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Schicksal  作者: 碧生
2/2

~開始~

アハトは氷に覆われている王国、アインス王国にて18歳の誕生日をむかえる。

 幼き日に約束した少女との思い出を胸に、幼馴染のノインを連れ、冒険の旅へと出る。


「あらアハト。おはよう」


「母さん。おはよう」


「ノインちゃん、そこのお砂糖取ってもらえる?」


「はい、どうぞ!」


「母さん・・ノインに手伝わせてるのか?」


「いいんだよー!あたしも、アハトのお誕生日はお祝いしたいしね!」


「ふふ。 ノインちゃんは良い子ねぇ。お嫁に欲しいわ」


「ええっ、そんな、フィーアさん!照れるじゃないですか・・っ!」


 フィーア。それはアハトの母親の名。


「全く、母さんもそんなこと言ってないで・・・」


「そんなこと?!」


「ノイン、何だよいきなり」


「・・・っ」


「アハトったら、まだまだ子供ね~」


「はぁっ? 母さんまで、何を・・」


「もーいいもんっ! フィーアさん!ちょっと家戻ります!」


「は~い。ケーキが焼けたらまた呼ぶから、ツェーンさんも呼んできてね」


「了解!」


 ツェーンさんとは、ノインの母親の名前だ。


「はぁ、朝っぱらから五月蝿いなあ」


「べーっだ! フィーアさん、また来ますー!」


「ええ、待ってるわね~」


 ガチャ、バタン


「なんだよ、もう・・」


「ふふふ~」


「母さん、今日なんかおかしいぞ・・」


「なんたって可愛い息子の18歳のお誕生日だもの!気分だってよくなるわよ!今日から一緒にお酒飲めるわね~」


「酒って・・母さん、飲めなかっただろ」


「ううん。いいの、今日は」


「今日は?」


「ええ。・・・ドライさんと、約束したから」


「父さんと・・・」


 アハトの父親は、アハトが9才の頃に雪山で雪崩に遭い亡くなった。

それ以来、フィーアは女手一人でアハトを愛情込めて育てた。


「さあ、ケーキを焼くから! アハト、どっか行ってて!」


「は?! どこに行けと・・・!」


「適当に!」


「はあ・・・わかったよ。 いつ帰ってこればいいんだ?」


「そーね、夕方」


「まじか・・・昼飯は適当に済ましとくからな」


「はいは~い♪」


「行ってきます・・・」


 結局アハトはこの日、母の手作りケーキを食べることが出来なかった。


――――家に帰ることがなかったからだ。

お読みいただき、ありがとうございました。

約束の物語はどうでしたでしょうか。

  あなたも、思い出の約束はあるでしょうか。

では、また会うときまで。

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