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捨てられ王女と小さなフェンリル〜陰謀に巻き込まれて国外追放されたら、国の守護獣がついてきちゃった  作者: 秋山春


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2/2

すっきり編



 エルが追放されてから数日が過ぎた頃、フィラン王国は大混乱に陥っていた。


 国を覆っていた守護結界が——古の盟約により、聖獣フェンリルによって張られた強力な結界が、跡形もなく消滅したのだ。


 まず、被害を受けたのは結界近くの村々だった。

 続々と現れる魔獣によって、家畜は喰われ、田畑は踏み荒らされた。

 

 避難民を受け入れた近隣の町では、元から住んでいた住民達と避難してきた者との間で、ひっきりなしに諍いが起きた。


 そんな中、ある噂が民達の間で広がった。

 王女エルを国から追い出したせいで、聖獣が怒っている、と。


 噂は波のように伝播して、王城に人々がつめかけた。エルの追放後、王の座に着いていた宰相は、必死に否定した。


 裁きは正当だった、だから聖獣が怒る道理はない、と。


 しかし、結界は戻らぬまま、魔獣による被害は拡大し続け——多くの民が他国へ逃れた事で、フィラン王国は衰退した。


 繁栄した大国は見る影もなく、治安は悪化の一途を辿り、かつての王城は、周辺で幅をきかせる盗賊団の根城に成り下がっていた。


 国を崩壊に導いた宰相夫妻は、夜逃げしようとしている所を見つかり、民の前に引きずり出されて——行方知れずとなった。




 その頃、かつてのフィラン王国の王女エルは、アーラン国での数年の生活を経て、剣を手に冒険者として生きていく道を選び、シルクと各地を巡っていた。


 そして、伴侶を見つけ子宝に恵まれたエルは、とある国に終の住処を構え、穏やかで、幸せな生活を送った。


 やがて、年老いたエルの最期を見届けると、シルクは姿を消した。


 これからは家族としてではなく、守護聖獣として、少し離れたところからエルの子孫達を見守っていく。


 その身に、盟約を交わした尊き血が流れる限り。

 

 愛すべきエルの血が続く限り。


作品の励みになりますので、感想・ブックマーク・評価・リアクション等をいただけると嬉しいです。


また、他短編や長編なども投稿しておりますので、お暇がありましたら読んでいただけると幸いです。

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