ゲームへの誘い
初投稿作品ですので、アドバイスなどよろしくお願いします。
返信は状況次第ですのであまりできないと思います。
高校二年の5月、第二土曜日の午後。普段なら実家の飼い猫と戯れている時間だが、いま俺は幼馴染の双子達の家で、廊下からリビングへとつながる扉の前で呆然としている。
目の前には、直角の姿勢で頭を下げている双子兄、東山秋斗と上目遣いで迫る双子妹、東山春風。そして、頭を下げられ上目遣いで迫られてオロオロする俺たち三人と同じ学校の制服の女子生徒。というコメディ空間が広がっていた。
なんだこの状況は。と思いながら今日双子の家に来ることになった経緯を思い返す。
昨日の帰り道、俺、武藤夏は、学校が終わって今日も実家の道場で修練に励もうと考えながら歩いていると、いつもつるんでいる近所で同じクラスの幼馴染の双子のうち、兄の秋斗が言い出す。
「ねえ、なつやん。新しいゲーム一緒にやろーよ!」
この誘いにも慣れたものだ。
一定周期でこの手の誘いが発作のごとく訪れる。前回は確か、シューティングゲームに誘われたな。
今回は何のゲームだろうと思いながら返事をする。
「別に良いが。今度は何のゲームをするつもりだ?」
「明日の午後家に来てよ!それまで秘密さ!」
「絶対。来て。」
秘密なのは毎度のことだ。たいてい家に行くとゲーム機が俺の分まで用意してあり、あとはゲームを起動するだけという状況になっている。しかし、普段無口な双子妹の春風が念を押すということはかなり楽しみにしているゲームということだろう。
「わかった。なら、一時頃にお邪魔するか」
「オッケー、一時だね!待ってるよ」
「ん。待ってる。」
というわけで双子の家に行き、リビングであの光景が広がっていたわけだが。
うむ。思い返してみても全く分からないな。とりあえず気づいていないようなので声をかける。
「はあ、二人とも何をやっているんだ」
「あ!来たんだねなつやん!」
「なつ。確保。」
家に来た時の恒例で、春風がこちらに気づくと同時に抱き着いてくる。
「おう、来たぞ。で、これはどういう状況だ?」
「見ての通り、口説いているんだよ!」
「あ、え、えっと、武藤君?」
勧誘されていた女子生徒をよく見てみると、俺らのクラスの副学級委員の西城冬華だった。彼女がどうしてここにいるんだろうか。そう思いつつ頭をひねる。
「次になつやんと一緒にやろうとしているゲームに彼女も誘っているんだよ!」
「いったいどうやって呼び出したんだ」
「家に招待したのは春風だよ」
「えっと、春風ちゃんに来て。って言われて日時とここまでの地図を渡されたんです。そうして来てみたら、東山くんが頭を下げてきて、春風ちゃんが上目遣いでこっちに来て」
春風の方を見ると、俺から離れて無表情に親指が立った右手をこちらに向けていた。
とりあえず、春風の右手をもとに戻す。
「ならちゃんと説明してやれ、何にも状況理解していないじゃないか」
「そーいえば何の勧誘か説明するの忘れてたや、あははは」
そして説明されたのが。
≪Only Monster E&R≫
今流行りの最新VRMMOゲームの一つだった。