表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の約束 ~神の名を呼ぶ~  作者: 有沢 諒
一章 出逢い
8/51

人形(ひとがた)の神:マナ

「すみません、マナ様」


清の呆れ果てて頭を抱えそうな様子に苦笑するしかない。

湊を見やると、恥ずかしそうにしながらも、興味津々といった体でこちらをうかがっている。


興奮さめやらぬ様子は見慣れたものだ。

自分の存在が人を惹きつけてしまう自覚はもちろんある。

実のところ、それを押さえることも可能なのだが、目覚めたばかりで体が本調子ではなく、調整が難しい。

ま、この社の人間には神であることを隠す必要もないのだから、問題はない。


「私は生き神なのだ。もう千年以上もこの姿で現世うつしよにいる」


どこから話そうかと思ったが、長話は面倒なので簡潔に伝える。

清や直之が話せばまた違った言い回しになったろうが、神であることを疑いもなく信じる湊には、社の歴史や納得させる事例は必要ない。


思った以上に簡単そうでほっとした。

まあ、気になるとしたら湊の言動か。

先ほどから湊は今まで見てきた社の人間とは、返ってくる言葉のすべてが違っていて面白い。


興味深く見守る中で返ってきた言葉は。


「・・・へえ、長生きなんだな」


一瞬あっけにとられる。

清が見たこともない顔で愕然としていた。

それを見たら堪えきれなかった。


「あははっ・・・まあ、な」


くくっと声が漏れる。

神なのだからそりゃ人間からすれば長生きで当たり前。


「えあっ・・・そうじゃなくてっ」


慌てて言い繕う。


「亀じいさんとかでも500年とか言ってたから・・・」

「亀?」

「・・・池の主様のことです」


清が補足する。

孫の無礼な態度に私が怒っているわけでもないので、とりあえず静観を決めたようだ。


「ああ、あいつか・・・」


この辺ではまだマシな奴だな。


「仲がいいのか?」

「うん、今日も帰りにしゃべってきた」


その口調と内容に、静観を決めん込んだ清の顔がひきつる。

だが、直之は息子の言動に呆れてるだけではない雰囲気。


ああ、きっと私と同じだ。

奈海を思い出す。

彼女は神を敬いながらも親しさは損なわなかった。


懐かしさに目を細める。


奈海とは彼女が五つの時から15年、一緒に過ごした。

いや、そうでなくても彼女は特別だった。

だからこそ起きずにはいられなかったのだから・・・。



***************

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ