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9話
「はぁ・・・・はぁ・・・。」
息切れがはげしい私に気がつき乃蒼様は止まる。
くるっと私の方を振り返りかわいい笑顔で
「大丈夫?」
ときいてくる。
私は俯き、小声で
「だい・・・丈夫・・・・です。」
そんな私の額に手をのせ
「本当に?」
・・・。
笑顔を顔に貼り付け
「大丈夫、平気ですよ。慣れてるので。」
絡まれるのは毎回のことだ。
もう・・・・慣れた。
だけど男から触られたところは治らない。
「あ、のんちゃん、美夜!」
声がしたほうを向くと飴を舐めるカナハとニコニコしている雪菜様。
どうやら雪菜様がカナハを見つけてくれたらしい。
「のんちゃん、美夜を助けてくれたの? ありがとう。」
私の腕を掴んでいる手を乃蒼様がはなすと、カナハは私の手を握り
乃蒼様と雪菜様に手を振って去る。
「・・・・震えてるけど。」
二人の姿が見えなくなるとつめたい表情でカナハが言う。
彼女には私に何が起こったのか見える。
「・・・・。」
私は無視し、カナハ邸にむかう。
早く抱きしめて・・・・・・
私が私であるために。




