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個性盛りだくさん!クラブハウスサンド…… B$9.50

 パチン、と合わさった両手の後ろから、とびきりの笑みがひょっこり現れる。


「……というわけで、早速自己紹介からいこうか!」


 午後三時三十分、そんなとあるダイナーの客席の一角に、若者たちは集っていた。レモンイエローのツインテールを揺らし、女性は店内に明るい声を響かせた。


「まずは私ね。ルビー・ジェンキンス、このレッド・ロケット・ダイナーの店長やってます! これから三日間、よろしくね!」


 赤と白のストライプのシャツの上のネームプレートを指さして、ルビーはにっかりと笑いかけた。ぱちぱち、と小さな拍手が店内の雑踏に掻き消されていく。


「じゃあ、次は……君! その後は時計回りね~」


 指名された少女は、「はい!」と元気よく手をあげ、こほん、と一つ咳ばらいをした。


「職業体験で来ました、グランド・ジャンクション・メモリアルハイスクール二年、サニー・パーカーです! テニス部に入っていて、あと、記憶力には自信があります! ……ちょっとだけね!」


 サニーがそう言ってウインクすると、オレンジブラウンのゆるくカールしたポニーテールが揺れた。リオードはサニーにどことなくルビーと似た雰囲気を感じていたのだが、まさにそれは的中し、直後二人は「いえーい!」とハイタッチをし始めた。もしかすると、ダイナーには、その騒々しさに負けないような明るい人間が集まるものなのかもしれない。そんなことを考えていると、「じゃあ」と黒髪の短髪を整えた少年が声を上げた。


「次は俺だよな。同じくグランド・ジャンクション・メモリアルハイスクール二年、イーサン・ミラーだ。部活はサッカー部。飲食店って一番世話になってる気がするから、職業体験もここを選んだんだ。よろしくな」


 イーサンはそう言うと、にっと白い歯を見せた。サニーと同じように運動部の生徒らしい爽やかさがあるが、イーサンの方が面倒見の良いお兄さん、と言ったところだろうか。サニーの底ぬけた明るさとはまた少し違う、いかにも人気が出そうなクラスメートの雰囲気である。


「次、コールな」

「はあい」


 名前を呼ばれた少年が、間延びした返事と共に、ゆっくりと眠たげな目を開く。天然パーマだろうか、シルバーブロンドのくせっ毛がぴょんと揺れた。


「コール・ベンソン。サニー、イーサンと同じで、グランド・ジャンクション・メモリアルハイスクールの2年生です。放送部所属だよ~。よろしくねえ?」


 コールは自己紹介を終えると、ちらりと隣に目配せした。すると、赤茶の短髪をかきあげながら、釣り目の少年がふっと息を吐いた。


「俺か? 俺はアッシュフォール・ハイスクール二年、レックス・マイジャーだ」

「マイジャー? あんまり聞かない名前だね」

「そうだろう! 俺の名前は唯一無二というわけだ。いつかは歴史にその名を残すことになるからな、よく覚えておけ」

「へー……よくわかんないけど、よろしく!」


 ふっと気障な鼻息を洩らすレックスに、快活にほほ笑むサニー。二人の会話は明らかにかみ合っていなかった。おそらく悪い方向には転がらないと思うが、このまま二人に話を続けさせたところで、最終的には場がしっちゃかめっちゃかになっていくばかりだろう。イーサンもリオードと同じようにそんなことを考えていたのか、「そんで、あんたは?」と最後の生徒に自己紹介を促した。


「……ヘイゼル・フリント。アッシュフォール・ハイスクールの二年生、です。よろしく……」


 ヘイゼルはぼそぼそとそう呟くと、そばかすのあたりをかいた。アッシュブラウンの毛先と、同年代の少女と比べるとやや体格の良い肩が内側にきゅっと丸まっており、そんな容姿も相まって、彼女がこのメンバーの中で一番大人しく内気な性格なのは一目瞭然だった。

 長めの前髪の隙間から、ちら、と瞳がリオードの方に向く。暫しの間、沈黙が流れる。


「……あっ、これ僕もですか!?」

「そうだよー。職業体験ではないけど、三日間一緒にお手伝いしてもらう仲間だからね!」


 ルビーはそう言ってきゅるんとウインクを飛ばした。自分の番が回ってきたことにはっと気がついたリオードは、慌てて声の調子を整え、口を開いた。


「ええと、リオード・カロンです。皆さんのように職業体験ではなくて……普段は、一応、探偵をやっています。まだ見習いなんですけどね……」

「えっ! リオードって、もう働いてんのか?」

「じゃあ、先輩ってこと~?」

「そうなるな。じゃあ、さん付けした方がいいのか……?」

「いやいや! 僕なんて探偵としてはまだまだですし、年も十七で、多分皆さんと一緒……? ですよね?」

「一緒だね~」

「なので、ほんとお気になさらず……!」

「でもすごいよ! 実はサニーちゃん、初めて見た時から、大人っぽいな~って思ってたんだよね! シャカイジンって感じ!」

「そうか? 俺と比べたら大したことないだろ」

「レックス……」


 五者五様の態度でリオードのことを受け止めていると、不意にルビーがポンと手を打った。


「なるほど~! じゃあ、リオードくんは、この三日間のメンバーの班長ってことで!」

「えっ……!? 確かに学校に行かずに働いてはいますけど、僕、飲食店に関してはからっきしですよ!?」

「いいじゃん! よろしく頼むぜ、班長!」

「班長、かっこいい~」

「サニーちゃん、班長のためなら頑張っちゃうよ~!?」


 店長を除いた六人の中で一番浮いていた存在だったのか、リオードが自己紹介すると場がわっと活気づいた。ルビーはそれを眺めながら、うんうんと満足げに頷いている。


「じゃあ、全員の自己紹介が終わったところで! 早速……」

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