謎の卵
俺はチュートリアル報酬の謎の卵についてミリアに聞いてみることにした。
もしかしたら同じようなものを見たことがあるかもしれないからな。
「ミリア、このような卵を見たことがあるか?」
俺は自分のポーチから卵を取り出してミリアに見せる。
これは明らかにデカくなっているぞ。最初の倍くらい、縦30cm横20cmぐらいの大きさになっている。
「これは、、、見たことないわね。どこで手に入れたものなの?」
「俺のチュートリアル報酬だ」
するとミリアは考えだしてしまった。
しばらく沈黙が続いて、再びミリアが言葉を発した。
「、、袋は何個だった?」
「4個だな」
「それは凄いのが生まれそうだね、、常連の中にも卵をもらったプレイヤーは結構いるんだけど、4個のレア度の卵は初めてだね!」
「卵はそんなに多いのか?」
「多いよ?全体の1割くらいの人は卵じゃないのかな?この店で時間加速の収納袋を買って孵化させてる人もいるしね。」
「孵化させた人もいるのか。それはやっぱり魔物が生まれてくるのか?」
「魔物が多いね!でも、中には武器や防具の装備系の物が出てきたってのもあったりするんだよ!?びっくりだよねー」
「装備が卵から生まれるって変ですよ!」
「ウィンフの言う通りだな。変じゃないか?」
「その話は僕も知ってるよ~?なんか卵から生まれてきた装備は成長するんだってさ~」
成長する装備って普通はありえないものだろう。卵から生まれる装備だから成長しても何らおかしくはないということだろうか。まあ、こういったところを質問してもゲームだからで済まされる話なんだろうな。
「でも、初期モンスターがミニブルとかミニバードのプレイヤーで、チュートリアル報酬が卵だった人は今まで見たことないんだよ。生まれた魔物も四足歩行や飛行系だったりの騎獣用の魔物だけだったしさ。」
「じゃあ、ムサシの卵もそんな感じのが生まれるんだね~」
「卵の模様から明らかに火属性のが生まれてくるだろうとお姉さんは思うけどね!」
そりゃ、これだけあからさまに火の模様が卵にあったら誰だってそう思うだろ。
だが、卵持ちはそこそこいるみたいだから秘密にしなくても大丈夫そうなのはうれしいな。
「じゃあ、そろそろ今日の狩りに行こうか~」
「ん。時間いっぱいヤル。」
それからミリアの商会を出て、冒険世界ファステルにやってきた。
「今日は残りの時間ずっとレベル上げしようか~」
「そうだな、昨日進化したからLV1だしな。というかふと疑問に思ったんだが、俺たちは進化した後でもLV1だとステータスがかなり低いのに戦う魔物は大体似たような強さなのはどうしてだ?」
「それはね~公式に運営が発表してるんだけど、魔物は全部種族限界の半分のレベルのしか出てこないようになってるんだよ~最大レベルが50の種族ならLV25って感じにね~」
「だからLV1の状態だと、ゴブリンとかも強かったんですね!」
「ウィンフの言う通りだな。確かに負けはしないが手強かったのは確かだ。」
「さーちあんどですとろーい。ですとろーい。」
リンウィが早く戦いたそうだったので探索にいく。
今回は、進化直後でステータスが低いというのもあって、最初はチュートリアルの後にポップしたあたりでスライムを狩っていく。
それからLVが10になるまではスライムを狩り。
LV20まではゴブリンやコボルトを狩った。
それ以降は昨日草原を南に真っ直ぐ探索したので、南東の方に向かって探索して行った。
「みんな今レベルはいくつだい~?僕は32だよ~」
「30。」
「私は29です!!」
「俺は34だな。もう少しウィンフは魔法で攻撃してもいいと思うぞ?」
「そうだね~ウィンフちゃんもうちょっと攻撃に参加しても良いね~それじゃあ、そろそろオークが出始めるポイントだから油断しないようにね~さすがにオークジェネラルみたいな強敵はそうそう出てこないけどね~」
オート曰く、普通はもう少しエリアの外側の方に行かないとジェネラルクラスは出てこないそうだ。
まあ、運が悪かったということらしい。俺にとっては強敵と戦うことができたのでラッキーだったんだがな。
それから間もなくオークが出現し始め、さらに進んでいくとちらほらに木が生えている箇所があったり、丘陵地帯を抜け、地面が平たんになってきた。
「そういえば進化先の確認してなかったね~僕は通常進化のジャイアントブルだよ~踏みつけってスキルを手に入れたよ~」
「私も通常進化。ジャイアントバード。翼撃のスキルゲット。」
「次は私ですね!モンキープリストですねー。支援魔法が使えるようになりました!」
「俺はゴブリンジェネラルだ、鼓舞のスキルを習得したぞ」
「だから戦ってて急にダメージが増加するときがあったわけだよ~」
進化先を確認するのを忘れるとかうっかりしすぎだな、、進化先というよりある程度はスキルを把握してたほうが戦うときに便利だからな。
オートとリンウィのスキルは個人のみだがウィンフの支援魔法はLVが上がっていくとパーティの強敵との戦いの時にかなり有利になるだろうな。
「リンウィは翼撃のスキルLV上げのために今後は接近戦をメインで戦っていったほうが良いか?」
「ん。滑空ビンタする。」
「リンちゃん、それだいぶ強烈なビンタです、、」
「プロレスラーも真っ青だね~」
正直、体長4mになったリンウィが滑空しながら翼でビンタするとか現実だとトラックと衝突するようなものだろう。
8mの巨体になったオートに踏みつけられるのも確実にトラウマになるだろうしな。
それにしても、この双子はかなりのハイペースで大きくなっているな。最初、オートは小型犬ぐらいだし、リンウィはスズメサイズだったからな。
そしてその日は全員がLV50に到達するまでオークたちを蹂躙し、ログアウトした。
一番衝撃だったのは、リンウィの翼撃スキルで10体ほどのオークの群れがボウリングのピンのように弾き飛んで行った光景だな。
その光景を見ながら今度の日曜オートとほかにも数人誘ってボウリングに行く約束をした。




