接吻
魔術が発展してから早一年足らず。
この時すでに魔術が全国に知れ渡っていた。
知れ渡った魔術はいとも簡単に扱えて免許すら必要のない魔術もあれば免許がないと扱えすらできない魔術がある。
免許の必要がない魔術とは白魔術と言われ、害が得る者がいない魔術であり、その逆の黒魔術とは自分側に不都合な魔術は全て黒魔術でありこちらは免許がいらないと言うこともあるが全てが全ていらないものではない。
魔術に免許が必要な魔術は白、黒以外の魔術を全て指す。
一人の少年がいる。
彼の瞳は特定の人が持っている魔術がわかってしまいその対処法などを編み出すことができる特別な魔術なのだ。
この魔術のことを瞳魔術と言いこれはまさに免許の必要な魔術なのだが彼は生まれつきのため免許はない。
ここは白魔市街廊のディーヴィス家。
少年が新たに移住する家があるのはここである。
この白魔市街廊は古い建物は全て取り壊し新しく魔術に対応できる建物を取り入れることにより魔術が仮に人が住む家に間違って打ってしまったとしても魔術に対応できる建物であれば防ぐことができる。
また建物を壊してしまってもお金がかからないからだ。
そんな白魔市街廊に気に入ったという理由も一つである。
でも、少年の瞳魔術では建物に危害を加えることはまずないだろう。
白魔市街廊のディーヴィス家は喫茶店もやっているとの情報があり、唯一の喫茶店好きの僕にとっては最高の場所だからだ。
これも理由の一つではある。
白魔市街廊の地下三層部にあるTRトライル線の白魔市街廊駅で少年は降りる。
そこから改札まではかなりの道のりはあるが少年は歩くのが得意なため対した距離はないだろうと見込みゆっくり歩くことにした。
まずは長いエスカレーターで地下二層部へ上がると目の前にはPR線の白魔市街駅のホームが見えてくる。
そこからさらに右に曲がり少しすると右手にまたエスカレーターがありそこから地下一層部のDR線白魔市街廊駅が見えてきた。
そのホーム脇にあるエスカレーターで地上に上がり持っていた切符で改札を抜ける。
ここまで確実に五分近くかかった。
しかも改札も普通ではなくロボットに切符を渡してから後ろに駅専用の判子を押してから縦型の機械に切符を通すという違った改札の方法だった。
そして改札を抜けたあとはまるで次元が違うんじゃないかと思うほどの白魔市街廊の街並。
空は別次元で見たこともない紫色で星が瞬き輝く空。
建物は一戸建てが多く魔術対応の建物がかなりたくさんある。
そこかしこにいる人はみんな魔術服を着ている人達が多く見られた。
床のタイルまでもが魔術対応になっていてどこかしこも別次元だった。
駅からディーヴィス家まで歩いて三分ほどの距離にあるとのことらしいので地図の示す通りに左側を曲がりそこを真っ直ぐ歩く。
僕は歩きながらあちらこちらにある建物を一つ一つ見ながら歩いていく。
すると目の前に何やらたくさんの人が群れていた。
人と人の隙間に上手く入って中の様子を見る。
そこにいたのは二人の魔術服を着た男女。
回りの人に何があったのか僕は聞いてみた。
「何があったのですか?」
すると近くにいた魔術服を着ていた髭の生やしたオジサンが答えてくれた。
「どうやら男女の恋愛の縺れからだと・・・・・さ。ん?誰だ?」
男女の恋愛の縺れ?
それだけのことなのに何でここまで発展してしまったのだろうか?
不思議に思える。
「僕ですか?僕はただの通りすがりの少年ですよ。」
「?」
オジサンは首を傾げてこちらを見ているが気にすることなく僕は男女の魔術を見抜こうとする。
男女の言葉も聞きながら・・・。
「あんた。最近遊んでくれないと思ったら別の彼女がいるわけ?ふざけないでよね。」
右側にいた少女を見る。
魔術は青魔術の持ち主か。
免許もちゃんとあるらしいな。
見た目はフードをしているからよくわからないが僅かに見える唇は麗しく美しい。
背丈は僕より少し下あたりだな。
「あっ?てめえに飽きたから他のやつで遊んでいるだけだ。それの何が悪いって言ってるんだよ!?ブサ女がよー!!」
左側にいる少年を見る。
魔術は白魔術か。
免許はなしっと。
彼もフードをしているな。
ん?サングラスをかけているのか?
不思議だな。白魔術にはサングラスを使う魔術等ないはず。
やつは本当は・・・・・。
しばらく男女の会話を聞きながらわかったことはただのデートすることに用は飽きたと言う簡単な縺れだけだった。
僕も昔は・・・。
なんて更けている場合ではない今は救わなければならない人がいる。
あの少女の方だ。
少女は青魔術ではありながらもおそらく彼女は負ける。
理由は簡単だ。
あの男が白魔術を装い実は別に隠し持っていると察したからだ。
そこで近くにいたオジサンに再び聞く。
「オジサン。もし予めある別の魔術を装ってその別の魔術を使った場合どうなるの?」
オジサンはすぐに答える。
「簡単だ。察行きは確定だが使っている確信がなけらば察行きは無理だな。何でそんなことを聞くんだ?」
「まぁ。黙って見ていればわかるさ。」
僕は彼女の方を再び見る。
よく見ると足が弱冠震えている。
かなり遠い位置からでも見えた。
男はおそらくニヤリとした表情だろうな?
そう僕は察した。
あたりは颯爽と吹き抜ける風が完全に切ってから男が前へ出て白魔術ではなく赤魔術の焔刀砲炎射と言う技を繰り出した。
この技は範囲が大きく受けとめ切れないはずなのだが少女は違った。
この青魔術でありながら防御炎射風殺を使い受け止めたのだ。
さらには封印までした?
男は次の魔術も封印されると察したのか後ろに後ずさる。
そして彼女は先程の封印した焔刀砲炎射を繰り出す。
男はなんとそれを軽く避け素早く少女の腹に向かって赤魔術の光焔邪拳を食らわそうとしたその時、男の右手に突如遠くの何者からか手錠と思わしき輪を引っかけた。
しかし輪をひっかけたにと関わらず光焔邪拳をやる男に僕は許さず本当は使いたくなかった瞳魔術の封刺殺を使う。
この瞳魔術の封刺殺は遠くからでも狙った技を簡単に一時的に封じ込める力を持つ新たに変わった魔術なのだ。
男はそのまま連行し僕は少女を送るために一緒に乗り込むことにした。
その間少女は僕の魔術に興味を持ってくれた。
「さっきの魔術は封刺殺ですか?」
少女は淡々とその技を言うので少し驚く。
「あぁ。でも僕はただの封刺殺ではないんだ」
「と・・・・・言いますと?」
少女は自分で考えてもわからなかったらしく聞いてきた。
「瞳魔術」
「瞳魔術!」
少女も一緒に乗っていた察の人までもが驚いた。
「あなたでしたか~!免許もなく謎だらけの瞳魔術と言うのは・・・いや感動いたしました~」
そんなに有名になっていたのか僕って。
少女も驚いた表情だった。
「まぁ。僕は免許なくても届け出を必ず出しているから関係ないんだけどね?」
僕は当たり前のような言っていた。
だが、一般的には違うらしい。
そら。当たり前の話なんだけどな。
「ではすみません。わざわざお話ありがとうございます。」
僕と少女は一時間ほど大きな所で話していたあとまたさらに魔術の話で一時間ほど潰し二時間は向こうにいた。
その間察の人から缶ジュースを貰い飲み干してから僕は先程から行きたかったディーヴィス家に本格的に向かうことにした。
「すみません。色々聞き出してしまって・・・」
「いいって。いい暇潰しになったかもな。」
少し雑談をしてからそれぞれ別の帰路に向かって歩くことにした。
「またどこかで」
「おぉ。また会えたらな。」
明日から学園での生活が始まる。
僕はこの春から先生になるんだから。
そしてディーヴィス家の前に辿り着いた。
チャイムを鳴らす。
しばらくしてから聞きなれた声が聞こえてきた。
「今。開けます~」
そして鍵が開き中から出てきたのは先程の少女だった。
「あれ?さっき会った!?」
「君はディーヴィス家に住んでいるんだね。」
「あっ。はい!」
元気よく少女は返事をする。
僕は自己紹介も兼ねて説明をする。
「自己紹介していなかったね。僕の名前はカナヴィア・オールティット。よろしくお願いします。」
「私はディーヴィス・ハナディッタ。こちらこそよろしく。また会うなんて奇跡的だね?」
ハナはとても喜んでいた。
「では、上がって上がって。」
「あぁ。すみません。」
「改めまして僕の名前はカナヴィア・オールティットです。瞳魔術を得意とします。」
僕は再び自己紹介をした。
彼女ではなく親の方に向かって。
「君がカナヴィア君だね。こちらこそよろしく。」
「間近で見るとイケメンね~。カナヴィア君。よろしく。」
二人の両親から握手を交わす。
二人とも僕を温かく迎えて今日も一日が終わりにさしかかる。
夜ご飯を食べながら雑談を一時間ほどしたあとは僕専用の部屋に案内してくれた。
その部屋はハナのすぐ横にあるいかに広々とした部屋の空間がそこにある。
その部屋の真ん中に荷物を置きあたりを見回すと家具はまだなく押し入れに布団が入っているくらいだった。
「机とかベッドとかは後で送られてくるらしいからまずはお風呂に入ったら?」
「そうだね。入るとするか。」
僕は荷物を置き中から服を取りだしお風呂に入る準備をする。
「すみません。お風呂お借りしてもいいですか?」
念のため少女の親に聞く。
「お風呂沸いてるから好きな時間帯に入っていいからね。」
「すみません。いただきます。」
「父の名前はディーヴィス・アルティム。母さんはディーヴィス・フリジャル。」
そんな声が後ろから聞こえてきた。
扉の方を見るとタオル一枚で巻いているハナがいた。
「ハ・・・・ハナ・・・。」
僕はハナのその姿に驚いた。
「は・・・初めて呼んでくれたね。カナヴィア君。」
「あ・・・あぁ。そういえばそうだね・・・」
僕は極力後ろを向いてしまわぬように前を向く。
ハナの髪の匂いが漂う。
僕は歩いてきたハナのふっくらとした胸の揺れる音にビクッとしてしまう。
「何にビクッとしているの?」
ハナは顔を覗かせる。
するとハナはかなり赤くなりスッと背中合わせになるようにハナは後ろを向く。
おそらく見てはいけないものを見ていなかったのだろう。
確かにタオルで隠すべきだったと後悔しても遅い。
「お・・・・・大きい・・・ね。」
「えっ?」
後ろから小声でも風呂場いっばいにハナの声が響く。
ただ。気まずい。
水の垂れる音だけが聞こえる。
「じゃあ・・・・・。背中洗ってあげるよ。」
そう言ってシャンプーに手を伸ばす。
僅かだがハナの胸があたりビクッとしてしまう。
ハナはシャンプーをとって覚悟を決めるように自分の胸にシャンプーをつける。
「ハ・・・ハナ!?何や・・・って・・・」
「・・・・んっ・・・く・・・」
ハナは胸にシャンプーをつけ終わりそっと胸をくっつけて胸を揺らしながら洗っていく。
柔らかくて気持ちのいい。
まさにそんな感じの胸だ。
「ハナ・・・!?」
「カナヴィア・・・君・・・」
僕はもう我慢できない。
そこで僕らは初めて唇と唇をつけキスをする。
下を絡めながらキスをしていく。
「・・・・・んっ・・・」
ただハナの今にも喘ぎたそうな声だけが聞こえてくる。
ハナ。すまない。初日からこんな僕はえろくて。
その日カナヴィアは初めて出会って間もないハナなディープなキスをした。
ベッドや机が届きベッドの上で天井を眺めながら自分の唇をなぞってく。
あの時。僕は初めてキスをした。
しかもあっついキス。
今でも忘れなああの感覚。
またウズウズし始めた。
その頃お風呂ではハナが湯船に浸かっている。
「カナヴィア君の初めてのキス。何だろう?この感覚・・・」
不思議とカナヴィアを思い出す。
『我慢できなかった。すまない。』
そうとだけ言ってカナヴィア君は出ていってしまった。
私は悪いのかな?
カナヴィア君が悪いのかな?
いったいどっちなんだろう?
お風呂から出てカナヴィア君の部屋の前を通りすがる。
すると扉から当のカナヴィア君が出てきた。
「カナヴィア君・・・」
「・・・ハナ・・・」
気まずい。実に気まずい。
二人はしばらく固まったまま動こうとはしなかった。
尿意を催した僕は夜中トイレに入ろうとした。
するとき扉が空いていて僅かな隙間からハナが全裸になっていて何かをやっている。
「・・・んっ・・・ンアァァン。」
何やら声がそれだけ聞こえてきた。
その後声をかけずにそのまもトイレだけをして再びベッドに戻った。
一体何をハナはやっていたのだろうか?
明日聞いてみるか・・・。