ」

「ピュピューイ!」


 俺は首の根元付近の甲羅の真上に来たときに朱夏から飛び降り、着地する瞬間に岩のような甲羅に対し刀術スキルの〈唐竹割り〉を打ち込む。

 刀は半ばまで沈み込むが、ラヴァトータスのHPには特に変化はなく、手応え的にもただ岩を切った感触しかない。

 再度斬りつけるが、やっぱりダメージは通ってないようだ。この甲羅部分は実際に岩なのだろうか?

 こいつの名前も中山級溶岩亀となってたし、さっき朱夏に乗って上空から見た限り頂上付近の火口に赤々とした溶岩があるのを確認したし、もしかしたらそれが冷えて固まったのが本来の甲羅をカバーしているのか。

 それならば、と今度は二つ生えている首の根元に対して両方の刀で〈唐竹割り〉を打ち込む。するとCHの表示とともにラヴァトータスのHPが1割程減少し、耳をつんざくほど大きな声があたりに響く。


「なんだ?こいつ首の付け根が弱点なのか?」


 そう思い、再度攻撃を加えようとした瞬間、俺の体は空中に引っ張られさっきまでいた場所をラヴァトータスの尻尾が通り過ぎる。

 間一髪で朱夏が俺を持ち上げてくれたおかげで回避できた。

 朱夏に連れられて尻尾が届かない距離まで離れて、一息つく。


「朱夏、奴は首の付け根が弱点の様だからそこまでたどり着きたいんだが、、」

「ピューイ、、」


 ラヴァトータスを見ると、こちらをじっと睨みつけており、尻尾の動きもさっきより早く更に若干頂上から溶岩が流れ出している。

 奴自身も弱点を攻撃されて怒ったのだろう。このままだと再度付け根に近づくのは難しいだろう。


「朱夏、今度は奴の攻撃範囲外から魔法で首の付け根を攻撃しろ、俺は下から近づいて接近で攻撃するから」


 朱夏は俺の指示を聞いて了承の意味で鳴いた後羽ばたいて空を飛ぶ。

 俺は朱夏が飛び立った後、攻撃を掻い潜りながらラヴァトータスの右足に近づきすれ違いざまに斬りつけるが、やはり減ったかどうか判断しづらい程度しかダメージが入ってない。

 だからといって今はラヴァトータスも警戒しているため首元に近づくことは難しい。

 そのため足などを攻撃するが、尻尾の攻撃や二つの首による噛みつき攻撃があるため、満足に攻撃することができない。


 それでも数十分ほど攻撃を続けていると朱夏の攻撃が数回首元にHITしたこともありラヴァトータスの体力が削れ、残り5割を切った。


 しかし、そこで更にラヴァトータスが変化を見せる。前足を少し浮かせそれを振り下ろすと同時に一際大きな咆哮を放つ。

 すると、奴の岩の甲羅の一部がぐらぐらと動き出した、、、

 一体何が起きてるんだ、、、



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