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四角くおさまるブラウニー…… B$4.00

 十二時十二分。レッド・ロケット・ダイナーで発生した立てこもり事件の犯人は、現行犯で逮捕された。来店客、従業員、全員が無事だったとはいえ、銃弾がめり込んだままの店内は、ネオンでビビッドかつポップな店の雰囲気にはあまりにも不釣り合いだ。ポリスの現場検証で時間を要することも踏まえ、その日の午後、レッド・ロケット・ダイナーは臨時休業となった。もちろん、生徒たちの職業体験も、これにて終了である。


「まさか立てこもり事件が起こるなんて……。みんな、最後までやり切らせてあげられなくて、ごめんね~!?」

「いやいや! 店長が悪いわけじゃないじゃん!」

「そうっすよ。確かに、こんなことにはなっちまったけど……俺、すごい楽しかったです!」

「うんうん~。それに、店長はず~っとお客さんのこと考えてて、僕も、店長みたいになりたいなあ、って思いました~」

「なんていい子たちなの……!? みんな、就職先に困ったら、いつでもうちに来ていいからね!!」


 ルビーはそう言うと、三人にとびきりのハグをプレゼントした。三人はくすぐったそうに笑っている。たかが三日間、されど三日間。校外の大人との新しい信頼関係は、きっと彼らの将来に良い影響を及ぼすに違いない。一歩引いてそれを眺めていたリオードは、心がじんわりと温かくなったような気がした。

 しばらくぬくもりに身を委ねた後、店長ははっとして、今度はリオードの方に駆け寄って来た。


「リオードくんも、ごめんね。たまたまヘルプで来てもらってた期間に、こんな大変なことになっちゃって……」

「いえいえ! こんなこと言うのもなんですけど、僕は慣れてますから……」

「そういえば、あの探偵事務所でも、結構いろいろ巻き込まれてるらしいね? リオードくんってば、ツイてるんだな~! よっ、ラッキーボーイ!」


 すると、ルビーの話し声が聞こえていたのか、「さすが班長! ラッキーボーイ!」とサニーのご機嫌な声が届いてきた。リオードは困り眉で、とりあえず手を振り返しておいた。


「あんまりうれしくないですけどね……」

「そう? わざわざ事件の方から探偵を呼んでくれるっていうんなら、それってつまり、素質があるってことじゃない?」


 ルビーはそう言うと、二ッと歯を見せて笑った。巻き込まれたり、遠ざけられたり、教えられたり、守られたり。そんなことを繰り返していたが、自身に対して「素質がある」なんて言われたのは初めてだった。


「……ありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそ助かったよ! この街で生きていく者同士、これからもよろしくね!」

「はい!」


 前向きな笑顔を携えたリオードの耳に、サニーの明るい声が届いた。振り返ると、どうやらレックスとヘイゼルが三人に合流したようだった。


「ヘイゼルちゃん、大丈夫だった~!? ケガしてない~!?」

「大丈夫、だよ……」

「ならよかった~。見当たらなかったから、心配してたんだよ~?」

「そうそう。レックスのやつも知らねえっていうしよ」

「仕方がないだろう、知らなかったんだから」


 どうやら、残りの二人も無事だったようである。人質にとられ、事件の全てを中心から見ていたリオードには、もちろん自分の他に脅されている人物がいないであろうことはわかっていたのだが、五人の生徒が今日も無事家族のもとへ帰れることを改めて確認し、ほっと息をついた。

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