オフィーリア・ジーニアスの支度
魔法の行使には当然魔力が必要である。
魔力量は個人差があるが、基本的に初級魔法使いで初級魔法10回分、中級魔法なら2回が限度である。
有名魔物のゴブリンは魔法は使えないが、魔力量は初級魔法30回分、上級魔法1回分を内包している。
ゴブリンメイジやゴブリンプリースト、ゴブリンシャーマンがゴブリンの群れに1体居るだけで討伐難易度が上がるのが頷ける。
ほぼ無尽蔵に魔法を行使できるが、知能が低いので大抵は1つ、2つの魔法しか使わない。
ファイアーボールを数十回使われたら、中級魔法使いでも丸焦げだ。
さらに魔力が枯渇したら、身体能力が著しく低下し、自然回復、食糧摂取、睡眠などで回復の必要がある。戦闘中に魔力枯渇は死を意味するのである。
そのため、普通の魔法使いは魔法耐性のアイテムや物理的防御手段、魔力回復手段を用意する。属性耐性や身体能力強化を用いて基本格上の相手に挑むのである。
ただ、今回のヤハウェの神像に挑んだ魔法使いは上級の魔法使い。
上級魔法使いは中級魔法使いとは隔絶された能力を持っている。魔力量は初級魔法を無限に使える。自然回復量が初級魔法使用時の魔力量を上間っているからである。初級魔法を無限に使ったのに死んだ。なぜか……
簡単である。ヤハウェの神像は「初級魔法では倒せない存在」だと言うことである。
「初級魔法が効かない。」または、「魔法耐性が高い。」、「耐久力が初級魔法では削りきれない」であり、ヤハウェの神像の結界は本体の能力にマッチしたものでかなり厄介であることが分かる。
それを踏まえた上でヤハウェの神像を破壊できるかと言うと魔法使いには不可能である。
では、オフィーリアは何を準備してどのような戦略を立てて挑むのか。
オフィーリアは………何も準備しない。
まずオフィーリアはシャツの上に愛用のピーコートを着る。特注品でり、魔力が付与されている。着用者の体型に合わせてサイズが変化するものである。
今までに効果を発揮したことは一度もない……
次に髪型!基本は頭の左右で小さくまとめたピッグテールにする。幼い子どもがする髪型だが、気に入っている。
髪ゴムかリボンで悩む!
髪ゴムは安定していて取れないのが良い。しかし可愛さや美しさが減点。チャームが付いた物は壊れたらメンタルが駄々下がるのでダメ。
リボンは結び方次第で無限の可能性がある。リボン結びでもいいし、髪と一緒に三つ編みみたいにするのも乙だ。色も多くて模様ありも最高!ただし、止めた基点ががほどけると台無しでメンタルが駄々下がりでダメ。
究極の選択である!
今回は……リボンだ!!
ピンクの髪の中でも美しく可愛い空色のチェックのリボンにした。上機嫌である♪
リボンはアパレルショップで買った12£のありふれたリッチリボンである。魔力は付与されてない。
お次はパンツスタイルか、スカートかだ。
動きやすさなら、当たり前だがパンツスタイルが良い。ただ、せっかく可愛いリボンにしたのだからスカートで可愛く決めたい気もする……いや決めたい。
スカートにする!
REMOONの水色のロングスカートにする。可愛いぞ!
マジでテンション爆アゲ!!
小物入れのポシェットにデザインベレー帽!
準備終了!
完全武装で町に出掛けられるぜ!!
オフィーリアの準備は完成した……のか?
乙女オフィーリアは時計塔の特別に与えられている自室から意気揚々と出掛ける。
デートに行くかの如しであった……
まぁ、当たり前である。
オフィーリアからすれば、半神程度はゴブリンと何ら変わらないレベルの相手だからである。大英博物館を破壊しない方が難しいのである。